先週行われた第10週目のカレッジフットボールでは1位のクレムソン大が4位のノートルダム大に敗れる波乱が起きました。ただ波乱といってもノートルダム大に全くチャンスが無いと思われていたわけではなく、またクレムソン大が手薄なロースター状況であったことを加味しても今季最高のゲームの一つなったことにかわりはなく、これはノートルダム大が実力でもぎ取った白星と言っていいでしょう。
このことで開幕以来首位を守ってきたクレムソン大の陥落は免れず、その結果上位陣の顔ぶれに変化が見られることが予想されました。既に最新のランキングが発表されて数日経ちますが、ここでは今週11週目のランカーたちを見ていきたいと思います。
トップ10
御存知の通り首位のクレムソン大が敗れたため新たな首位となったのは先週2位のアラバマ大。先週試合がなかったアラバマ大ですが今回1位の座に輝いたことでこれで13年連続でシーズン中に最低でも1度は全米1位にランクされたことになります。
2位にはクレムソン大を倒したノートルダム大。彼らがここまで順位を上げるのは2012年度シーズン終盤に1位を獲得した時以来のこと。2010年にブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督が就任して以来彼らは2桁勝利シーズンを5度経験するなど常に上位に顔を出してはいましたが、肝心な試合で勝てないというレッテルを貼られ続けてきました。しかしそれも今回1位のクレムソン大に勝ったことで払拭。ただ単純に無敗だから1位になった2012年とは違って今回の2位は自力でもぎ取った2位だと言えます。
3位のオハイオ州立大は先週と同位。ラトガース大を下して無難に3勝目を挙げました。
1位のアラバマ大にはトップ票が59票入り、2位のノートルダム大と3位のオハイオ州立大にはそれぞれ2票と1票が入りました。得票差はアラバマ大とノートルダム大で83ポイント、ノートルダム大とオハイオ州立大で15ポイントとなっており、アラバマ大がほぼダントツで現時点でのトップチームという評価を得た形になりました。
そして上記のノートルダム大に敗れたクレムソン大は1位から4位へ転落。今季初黒星とはいえ実力的にはCFP(カレッジフットボールプレーオフ)出場権内の4位以内にとどまるこの結果は納得いくものです。このまま行けば彼らはノートルダム大との再戦がACC優勝決定戦で実現しそうですから、この試合には否が応でも注目が集まるでしょう。
5位には先週7位からランキングを2つ上げてきたテキサスA&M大。アラバマ大に敗れて1敗を喫するもそれ以降は人が変わったかのように調子を上げたチーム。フロリダ大との一騎打ちに勝利したことは今後彼らにプラスに働いていくでしょう。
そのフロリダ大が今週6位。確かにテキサスA&M大に負けてしまってはいますが、テキサスA&M大はSEC西地区所属であるのに対しフロリダ大は東地区所属。先週その東地区内のライバルであるジョージア大に勝利したことでフロリダ大は東地区レースで一歩リード。このまま行けばSECタイトルゲームに東地区代表として出場することになるでしょうから、今後負けない限り彼らのSECタイトル獲りそしてその先にあるCFP出場への可能性は大きいと言えます。
7位は先週6位だったシンシナティ大が順位を一つ落としてきました。彼ら自身はしっかりと6勝目を挙げましたが、ジョージア大を倒したフロリダ大の評価が彼らを追い抜いていった結果でありシンシナティ大自身は彼らのやるべきこと(=勝ち続けること)をしっかりとこなしています。
8位には先週9位のブリガムヤング大。QBザック・ウィルソン(Zach Wilson)を軸とした攻撃力バツグンの彼らは既に8勝無敗。対戦相手が軒並み格下ばかりだとは言え無敗を守ることの難しさを考えれば8位という評価は現在の彼らにふさわしいものだと思います。
9位に来たのがマイアミ大。マイアミ大は一時7位まで上昇するもクレムソン大との一騎打ちに敗れて以来トップ10から転落していましたが地道に白星を重ね続けてここまで復活してきました。今週のバージニア工科大戦そしてシーズンフィナーレのノースカロライナ大戦が鍵か。
そして今週10位はBig Tenのシンデレラチーム、インディアナ大です。彼らはここまでペンシルバニア州立大、ラトガース大、ミシガン大を次々となぎ倒して開幕3連勝。こうなるとにわかに11月21日のオハイオ州立大との対戦が楽しみになってきました。
11位~15位
11位には先週開幕したばかりのオレゴン大が12位から1ランクアップ。12位にはフロリダ大との決戦に敗れたジョージア大が5位から降下。彼らはこれで2敗目となり事実上CFPレースから脱落です。13位にはウィスコンシン大。コロナウイルスの影響で2週連続試合がキャンセルになってしまった彼らは今週末のミシガン大との試合もキャンセルとなってしまうとBig Tenカンファレンス優勝決定戦出場の資格を失うことになります。今の所開催の予定ですが、このご時世何が起こるかわからないのが実際のところ。そして14位と15位は先週と変わらずオクラホマ州立大とコースタルカロライナ大。
16位以下
16位以下のチームを見ると大きな変化は見られません。先週から順位を上げたチームも3つありますが、その中でも先週創部史上初となるランキング入りを果たしたリバティー大がバージニア工科大を倒したことで順位を22位まで伸ばしました。彼らの今後3試合を見るとこのまま白星を重ねて10勝を上げることは大いに可能ですが、最終戦に予定されている15位のコースタルカロライナ大戦が俄然注目を浴びることになるでしょう。
そして今週新たにランクインしたのは23位のノースウエスタン大と25位のルイジアナ大ラフィエット校。
ノースウエスタン大はBig Tenの中でも学業で秀でているチーム。ただスポーツでも非凡な才能を秘める文武両道を地で行く大学です。中でも2年前に完成した彼らの新施設は圧巻。
Pictures of Northwestern’s new athletic facility and football practice field on the Lake Michigan shore. pic.twitter.com/ctnzzXVLkG
— Darren Rovell (@darrenrovell) April 6, 2018
昨年は3勝9敗と珍しく負け越しましたが、今シーズンは開幕以来負け無しの3連勝中。このまま行けば2年ぶりの地区優勝も不可能ではありません。
そして25位にはサンベルトカンファレンスのルイジアナ大(ラフィエット校)。彼らは今季前半に3連勝でチーム史上初のランキング入りを果たして19位まで上昇したことがありましたが、コースタルカロライナ大に敗れると圏外へ転落。しかし以降その1敗を守り続けて今週再びランキングに帰ってきました。彼らに票を入れた投票者に拍手を贈りたいです。
圏外脱落チーム
上記の2チームが新たに参入してきたことでランキングから消えたチームも2つあります。
1つ目はボイジー州立大。先週21位だった彼らはブリガムヤング大になすすべもなく敗れ今季初黒星。
2つ目は大御所ミシガン大。インディアナ大に敗れ今季2敗目となり名門の名がかすれる1勝2敗という予想外の展開。彼らのようなチームが不調なシーズンはやはりちょっとさみしいです。
総評
クレムソン大とノートルダム大の激戦は記憶に長く残り続けるほどの名勝負でした。その名勝負を制したノートルダム大が2位に上がったことはこれまでのクレムソン大一辺倒だった勢力図を崩すきっかけになりました。ただ上位4チームの顔ぶれ自体は変わっておらず、パワーバランス的には大きく変わってはいません。
注目はこの4チーム(アラバマ大、ノートルダム大、オハイオ州立大、クレムソン大)が万が一でも転げ落ちた場合にその空いた椅子に座ることの出来る5番手以降のチーム。SECのテキサスA&M大もしくはフロリダ大か、またはグループオブ5/独立校のシンシナティ大/ブリガムヤング大か、それとも大外からマイアミ大かインディアナ大か。はたまた遅れて参戦してきたPac-12のオレゴン大か。2週間後にはCFP進出チームを決めるCFPランキングの第1回目が発表されますが、それに向けてさらなる熾烈な戦いが続いていきます。