
昨年のオクラホマ大は開幕後早々にヒューストン大およびオハイオ州立大に敗れてシーズン序盤からカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出への夢が断たれてしまいましたが、その後は立て直しBig 12カンファレンスで史上初の9勝0敗という成績を残してリーグタイトルを獲得。ポストシーズンにて招待されたシュガーボウルでも対戦相手のアーバン大を圧倒。終わってみれば11勝2敗と二桁勝利を飾ることに成功したのでした。
しかし彼らのオフシーズンは波乱に満ちていました。まずはチームのキャプテンであり、ハイズマントロフィーファイナリストでもあったQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)が飲酒絡みで警察沙汰に。多くのファンたちの信頼を失墜させてしまいました。そしてオフシーズン最大の「事件」、ヘッドコーチだったボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏の電撃引退が発表されたのです。
ストゥープス氏は1999年にオクラホマ大監督に就任すると翌年の2000年度シーズンには早くも全米タイトルを獲得。以降再びナショナルタイトルを獲得ことはできませんでしたが、Big 12タイトルを多数獲得。2011年度から2014年度まではタイトルから遠ざかり、彼の指揮力に陰りが見え始めたかと言われましたが、2015年に再びカンファレンスの王座を奪還するとカレッジフットボールプレーオフにも進出。そして昨年度もリーグ2連覇を達成し、まだまだヘッドコーチとしてバリバリやるものだと誰もがおもっていました。そんな折の引退発表でしたから全米中の度肝をぬいたのです。
そのストゥープス氏が去ったあとの名門を任されたのがオフェンシブコーディネーターを2年間務めていたリンカーン・ライリー( Lincoln Riley)監督です。FBSで最年少監督となったライリー監督の初陣である今シーズンに多くの注目が集まります。
オフェンス
昨年のハイズマントロフィーファイナリストであるQBメイフィールドがチームに残留したのは確かに朗報です(既述の通り問題を起こしはしましたが)。しかしスキルポジションからはRBサマージャ・ペリン(Samaje Perine)、ジョー・ミクソン(Joe Mixon)、WRデイド・ウエストブルック(Dede Westbrook)という主力が相次いでプロ入りし、しかもプレシーズンキャンプ中にWRニック・バスキン(Nick Basquine)がアキレス腱断裂というシーズンを棒に振る大怪我を負ってしまいオフェンスにとってはかなりの痛手となっているはずです。
それでも悪い話だけではありません。というのも昨年のOLメンバー5人が皆揃って今季も健在であるからです。その中でもオーランド・ブラウン(Orlando Brown)、ベン・パワーズ(Ben Powers)、ボビー・イヴァンズ(Bobby Evans) の3人は将来プロでプレーすることになる選手です。
RB陣が一新し彼等の力が試されていない以上、メイフィールドにはWR陣のサポートがこれまで以上に必要となってくるでしょう。おそらく今年のオクラホマ大オフェンスはパスを多用してくることでしょうが、ロングレンジのパスを効果的にするためにはスクリーンなどのショートパスを織り交ぜなければなりません。これを確実にやってのけてくれる2番手、3番手のレシーバーがしっかり育つ必要があるといえます。
ディフェンス
今季のディフェンス陣は11人中約半分の5人が新顔ということで昨年とは全く違ったユニットになりそうです。
DL陣は4人とも全てが先発経験がない選手ばかり。4年生のD.J.ワード(D.J. Ward)とマット・ロマー(Matt Romar)は昨年サブ選手として合わせて45タックルを記録するなど試合経験はあります。この二人に合流してくると思われるのが2年生のネヴィル・ガリモア(Neville Gallimore)とマーク・ジャクソン・Jr.(Mark Jackson Jr.)です。どの選手も先発経験はないもののポテンシャルは高そうです。
LB陣もまた若い選手がベテランを追い越そうという気配。1年生のジョン・マイケル・テリー(Jon-Michael Terry)が昨年の先発エマニュエル・ビール(Emmanuel Beal)から先発の座を奪うと言われており、その他の昨年の先発LBであるオグボニア・オコロンコ(Ogbonnia Okoronkwo)とケイレブ・ケリー(Caleb Kelly)のバックアップを務めるのも1年生ばかり。
そして昨年チームのディフェンスの足を引っ張ったのがDB陣。パスディフェスで全米111位という不甲斐ない記録を残してしまった昨年のDB陣が、オクラホマ大がCFPに進出できなかった遠因だったという声も聞かれます。そんなDB陣ですが今年はオールカファレンス候補のジョーダン・トーマス(Jordan Thomas)、ジョーダン・パーカー(Jordan Parker)、スティーヴン・パーカー(Steven Parker)の3人が戻ってきます。昨年度の苦い経験を生かしさらなる飛躍を遂げていてほしいものです。
見どころ
オクラホマ大は2戦目に全米2位のオハイオ州立大とのアウェー戦が控えます。この試合は容易にはいかないでしょうが、これを過ぎればライバル・テキサス大との「レッドリバーの戦い」までは無難に白星を重ねることができるでしょう。
オクラホマ大にとって厳しいのはオハイオ州立大、カンザス州立大、オクラホマ州立大というランクチームとの対決が全てアウェーであるという点です。ホームではもの凄い勝率を誇る彼らですが、遠征となると負ける確率が高くなる傾向にあるからです。
今季のオクラホマ大は穴がないとは言えないものの、それでもBig 12カンファレンスではトップチームと言えそうです。最大の敵はオクラホマ州立大となりそうですが、今年の力関係だとカウボーイズがスナーズから勝利を奪う確率が普段よりも高くなると言われるものの、それでもこのライバリーの歴史を振り返ればオクラホマ大が圧倒している(86勝18敗7分け)ので今年はどうなるでしょうか?
今シーズンはBig 12カンファレンス優勝決定戦が復活することになっており、おそらく彼らがこのタイトルゲームに進出することになるでしょう。そうなるとニューイヤーズ6ボウル、さらにはカレッジフットボールプレーオフ出場に向けて選考委員会たちにアピールするチャンスが増えることになります。そうなればそこまでの成績いかんでは彼らが再びメジャーボウルゲームに出場する可能性も高まります。
それらの全ての鍵を握るのは新HCのライリー監督です。チームのポテンシャルをすれば今季10勝は固いと思われますが、ヘッドコーチ未経験であるライリー監督の指揮官としてのポテンシャルはまだ未知数です。オフェンシブコーディネーターとしての腕が確かであることはすでに証明済みですから、あとは彼が名門オクラホマ大を率いることができるだけの器であるかどうかが今季試されることになりそうです。

テキサス大とオクラホマ大のSEC合流は2024年度シーズンに【オフシーズン便り#10】
2021年度シーズン開幕前に突如としてBig 12カンファレンスからSECへと電撃移籍を発表したテキサス大とオクラホマ大。当初は2025年度からの移籍となっていましたが、話が一転二転して・・・。

Life Goes On…
2021年度まで5年間オクラホマ大を率いて55勝10敗に4つのリーグタイトルを獲得したリンカーン・ライリー監督は昨年突如としてサザンカリフォルニア大に鞍替えしました。全米を驚かせカレッジフットボール界の勢力図を覆すとも言えるこの移籍劇。その理由とは何だったのでしょうか?

Coaching Carousel【リンカーン・ライリーの場合】
先週末はミシガン大vsオハイオ州立大、アラバマ大vsアーバン大、オクラホマ州立大vsオクラホマ大など素晴らしい試合の連続でカレッジフットボールの素晴らしさを体験させてもらいました。が、それから1日も立たないうちに世間は監督たちの去就に翻弄されることになります。一体何が起こったのか?

嵐の予感・・・
今オフはCFP参加チーム拡張の話や選手がお金を稼げるようになるNIL制度の発足など話題に事欠きませんでしたが、それらを更に上回るビッグニュースが飛び込んできました。それがテキサス大とオクラホマ大のBig 12脱退及びSEC加入というスクープだったのです。

クォーターバックU
古参のカレッジフットボールファンの方ならば、オクラホマ大といえば屈指のランヘビーオフェンスという記憶が濃いのではないでしょうか。しかし今ではオクラホマ大といえば名QBを輩出する屈指の強豪校というイメージが強いです。時代に合わせて攻撃スタイルを変えて復活を遂げたオクラホマ大に迫ります。

コットンボウルプレビュー【2020年度シーズン】
数あるボウルゲームの中でもとりわけ出場することに勝ちがあるとされるのが年末年始に行われる上位ボウルゲーム6つを指す「ニューイヤーズ6」ボウル。その「NY6」ボウルの口火を切るのが12月30日に行われるコットンボウルですがその試合の見所をご紹介します。

オフシーズン便り#7【2020年】
Pac-12カンファレンスが6月15日から選手がキャンパス内で自主トレを開始することを容認した話とか、自主トレ解禁を独自に打ち出したクレムソン大のその手法の話とか、自主トレ開始を7月1日まで先送りにしたオクラホマ大の話とか、競争上の公平性に疑問を投げかけたBig 12カンファレンスコミッショナーの談話とか。

2019年度ピーチボウルレビュー
今季のCFP準決勝戦第1試合目となったピーチボウルは全米1位のLSUと同4位のオクラホマ大との激突になりましたが、下馬評の高かったLSUがオクラホマ大を圧倒。前半だけで49対14というとんでもない試合展開で難なく準決勝を切り抜けたLSUが全米制覇を賭けて決勝進出。ここではこの試合をざっくりと振り返ります。

ピーチボウルプレビュー(CFP準決勝戦#1)
今年度のCFPナショナルタイトルゲーム進出を決める準決勝戦の第1試合目となったピーチボウル。全米1位のLSUと同4位のオクラホマ大の対決となりました。ハイズマントロフィー受賞者であるジョー・バロウ(LSU)、そのファイナリストの一人であるジェイレン・ハーツ(オクラホマ大)を擁する2チームの対戦の行方は?

CFP進出チームが決定!
レギュラーシーズン全行程の99パーセントを終え日曜日(12月8日)には遂に今季のファイナルCFPランキングがリリースされました。8月末の開幕から約3ヶ月。紆余曲折を経ていよいよCFPに出場する全米トップ4チームが決まったのです。もうすでにご存知だとは思いますが今回はその4チームをご紹介したいと思います。

2017年度スケジュール
9月2日 | ![]() | テキサス大エルパソ校 |
9月9日 | ![]() | オハイオ州立大 |
9月16日 | ![]() | トゥレーン大 |
9月23日 | ![]() | ベイラー大 |
10月7日 | ![]() | アイオワ州立大 |
10月14日 | ![]() | テキサス大** |
10月21日 | ![]() | カンザス州立 |
10月28日 | ![]() | テキサス工科大 |
11月4日 | ![]() | オクラホマ州立大 |
11月11日 | ![]() | テキサスクリスチャン大 |
11月18日 | ![]() | カンザス大 |
11月25日 | ![]() | ウエストバージニア大 |
チーム情報
所在地
オクラホマ州ノーマン
所属カンファレンス
Big 12
ホームスタジアム
メモリアルスタジアム
通算戦績
872勝321敗53分け
通算ボウルゲーム戦績
28勝20敗1分け
ヘッドコーチ
リンカーン・ライリー
0勝0敗(1年目)
【キャリア通算:0勝0敗】
前回全米優勝年度
1986年度
前回Big Ten優勝年度
2000年度
前回ボウルゲーム出場年度
2016年度(シュガーボウル)