ボイジー州立大で手腕を発揮し3年前にいよいよパワー5カンファレンスの一つであるPac-12カンファレンスに所属するワシントン大のヘッドコーチに就任したクリス・ピーターセン(Chris Petersen)監督。その成果は確実に数字として現れており、昨年はカンファレンスタイトルを奪取し念願のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)にも進出を果たしました。長らくカンファレンス内でも中堅チームとして燻っていたワシントン大の大学側にとっては、ようやく適任のコーチを射止めたと安心していることでしょう。
しかし当のピーターセン監督は昨年の活躍、特にCFPに進出したことがチームにとって最高の出来事であったかどうか、イマイチぴんと来ていないようです。
「何度もそのこと(CFPに出場したこと)を振り返って考え直してみますが、それだけをとってよくやった、と言えるかどうかよくわからないのです。試合は終わってしまったことですし、我々としてはあのゲームを他のどのゲームとも変わらず同じように分析してそしてそれを次に活かすことぐらいしかできないのですから。」
「あのゲーム」とは準決勝戦での対アラバマ大戦のことです。この試合ではワシントン大が先制し、この試合まで5試合連続TDを許さなかったアラバマ大からTDを奪うという快挙を成し遂げましたが、結果的には彼らはそれぐらいしかさせてもらえず、24対7で敗れてしまいました。
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ワシントン大が力をつけて来ているのは確実ですが、それだけではピーターセン監督は満足していないのです。チームが強くなっていくにはリクルーティングにも力を注がなければなりませんが、リクルーティングでも他のチームを出し抜くにはチームがコンスタントにハイレベルで戦える状態を保持しなければなく、それをピーターセン監督は熟知しているのです。
「チームの育成には時間がかかります。いいシーズンを送れば今度はそれを長続きさせなければならないのは誰でも分かっていることです。もちろんそれは次に繋がるいいステップです。しかしそれで目が眩んでしまってはいけないんです。我々のリクルーティングは非常にうまくいっています。いい選手が揃わなければプレーオフになんて進めません。リクルーティングでも誰もがランキングをつけたがりますが、どのランキングが我々をどの順位に格付けしようが我々がすべきことは変わらないのです。」とピーターセン監督は冷静に話しています。
確かに準決勝戦ではアラバマ大にやられてしまったワシントン大。それは彼らが望んだ結果ではありませんでしたが、それでも2016年度シーズンは彼らにとって飛躍の年になったことはいうまでもありません。彼らが二桁勝利を記録したのは2000年以来のことですし、総合戦績12勝2敗という数字は1991年以来のベストレコードでした。来シーズンこそプレーオフに進むだけでなくその先で試合に勝利することを目標にピーターセン監督率いるチームはシーズンに突入していくことでしょう。
ただカンファレンス内ではサザンカリフォルニア大がワシントン大と同じくらい上向きでシーズンを終えていますので、まずはカファンレスを制することから始めなければなりません。ただもし彼らが再びプレーオフに進出することになれば、その時はワシントン大が本当の意味で強豪チームの仲間入りを果たすことになるでしょう。昨年のような快進撃を再現することができるか・・・。彼らの動向に注目が集まりそうです。