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獅子奮迅【2020年度第9週目レビュー】

獅子奮迅【2020年度第9週目レビュー】

今年の第9週目の土曜日はちょうどハロウィーンと重なりました。だからといってなんだと言うわけではないのですが、おばけやゾンビなどおぞましいイメージも強いハロウィーン当日だったからかどうか、カレッジフットボールでもおぞましい結果となった試合がちらほら・・・(前フリとしては厳しいかな苦笑)。

そんな10月最後の第9週目のカレッジフットボールを振り返ります。

オハイオ州立大

38

18 
ペンシルバニア州立大

25

本当だったらペンシルバニア州立大のホームゲームの風物詩である「ホワイトアウト(ファンが白い服を来てスタジアムを真っ白に染める試合)」だったはずのこの試合はパンデミックの影響でほぼ無観客に。そんな中行われたBig Ten東地区チーム同士の激突は全米3位のオハイオ州立大が勝利を手中に入れてトップランカーとしての力の差を見せつけました。

先週行われたネブラスカ大との試合ではランオフェンスに一抹の不安を残しましたが、この試合ではRBマスター・ティーグ(Master Teague III)の110ヤードに1TDのパフォーマンスを含むチーム合計208ヤードを足で稼ぎその不安を払拭。また同じくネブラスカ大戦でやられたインサイドランでもこの試合ではフロントセブンがフィジカルさを十分に披露しペンシルバニア州立大のランアタックをたったの44ヤードに抑えることに成功しました。

チームオフェンスの要であるQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)も相変わらずの冴えたプレーをみせ34投中28投のパスを成功させ318パスヤードに4TDを獲得。さすがハイズマントロフィー候補選手というところを見せつけました。

この試合ではオハイオ州立大のOL陣が奮闘。上記のようにランアタックの屋台骨となりさらには許したQBサックもたったの2つと健闘。おそらくネブラスカ大戦後にフィジカルさに疑問を投げかけられたことを奮発材料として自分たちが全米でもトップレベルであることを証明したかったという意地の結果だったのでしょう。

ペンシルバニア州立大WRヨハン・ドットソン(Jahan Dotson)が3つのTDを含む144ヤードのレシーブヤードをオハイオ州立大バックフィールドから獲得。特にこのTDキャッチは超絶プレー。

ドットソンにここまでやられたことに多少の不安は抱えますが、全体的に見てスコア以上にオハイオ州立大とペンシルバニア州立大の差はあったように感じます。

オハイオ州立大はBig Tenカンファレンス3連勝中ですが、そんな中でも唯一彼らを苦しめてきたのはペンシルバニア州立大でした。

2019年:28−17

2018年
:27−26

2017年
:39−38

そのペンシルバニア州立大ですらオハイオ州立大には3連敗ということで、以下にBig Tenカンファレンスでオハイオ州立大の力が抜きん出ているかが分かると思います。

ペンシルバニア州立大は上の通りドットソンが一人気を吐いていましたが、ランゲームを構築できなかったのが痛かったです。QBショーン・クリフォード(Sean Clifford)も3TDに281パスヤードを記録しはしましたが、フィールズほどのプレーメーキングを披露することは出来ず、地力の差が出た形になりました。

またこの試合でもコーチングの面で首を傾げたくなる場面がペンシルバニア州立大側にあり、その最たる場面は前半終了間際に相手を3rdダウンに追い込みながら持っていたタイムアウトを行使せずにそのままハーフタイムに突入されたところです。21対6とリードされていたのですから、ここは1分以下であったとしても攻撃権を奪って最低でもFGを狙ってほしかったですね。

オハイオ州立大はこれで今シーズン最大の山場と思われていた試合を無事に白星で乗り切り、あとはBig Tenカンファレンス優勝決定戦まで早くも一直線と言ったところ。一方のペンシルバニア州立大は8位発進だったのにも関わらず2連敗でランク外へ転落。Big Ten東地区の明暗が別れました。

ボストンカレッジ

28

クレムソン大

34

QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)がコロナウイルスに感染してしまったせいでこの試合が出場不可能となってしまったクレムソン大。それでも有利だと思われていボストンカレッジ戦では思わぬ苦戦を強いられましたが、後半に一気に逆転して世紀のアップセットを回避しました。

ローレンスの代役として出場したのは期待の1年生D.J.ウイアンガラレイ(D.J. Uiagalalei)。長身の上かなりの体格の持ち主である彼はかつてのダンテ・カルペッパー(Dante Culpepper、元セントラルフロリダ大)を思い起こさせますが、次期クレムソン大を担う期待の大型新人。

ウイアンガラレイはRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)のハンドオフを少々ミスってファンブルを誘発しそれがボストンカレッジにリターンTDされた以外は予想以上の働きをしていましたが、けが人続出でディフェンス陣が手薄だったのが響いで前半を28対13で折り返すという予想外の展開。

しかし後半に入るとエティエンがランにレシーブに大活躍。84ランヤード(1TD)に140レシーブヤード(1TD)と鬼神のごとき活躍で15点あった点差を見事にひっくり返してローレンス不在のチームを守りました。また元々機動系のQBであるウイアンガラレイも後半になるとコーチ陣が彼の足を多用するようになり彼も1ランTDを奪いました。結局この日先発デビューとなったウイアンガラレイは342ヤードに2TDと1年生とは思えぬパフォーマスを見せてくれました。

ちなみにエティエンはこの試合で所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)の歴代最多ランヤード保持者となり名実ともにカンファレンスの歴史に名を残すRBとなりました。

また試合後、ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督は次戦となるノートルダム大との大一番にローレンスを欠場させることを早くも名言。この決断をこの段階でくだせた背景にはひょっとしたらウイアンガラレイが1年生としてでも十分にチームを率いることが出来ると分かったこと、そして未来あるローレンスに無理させる必要はないと感じたからなのかもしれません。つまりウイアンガラレイはノートルダム大戦先発出場のオーディションに合格した・・・ということなのでしょう。

ミシシッピ州立大

0

アラバマ大

41

全米2位のアラバマ大はミシシッピ州立大を完封。自身も余裕の41点を獲得して難なく6勝目をゲット。

先週スターWRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)をシーズン絶望となる足首の怪我で欠くことになってしまいましたが、彼の兄貴分でもあるデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)が4つのTDを含む203ヤードのキャッチを記録。ワドルの欠場は痛手であることに変わりはありませんが、アラバマ大には鋭い武器がまだまだ健在です。

ノートルダム大

31

ジョージア工科大

13

全米4位のノートルダム大はジョージア大相手に31対13と快勝。

ノートルダム大のスタイルは確かなランオフェンスと強固なディフェンスで試合の流れを呼び込むどちらかというと古典的なスタイルを好むチーム。この日もランで227ヤード(3TD)を稼ぎ、ディフェンスは相手のトータルヤードを238ヤードに抑える働きを見せて見事に自分たちの型にはめて敵をいなしました。

注目すべきは相手の3rdダウンコンバージョン率。ジョージア工科大はこの日12回のトライで5度しか1stダウンを奪うことが出来ず、ポゼッションタイム(攻撃権保有時間)も23分に留められてしまいました。

ノートルダム大はいよいよ来週1位のクレムソン大との対決。果たして彼らが天下の首を獲ることができるか・・・。

ジョージア大

14

ケンタッキー大

3

SEC(サウスイースタンカンファレンス)東地区同士の対決となったこの試合、当サイトの見どころページでもご紹介したとおりお互いのディフェンスがぶつかり合うロースコアゲームになりましたが、最後は脚力で勝るジョージア大がこの接戦を制して1敗を守りました。

ポゼッションタイムで10分もケンタッキー大に劣ったジョージア大はQBステソン・ベネット(Stetson Bennett)が2つのINTを放る失態を犯しチームの攻撃の目を自ら潰しましたが、この日光ったのはジョージア大のRBザミアー・ホワイト(Zamir White)。1TDを含む135ヤードを足で稼ぎパスで苦しむオフェンスに息吹を与えました。

ディフェンス的にはパワー・スピードともに申し分ないジョージア大ですが、いずれQBプレーが彼らのシーズンの明暗を分ける時が来るはず。それがひょっとしたら次戦のフロリダ大戦かもしれません。

一方ケンタッキー大は敗れて2勝4敗と黒星が先行しているものの、ディフェンス力は本物。これに得点力が付いてくればSECでもコンスタントに上位に食い込めるポテンシャルを持っていると感じました。

テキサス大

41

オクラホマ州立大

34

全米6位のオクラホマ州立大は名門テキサス大と対戦。試合の方はお互いがリードを奪い合うシーソーゲームとなりましたが、34対31とテキサス大リードで迎えた試合終了直前にオクラホマ州立大のFGが決まって34対34の同点となりオーバータイムへ突入。

OTでは先攻のテキサス大がQBサム・エリンガー(Sam Ehlinger)からWRジョシュア・モアー(Joshua Moore)へのTDパスで先制。後のないオクラホマ州立大は最低でも同点として2度目のOTへ持ち込みたいところでしたが、4th&8ヤードという絶体絶命の場面でQBスペンサー・サンダース(Spencer Sanders)がQBサックを喰らい万事休す。彼らにとって今季初黒星を記録してしまいました。

これでとうとうBig 12カンファレンスから無敗チームがなくなってしまい、CFP(カレッジフットボールプレーオフ)へ同リーグ出身チームを送り出す可能性が極めて低くなってしまいました。お互いが足元を救い合うBig 12カンファレンスの「伝統」はここでも生きていたのです。

メンフィス大

10

シンシナティ大

49

グループオブ5」カンファレンス群同士の戦いとなったこの試合、7位のシンシナティ大にランク外のメンフィス大が挑みました。メンフィス大は昨年のAAC(アメリカンアスレティックカンファレンス)の覇者でありランクされていないとは言えシンシナティ大を大いに苦しめると予想していましたが、スコアを見ていただければ分かると通りその予想は大きくハズレました(汗)。

特筆すべきは彼らのディフェンス。許したトータルオフェンスは321ヤードでしたが、そのうちランヤードはなんとたったの5ヤード。1プレーの平均ランヤードが0.2ヤードというのですからいかにシンシナティ大フロントラインがメンフィス大のランアタックを許さなかったかが分かると思います。

またオフェンスではパスで271ヤード、ランで242ヤードと大暴れ。「グループオブ5」出身とは言えシンシナティ大の強さは本物です。

アーカンソー大

31

テキサスA&M大

42

全米8位のテキサスA&M大は新星アーカンソー大と対戦。彼らが終始リードを奪うも後半アーカンソー大が猛追。リードされても諦めない彼らの姿は以前のチームには見られないものでしたが、テキサスA&M大がこれを振り切りホームで4勝目を挙げました。

ここ数試合のテキサスA&M大を見ると彼らには以前よりも増してタフネスさが付いたように思えます。アラバマ大に52対24と完敗した試合で何かが吹っ切れたのかその次の試合でフロリダ大に勝利するとそこから3連勝。最新のランキングでは7位にまで上昇するほどの復調ぶりには目を見張るものがあります。

彼らはこのまま勝ち続ければポストシーズンのボウルゲームのラインアップの中でも最上級とされる「ニューイヤーズ6」ボウルのいずれかに招待される可能性はかなり高くなるでしょう。そうなればジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督を75億円でフロリダ州立大から引き抜いた価値があったと言えそうです。

ミズーリ大

17

10 
フロリダ大

41

フロリダ大は10月10日に行われたテキサスA&M大のと試合に敗れて以来チーム内で新型コロナのクラスター感染が起きたために実戦から遠ざかっていました。練習が再開できたのもこのミズーリ大戦のつい5日前のこと。果たしてこの3週間のブレークで彼らのチーム力が錆びついてしまったかと危惧されましたが・・・。

蓋を開けてみればスコアの通り圧勝。QBカイル・トラスク(Kyle Trask)は投げては345ヤードに4TD、走ってもチーム最多となる47ヤードと無尽蔵の活躍。またディフェンス陣もミズーリ大のオフェンスをパス208ヤード、ラン40ヤードに抑える奮闘を見せ相手を全く寄せ付けませんでした。

3週間試合がなかったせいで少々彼らの存在感が薄れていましたが、全米中の注目を引き寄せるには十分なくらいの試合結果となりました。

ちなみにこの試合の前半終了時、両チームで激しい乱闘騒ぎが勃発。おそらく理由はQBトラスクへの無意味なミズーリ大選手のラフプレーだったのでしょうが、パンチが入り乱れる大混乱。この影響で両チーム合わせて3人が退場処分となりました。

そしてハーフタイムに突入する際フロリダ大のダン・マレン(Dan Mullen)監督は興奮してスタジアムにいるファンを鼓舞。これに呼応したファンの後押しを受けて後半も得点を重ねてミズーリ大を引き離したのでした。

ウエスタンケンタッキー大

10

11 
ブリガムヤング大

41

11位のブリガムヤング大はホームでウエスタンケンタッキー大を一蹴。開幕以来7連勝と彼らを誰も止めることはできません。

確かに無所属/独立校の彼らの対戦相手は「パワー5」カンファレンス群チームに比べると見劣りしますが、それでも彼らの戦力を無視することは出来ません。特にQBザック・ウィルソン(Zach Wilson)はここに来てNFLスカウトが熱視線を送る選手。ここまで稼いだトータルパスヤード2152ヤードは全米4位、パスTD数19は全米3位、QBレーティングも全米8位と破竹の勢いです。

残る試合は3試合、そのうちの1つである次戦の相手のボイジー州立大は現在全米21位。ブリガムヤング大の夢のパーフェクトシーズンに立ちはだかる事実上最後の敵とどう戦うか・・・。ウィルソンの活躍とともに是非注目してみて下さい。

17 
インディアナ大

37

ラトガース大

21

先週当時8位のペンシルバニア州立大から金星を奪ったインディアナ大と、ミシガン州立大に勝って3年ぶりのリーグ戦アウェーゲーム白星を挙げたラトガース大というストーリー的にはどちらも応援したくなるマッチアップ。 試合の方はインディアナ大が勝利をもぎ取ったのですが、この試合で特筆すべきはこのプレー。16点を追うあとのないラトガース大は4th&32ヤードという絶体絶命のシーンを迎えます。そこで彼らはこの奇跡のプレーを現実のものとしたのです。 ただこれはビデオ判定の末#15のパス(動画19秒あたり)がフォーワードパスだったと判断されTDは幻に。それでも見ているファンをハラハラドキドキさせてくれるには十分なプレーでした。
ミシガン州立大

27

13 
ミシガン大

24

先週ミネソタ大に快勝したミシガン大。新QBジョー・ミルトン(Joe Milton)という新たな武器を手に入れた彼らはいよいよ何か大きなことをやらかしてくれそうな雰囲気に満ちあふれていましたが、そうは問屋が卸さないとしたのが同じミシガン州出身のミシガン州立大。先週ラトガース大に敗れ今季の展開に黒雲が立ち込めていたため、まさか彼らがミシガン大を倒すとは夢にも思っていましたが、その予想をいい意味で裏切ったミシガン州立大が一攫千金の白星を手中に収めました。

スタッツを見ると数字的には同じかもしくはミシガン大の方が上のものが目立ちますが、注目はミシガン州立大QBロッキー・ロンバルディ(Rocky Lombardi)に許したロングパスの数々。彼のこの日のパスヤードは323ヤードに3TDでしたが、パス成功率は32投中17投成功と成功率はたったの53%。それなのに1投の平均ヤードが10ヤードを超えているということは、彼がミシガン大DB陣らから長いパスを多く稼いだということになります。

強力とされてきたミシガン大ディフェンス陣ですがこの試合でバックフィールドの脆さが露呈。このことは今後ミシガン大が勝ち星を重ねていく上で再調整が必須なポイントです。しかしそれよりも折角盛り上がっていたミシガン大復活の機運を2戦目で摘み取ってしまう形になったことは、今年勝負の年とされているジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督にとっては大打撃です。しかもこの敗戦で彼は州内ライバルであるミシガン州立大、そして永遠のライバルであるオハイオ州立大との対戦成績が1勝6敗となってしまい、契約最終年となるハーボー監督に逆風となってしまうでしょう。

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