10年ぐらい前はヘッドコーチが200万ドル(約2億円)を稼いだコーチがいたら凄いことだと騒がれたものですが、時代は変わり今では全米で実に72人のコーチが100万ドルの大台を超えてきています。さらにフットボールコーチのサラリーは増え続け、いまではヘッドコーチだけでなくアシスタントコーチですらミリオン越えを果たすまでに至りました。その数はトータルで12人までに上ります(2016年時点)。
その中でも段違いなのがミシガン大。ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督一人だけで900万ドル(約9億円)を昨年所得しましたが、これはハーボー監督がこの大金を稼ぐまでトップを走り続けていたアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督が稼いだ約700万ドル(約7億円)をも大きく上回る額です。
そしてこの度彼のアシスタントコーチにも大台の100万ドルのサラリーが約束されることになったのですが、なんと一人だけでなく一度に三人のアシスタントコーチにそれぞれ100万ドルの年収が支払われることになったのです。もちろん三人のアシスタントコーチにこれだけの額を支払うチームは全米中探してもミシガン大だけです。
この巨額のサラリーを受け取ることになったアシスタントコーチはディフェンシブコーディネーターのドン・ブラウン(Don Brown)、オフェンシブコーティネーターのティム・ドレヴノ(Tim Drevno)、そしてアシスタントヘッドコーチのペップ・ハミルトン(Pep Hamilton)の三氏。
ブラウン氏率いるミシガン大ディフェンス陣は昨年トータルディフェンスで全米1位を獲得(アラバマ大とタイ)。昨年12月に契約更新した際に5年契約を結び、最初の4年間は年収100万ドル、そして5年目には140万ドルに増額される契約内容となっています。もし彼が契約途中でミシガン大を退団する場合はミシガン大に25万ドルを違約金として払わなければならない契約内容になっています。
ドレヴノ氏は今年1月に契約更新を行い、5年間でそれぞれ100万ドルの年収。もし彼がどこか別のチームでヘッドコーチに就任する場合には違約金は発生しませんが、それ以外の理由で退団する場合には15万ドルをミシガン大に支払うことになっています。
これまで主に活躍の場をNFLで過ごし、今年1月にミシガン大に合流したハミルトン氏はミシガン大と4年契約を締結。最初の3年間のサラリーは年収100万ドル、そして4年目には少し増額して125万ドル。契約途中でチームを抜ける場合にはトレヴノ氏と同様に15万ドルの違約金が発生します。
しかもこの三人とも(その他のアシスタントヘッドコーチも含め)チームの動向次第ではボーナスが上乗せされる可能性も残されています。
カレッジフットボールの世界で上までのし上がれるコーチはそう多くはありません。ましてやハーボー監督やセイバン監督のような大金を手にできるコーチはほんの一握り。しかしコーチ界に生きる以上皆その高みに向かって突き進むことでしょう。アシスタントコーチはチームを替えながらランクを上げていくものです。ですからチャンスがあれば今現在所属しているチームを1年そこらで出ていくコーチもざらです。そんな中ミシガン大は有能コーチに大金を支払い(バイアウトの違約金も含め)彼らを囲おうとしているのです。それもこれもミシガン大のように資金が潤沢であるチームだからこそなせる技。そしてそれと同時にミシガン大が自身のフットボールチームをどんな手を尽くしてでも全米の頂点に立たせようとしている意気込みもひしひしと感じます。