クレムソン大のダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督の長年の夢・・・それは監督としてナショナルタイトルをゲットすることだったのか、もしくはクレムソン大で最多勝利監督となることなのか、はたまた彼の母校であるアラバマ大の監督に就任することなのか・・・。
実はそんなことよりも彼が一番叶えたかった夢、それはNFLの殿堂入りQBブレット・ファーヴ(Brett Favre)氏のパスをキャッチすることだったらしいのです。
遡ること28年前の1990年、スウィニー監督は当時全米13位だったアラバマ大のWRとしてチームに在籍していました。そのアラバマ大は開幕戦でサザンミシシッピ大とアラバマ州バーミンガム市にあるレジョンフィールドで相見えたのですが、この時のサザンミシシッピ大のQBが何を隠そうファーヴ氏。つまりこの二人は28年前にカレッジプレーヤーとして一度対戦していたのです。
試合はファーヴ氏の活躍もあってサザンミシシッピ大がアラバマ大を27対24で倒す大金星をあげました。ファーヴ氏はそのままシーズンを8勝4敗という好成績で終え、シーズン終了後にNFLドラフトで2巡目にてアトランタファルコンズに指名されました。後の彼の活躍(グリーンベイパッカーズに移籍して以降の)はここで言及するまでもないでしょう。
一方のスウィニー監督は1992年にアラバマ大がナショナルチャンピオンになるまでチームに在籍。卒業後は母校のアラバマ大でコーチングの道に足を踏み入れ、途中コーチ業から足を洗いましたが、クレムソン大で徐々に頭角を現し、2009年にヘッドコーチに昇格すると2016年度には遂に全米制覇を成し遂げるまでに至ったのです。
ファーヴ氏とスウィニー監督は1990年の試合で対戦して以降別々の道を進み、それぞれの世界で成功を収めていますが、その試合を最後に彼らが出会うことはありませんでした。
しかし昨春、ファーヴ氏の母校であるサザンミシシッピ大で行われたチャリティーイベントで同席した両氏はすぐさま意気投合。昔話に花を咲かせながら二人は連絡を取り合う仲になったといいます。
そしてスウィニー監督はファーヴ氏をクレムソン大のキャンパスに招待し、選手たちにスピーチをしてくれないかと頼んだところファーヴ氏は快くそれを承諾。そして遂に先週それが現実のものとなったのです。
No big deal…just Brett Favre hanging out at practice today. #ALLIN pic.twitter.com/Xg6kds2mQl
— Clemson Football (@ClemsonFB) August 8, 2018
「我々は常にいろいろな人物をチームに招いて選手たちに新たな経験をさせています。それはついマンネリになりがちなプレシーズンキャンプを活性化させる狙いもあるのですが、ファーヴ氏はキャンパスに来ることをとても楽しみにしていたようです。実は彼にとってクレムソンに足を踏み入れるのはこれが初めてだったそうです。」とはファーヴ氏をホストしたスウィニー監督。
8月8日にクレムソン大にやってきたファーヴ氏は朝到着すると午前中にチームと顔合わせしてスピーチを行うと、午後に行われた練習にも登場。そして通常スウィニー監督は練習前の肩慣らしにキャッチボールを用具係を相手に行うのが通例となっているようですが、この日はファーヴ氏を相手にキャッチボールをするという非常にレアな光景も見られたということです。
「今日はキャッチボールの相手を用具係の子からブレット・ファーヴにトレードさせてもらいましたが、投球の速度はちょっと違っていましたが、私は全てキャッチできたので良しとしておきます。ブレットはプロの世界で20年もプレーし続けた、唯一無二のキャリアを持つ人物で、そんな彼をクレムソン大に招くことが出来たのはとても良かった。朝から夕方まで彼とともに過ごせたのは非常に楽しかったし、特にかつて私の夢がブレット・ファーヴからのパスを受け取ることだったことを考えれば、それが現役選手としては叶わなかったけれども、今日こうして彼のパスを受け取ることが出来たのは感慨深かったですね。」とスウィニー監督は後述しています。
ファーヴ氏は現役時代「Gunslinger(早打ちの名手)」と呼ばれ非常に早いボールを投げることで有名でしたから、元WRのスウィニー監督にとってはファーヴ氏のボールを全て捕球できたことできっと面目を保てたことでしょうね。