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最新ランキングを分析【2020年度第10週目】

最新ランキングを分析【2020年度第10週目】

2020年も早いもので11月に突入。レギュラーシーズンも第3コーナーに差し掛かっていますが、今週末にようやくPac-12カンファレンスMAC(ミッドアメリカンカンファレンス)が開幕します。コロナの影響とは言えこの時期の開幕というのは信じられませんが、このご時世のことを考えれば全てが狂っているといっても言い過ぎではないのかもしれません。

カレッジフットボールの頂点を決定するカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に出場できる4チームを選出するCFPランキングの最初のリリース日は約2週間後となる11月17日。このランキングで最終的にトップ4チームにランクされたチームがそのCFPに進出することが出来るわけですが、そのランキングは往々にしてAPランキングと呼応していますから、現在のトップチームらが勝ち進めば自ずとそのチームがCFPランキングでも上位を占めることになると思います。

とはいえ今週末は全米1位のクレムソン大と4位のノートルダム大の試合が組まれていますし、SEC(サウスイースタンカンファレンス)優勝決定戦では2位のアラバマ大と5位のジョージア大の再戦(レギュラーシーズンで既にアラバマ大がジョージア大に勝利)する可能性も残されていますから、その顔ぶれが変わっていくことは大いに考えられます。また上記の通りPac-12カンファレンスも遅ればせながら参戦してきますから、ひょっとしたらオレゴン大やサザンカリフォルニア大といったチームが躍進してくる可能性も捨てきれません。

そんな感じでシーズン終盤に向けて上位チームの面子に注目が集まりますが、今季10週目となる今週に既にリリースされた最新の全米ランキングトップ25チームを見ていきたいと思います。

参考ページ2020年度シーズンランキング【第10週目】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

トップ10

今週も1位の座を守ったのはクレムソン大です。先週はスターQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が新型コロナに感染してしまったせいでボストンカレッジ戦を欠場。試合の方はボストンカレッジにリードされるという驚きの展開となりましたが、彼に代わって登場した1年生のD.J.ウイアンガラレイ(D.J. Uiagalalei)が非凡なポテンシャルを発揮して勝利に貢献。この試合後サボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督は今週末に行われるノートルダム大と決戦にもローレンスが欠場することを明言。再びチームのオフェンスは若きウイアンガラレイに託されるわけですが、ローレンス不在が同チームに影響するのか非常に興味深いです。

2位のアラバマ大は先週ミシシッピ州立大相手に41対0と完封勝利。怪我で今季絶望となったスターWRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)が欠場する中オフェンスは勢いを止めることなく相手を一刀両断。

クレムソン大はローレンス不在でこれまでにない苦戦を強いられ、一方でアラバマ大はワドル不在でもオフェンスの威力を緩めなかったことから、最新のランキングでは投票者によって投票された1位票の数がクレムソン大(33)とアラバマ大(29)の間で肉薄。総投票ポイントもクレムソン大が1515ポイントでアラバマ大が1513ポイントということでなんとたったの2ポイント差。いかにクレムソン大にとってローレンスの存在が大きかったのかが改めて知れ渡ったのでした。

3位には先週ペンシルバニア州立大を下して2勝目を挙げたオハイオ州立大。2週間前に開幕したばかりのBig Tenカンファレンス内において彼らの強さは頭一つ抜きん出ており、クレムソン大やアラバマ大とは消化した試合数に開きがあるものの、力的には彼らに割って入れるほどのものを持っているといっていいでしょう。

4位のノートルダム大は先週ジョージア工科大に31対13と快勝。世間では上位3チームとそれ以下のチームという構図が出来上がりつつあり、その「それ以下」チームの筆頭でもあるノートルダム大としては今週末のクレムソン大との一騎打ちに是非とも勝って自分たちがCFP候補チームであることを世に知らしめたいものです。

先週と同じく5位のジョージア大はロースコアとなったケンタッキー大との試合を14対3で切り抜けて5勝目を挙げました。アラバマ大戦で落とした虎の子の1敗を守ったわけですが、今週末は「世界最大の屋外カクテルパーティー」とかつて呼ばれたフロリダ大とのライバリー対決が控えます。ここを乗り越えることができればアラバマ大との再戦が見えてきます。彼らとしては残りの試合を全て勝ちきって3年ぶりのCFP出場を果たしたいところです。

6位に上がってきたのは「グループオブ5」勢のシンシナティ大。先週は同じAAC(アメリカンアスレティックカンファレンス)のメンフィス大を41対10で一蹴。彼らが6位という高位置にいることは決してまぐれや棚ぼたの影響を受けたものではなく実力で勝ち取ったものだということを証明しました。トップ3に太刀打ちできるかはわかりませんが、それ以外のチームとならば負けじとも劣らない試合をすることは間違いありません。

先週8位から順位を1つ上げて今週7位となったのがテキサスA&M大。フロリダ大、ミシシッピ州立大、アーカンソー大とここのところ3連勝と波に乗る彼らはこのまま行けばCFP制度が導入されてから初めて「ニューイヤーズ6」ボウル(ポストシーズンに開催されるボウルゲームの中でも最上位に位置付けされる6つのボウルゲーム)に招待される可能性は十分出てきます。

9位に飛び込んできたのは独立校/無所属のブリガムヤング大。パンデミックの影響で多くのカンファレンスが交流戦(ノンカンファレンスゲーム)をキャンセルしたため、無所属のブリガムヤング大は穴の空いたスケジュールを中堅レベルチームで埋めなければならなくなり、その結果ストレングスオブスケジュール(スケジュールされた全対戦相手のレベルの高さを示す度合い)が下がってしまいましたが、それでも彼らがここまで成し遂げてきた7勝無敗という記録は評価されるべきであり、9位に上昇してきたことはカレッジフットボールファンとしては大変喜ばしい出来事だと思います。

そして10位には先週試合がなかったウィスコンシン大が順位を9位から一つ落としてきました。試合がなかった理由というのが部内で新型コロナウイルスの感染が起きたため。今週末のパデュー大戦が開催されるかは明日発表されるということですが、Big Tenカンファレンスは開催不可能となった試合は振替開催されずにノーコンテストとなるため、もし今週末も試合がないとなるとウィスコンシン大は最大で6試合しかプレーできないことになり、これはもし勝ち進んだとしても6勝0敗にしかならなくなるということで、CFP出場候補に挙げられた時6勝0敗の彼らと10勝0敗の他のチームが並んだとしたらウィスコンシン大の印象は悪くなってしまいます。果たして今週の試合は開催されるのか・・・。


11位〜15位

今週11位先週試合がなかったものの12位から1つランクを上げたマイアミ大。既にクレムソン大に負けてしまった彼らにとって、ACCタイトルゲームに出場するためにはノートルダム大がクレムソン大に負けてもらう必要があります。もしノートルダム大が勝ってしまうと1敗となるクレムソン大に直接対決で敗れているマイアミ大は上位2チームに割って入ることができなくなるからです。彼らに出来ることはとにかく勝ち進むことしかありません。

12位には今週いよいよ開幕するPac-12カンファレンスからオレゴン大です。昨年ローズボウルに出場してウィスコンシン大に勝利し12勝2敗でシーズンを終えた彼らは今季開幕前から下馬評は高かったのですが、パンデミックで一時カンファレンスは秋シーズン開催を見送る決断をし、そのことで開幕が他カンファレンスより大きく遅れてしまいました。Pac-12カンファレンスは全7試合の行程でバイウィーク(お休みの週)はなし。果たしてコロナの影響を受けずに7試合全てをこなすことができるでしょうか・・・。

今週13位はインディアナ大。開幕戦でペンシルバニア州立大に勝利し圏外から17位に飛び込んできた彼らは先週ラトガース大先にも勝ちさらに順位を13位まで上げてきました。これでBig Tenチームとしてはオハイオ州立大、ウィスコンシン大に続き3番手のチームとなり、開幕前にはだれも予想打にしなかった展開となっています。ちなみに13位という順位は1987年に11位まで上がった時以来最高順位。果たしてどこまで順位をキープできるでしょうか。

14位には先週6位だったオクラホマ州立大。彼らはテキサス大にオーバータイムの末敗れ今季初黒星を喫してしまいました。今季はリーグでも突出したディフェンス力に安定したオフェンス力で久しぶりのリーグタイトルを手中に入れることが出来るかと思われていた矢先の敗戦。流石に5つもターンオーバーを犯していては勝つ試合も逃してしまうわけです。

そして15位には「グループオブ5」カンファレンス群出身で未だ無敗のコースタルカロライナ大。彼らは先週ジョージア州立大を51対0という圧倒的強さを見せて撃破。快進撃を支える「ブラックスワン」オフェンスは相手にたったの106ヤードしか許さないという驚愕の数字。今季パンデミックで普通ではないカレッジフットボール界を闊歩するコースタルカロライナ大の快進撃は見ていて清々しいです。

16位以下

15位のコースタルカロライナ大と同じく「グループオブ5」出身で無敗のマーシャル大が今週16位。先週はコロナの影響でフロリダインターナショナル大との試合が延期となりましたが、これで予定されていた8試合中3試合が延期となる末恐ろしい状況に。それにも左右されることなく彼らは連勝を続けています。彼らもこのまま完全無敗でシーズンを終える可能性は高いです。

その下には先週16位以下にいたチームたちが軒並みランキングを上げてきていますが、その中でも先週24位にランクインして復活したオクラホマ大がさらに順位を19位まで上げたほか、彼らのライバルでもあるテキサス大が今週22位にランクされて再びトップ25に戻ってきました。今週開幕するサザンカリフォルニア大が21位、そして今週末ブリガムヤング大との激突を控えるボイジー州立大は25位から21位へ。

その他にも24位には先週ディフェンディングチャンピオンのルイジアナ州立大を48対11の大差で破り4勝2敗としたアーバン大がランキングに復活。そして25位にはリバティー大がきました。

リバティー大は今年でFBS(フットボールボウルサブディビジョン)3年目の新参チーム。そのチームを率いるのはヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督ですが、彼は元々SECのミシシッピ大を率いていた腕の立つコーチ。それまでSECでも中堅チームだったミシシッピ大を超アグレッシブなリクルーティングとハイテンポのスプレッドオフェンスにより短期間でカンファレンスで名を挙げました。特に2014年と2015年にはアラバマ大から2連勝を飾るなど確かな手腕を見せましたが、2017年シーズン開幕直前に大学から支給された携帯電話で売春婦サービスを手配したというスキャンダルが発覚し即辞任。以来2年間は懺悔の日々を送っていました。

参考記事 ミシシッピ大のフリーズ監督が辞任

元々コーチとしての才能はトップレベルだったフリーズ監督にセカンドチャンスを与えたのがリバティー大。昨年いきなり8勝5敗でチーム史上初のボウルゲームに出場(キュアボウル)と今年もその勢いを止めることなくここまで6連勝。限られたタレントだけでここまでの結果を残せるというのはさすがという以外ありません。今週末はスケジュールの中でも最も厳しい戦いとなるバージニア工科大との試合が控えていますが、仮にこの試合をモノにできたとしたらフリーズ監督には大御所チームからヘッドハンティングの声がかかりまくることでしょう。

一方先週ミシガン州立大にまさかの敗戦を喫してしまった名門ミシガン大は13位から23位に急降下。開幕戦を痛快な勝利で飾りいよいよミシガン大時代到来かといった矢先の敗戦ということで膨らんだ希望が縮んでしまうのにそう時間を要しませんでした。まだ6試合残されており取り返すことはまだまだ出来ますが、この早い段階での黒星は多くの人をがっかりさせてしまったことに代わりはありません。

圏外脱落チーム

一方先週敗北してランキングから転落したチームが3チームあります。

1つ目のチームは先週15位だったノースカロライナ大。先週はランク外のバージニア大に44対41というハイスコアの末惜敗。今季最高で5位まで上昇していたことを考えるとこの転落の度合いには驚かされます。

2つ目のチームはカンザス州立大。彼らはウエストバージニア大に37対10と惨敗。オクラホマ州立大が敗れたためカンザス州立大が勝っていれば彼らがリーグ内で首位に立てるところでしたが、この絶好のチャンスを自ら潰したばかりかランキングからも姿を消す結果となってしまいました。

そして3つ目のチームはペンシルバニア州立大。先週は3位のオハイオ州立大との直接対決に敗れ開幕から早くも2連敗。8位スタートだったのにも関わらず早くもランキング外へ転落とはなんともカレッジフットボールとは非情な世界なのでしょうか。

総評

今週はトップ5の顔ぶれが変わりませんでしたが、前述したとおりクレムソン大とアラバマ大の差が一気に縮まり、投票者一人が順位を一つ入れ替えていただけで首位チームがスイッチしていた可能性もあったというところまできました。オハイオ州立大を含めこの3チームがCFP出場に一番近いという言い方は出来ると思いますが、1位のクレムソン大と2位のアラバマ大との差がたったの2ポイントであるのにたいし、アラバマ大と3位のオハイオ州立大の差が104ポイントもあることを考えると実力だけで言えば上位2チームが突出しているという評価を受けていることが分かります。

また6位のシンシナティ大、9位のブリガムヤング大、15位のマーシャル大、16位のコースタルカロライナ大、18位のサザンメソディスト大、21位のボイジー州立大、25位のリバティー大と「パワー5」以外の「グループオブ5」ないし独立校チームたちがトップ25位に食い込んでいるのが新鮮です。Pac-12カンファレンスが開幕し、ワシントン大、ユタ大、スタンフォード大などがランキングに食い込んできてそれらの中堅チームたちがランク外へ弾かれる可能性はありますが、こういったチームたちにスポットライトが当たるのは大変素晴らしいことだと個人的には思います。

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