【フィエスタボウル】
オレゴン大vsアイオワ州立大
開催日時:1月2日東部時間午後4時(日本時間1月3日午前6時)
開催地:ステートファームスタジアム(アリゾナ州グレンデール市)
TV放映:ESPN
今年のフィエスタボウルはPac-12カンファレンス覇者のオレゴン大(4勝2敗)とBig 12カンファレンス準優勝チームであるアイオワ州立大(8勝3敗)のマッチアップとなりました。両校の対決はこれが史上初めてのこととなります。
ここまでの歩み
今季11月からの後発組として開幕したPac-12カンファレンスに所属するオレゴン大は12月12日に予定されていた北地区の命運を決めるワシントン大との決戦がキャンセルになってしまったことで戦わずして地区優勝を逃しました。
それによりカンファレンスタイトル並びに「ニューイヤーズ6」ボウル出場も潰えてしまった・・・と誰もが思いました。しかし北地区代表としてサザンカリフォルニア大との優勝決定戦に出場するはずだったワシントン大で新型コロナ感染が発生したために彼らがこのタイトルマッチ出場を辞退。そして繰り上げでオレゴン大が決勝戦に臨みました。
Pac-12カンファレンス優勝決定戦に出場が決まっていた北地区代表のワシントン大でしたが、新型コロナウイルスの影響で十分な選手を確保することが困難になり出場を断念。代わりに北地区2位のオレゴン大が南地区代表のサザンカリフォルニア大と対戦することが決定。#アメフト https://t.co/asLUKGpWCA
— Any Given Saturday (@ags_football1) December 14, 2020
そのPac-12優勝決定戦では棚ぼたで得たこのチャンスを最大限に生かしたオレゴン大が無敗のサザンカリフォルニア大を倒すアップセット。見事昨年に続きカンファレンス2連覇を達成したのです。
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一方のアイオワ州立大は開幕戦で格下とされたルイジアナ大ラフィエット校にまさかの敗戦を喫して出鼻をくじかれますが、3戦目にオクラホマ大との激闘を制してランキングに復帰。途中オクラホマ州立大との決戦に敗れて痛い2敗目を喫してしまいますが、そこから5連勝を飾って見事自身初のBig 12カンファレンスタイトルゲームに駒を進めました。
勝てば大外からながらCFP(カレッジフットボールプレーオフ)出場の可能性も残されていたBig 12カンファレンス優勝決定戦では一度倒しているオクラホマ大との再戦。ここでアイオワ州立大はオクラホマ大からリベンジを食らってしまって今季3勝目となりCFP出場だけでなく夢のBig 12タイトル獲得者がしてしまいました。
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思いがけず手にしたチャンスをものにしてカンファレンスタイトルを獲得したオレゴン大と夢のタイトル獲得まであと一歩及ばなかったアイオワ州立大の対決となった今年のフィエスタボウル。果たして勝利の女神が微笑むのは・・・。
オレゴン大(CFP25位、4勝2敗)
オレゴン大のオフェンスの主軸はランアタック。今季1試合平均のランプレーが36回だったことからもそれは明らかですが、アイオワ州立大の強力なランディフェンスを前にオレゴン大のランオフェンスは確実に結果を残さなければなりません。
オレゴン大ランアタックの1キャリー平均ヤード数は約5ヤードとかなりいい数字を残してきています。この地上戦に貢献してきたのがC.J.ヴァーデル(C.J. Verdell)とトラヴィス・ダイ(Travis Dye)のRB陣とQBのタイラー・シャック(Tyler Shough)の3人。シャックのパス攻撃が活きてきたのもこの効果的なランアタックがあったからこそ。ディフェンスがランアタックに気をそがれればそがれるほどパスが通りやすくなるからです。
気をつけたいのはターンオーバー。アイオワ州立大は今季ここまでトータル14つものターンオーバーを引き出しており、タイミング次第では試合の流れを大きく揺るがす可能性もありますからオレゴン大としてはなんとしても相手に塩を送るようなことは避けたいところ。
ディフェンス陣ではDEケイヴォン・ティボドウ(Kayvon Thibodeaux)に注目。オールアメリカン(3rdチーム)にも選ばれたティボドウは全米規模でもトップレベルのパスラッシャー。QBサック数とタックル・フォー・ロス(7.5)でチームトップのティボドウはアイオワ州立大OL陣にとって脅威。将来プロ入り確実なティボドウのプレーに刮目です。
アイオワ州立大(CFP10位、8勝3敗)
アイオワ州立大オフェンスといえばやはりRBブリース・ホール(Breece Hall)に触れないわけにはいきません。昨年ルーキーとしてセンセーショナルなデビューを果たしたホールは今年もその勢いを緩めることなく活躍。今季通算1436ヤードに19ヤードという数字を残し、獲得ヤード数で全米トップの記録となりました。
ハイズマントロフィーの投票順位では総合6位にランクされ、同5位のナジー・ハリス(Najee Harris、アラバマ大)とともに今季を代表するRBにまで成長。彼の働きがアイオワ州立大の勝負の鍵となります。
またチームには頼れる3年生QBブロック・パーディ(Brock Purdy)が健在。2594ヤードに18TDと安定したパフォーマンスで今季のチームを牽引。投げてもよし、走ってもよしという均整の取れたオフェンスは全米随一のものです。
しかしこのオフェンスよりもさらに特筆すべきなのは彼らのディフェンスです。全米10位を誇る被獲得ランヤードと全米4位の被TD数を誇る守備力はは上記のオレゴン大ランアタックにとってはこれまでで最大のチャレンジとなります。
総評
今季6試合しかプレーしてこなかったオレゴン大ですが、その中でも彼らのランディフェンスは1試合平均159ヤードに通算13ランTDを奪われるという脆弱さを見せており、ホール擁するアイオワ州立大のランオフェンスにとってこのミスマッチを利用しない手はありません。
またオレゴン大はパーディの操るパスオフェンスにも確実に対処しなければなりません。そういった意味ではオレゴン大CBマイケル・ライト(
Mykael Write)とアイオワ州立大WRゼヴィアー・ハッチンソン(Xavier Hutchinson)のワンオンワン対決も見逃せません。さらにはXファクターともなりえるTEチャーリー・コラー(Charlie Kolar)のプレーも必見。
オレゴン大オフェンスも得点力のあるユニットではありますが、アイオワ州立大のランファーストオフェンスが功を奏することがあれば試合の流れはポゼッション的にも彼らに傾くことでしょうから、派手さはなくとも堅実なアイオワ州立大に分がありそう。
アイオワ州立大にとっては勝てばチーム史上初の「ニューイヤーズ6」ボウル戦での白星となり気持ちよく2020年度シーズンを締めくくることが出来ます。オレゴン大としては棚ぼたでPac-12王者になったという外野の声を鎮めるためにもこの試合で是非勝利を上げておきたいところです。