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NCAAが「5年間の出場資格」を導入 

NCAAが「5年間の出場資格」を導入 

NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1部は2026年6月、学生アスリートの出場資格、いわゆる「エリジビリティ」に関する大幅な制度改革を承認しました。

これまでの制度では、基本的に「5年間の資格期間の中で4シーズン出場」というルールが採用されていました。しかし、新制度ではこの「4シーズン」という制限をなくし、原則として5年間の資格期間そのものを基準にすることになります。NCAAはこれを「年齢ベースの資格制度」と位置付けています。

一見すると、「5年間プレーできるようになった」という単純な話に思えるかもしれません。しかし、実際にはカレッジフットボールの長年の慣習だったレッドシャツ制度などにも関係する、かなり大きな変更です。今回はこれを詳しく説明していきます。

これまでの「5年間で4シーズンのプレー資格」とは?

これまでディビジョン1部では、選手には原則として5年間の資格期間が与えられ、その中で競技に出場できるのは4シーズンまで、という仕組みでした。

それを可能にしてきたのが「レッドシャツ」です。

たとえば、1年生の選手が試合にほとんど出場せず、そのシーズンを「レッドシャツ」として扱えば、その年を出場シーズンとして消化せず、翌年以降に4シーズンをプレーすることが可能でした。最近ではレッドシャツシーズンでも4試合までなら試合に出場することができるとルール改正もされました。これはカレッジフットボールを長く見ているファンにとってはお馴染みの制度ですよね。

ところが、この仕組みは実は非常に複雑でした。

試合に何試合出場したのか、入学時期はいつなのか、ケガをしたのか、特別な事情があったのか・・・。特に複数のシーズンエンディングの重傷を負った選手がその度にメディカルウェイバーを認定されてプレー資格を延長することで、8年ないし9年もカレッジでプレーするなんていうケースもありました。

今回の改革は、こうした複雑な仕組みを大幅に整理するものです。

新制度では何が変わるのか?

新しい制度では、原則として選手の資格期間を5年間の連続した期間として扱います。

資格期間は、原則として「大学にフルタイムで最初に入学した時期」と「19歳の誕生日の翌学年度」のうち、早い方を基準にスタートします。

そして、その「5年間」という期間では、これまでのように「何シーズン出場したか」を数える方式ではなくなります。

つまり、「1年目はレッドシャツにして、出場シーズンを温存する」という考え方そのものが基本的に不要になるのです。

NCAAは今回の改革によって、選手や家族、コーチ、大学のコンプライアンス担当者にとって、資格制度をより分かりやすく、予測しやすいものにすることを狙っています。

なお、一般に「5年・5シーズン制度(5 for 5)」と呼ばれることがありますが、NCAA自身は「5 for 5」という表現は正確ではないと説明しています。重要なのは、単純に「5シーズンが保証される」ということではなく、年齢と大学への初回入学時期を基準にした5年間の資格期間だという点です。

カレッジフットボールへの影響は?

特に大きいのが、ロースター管理です。

これまでコーチは、選手がレッドシャツを使うのか、何シーズン出場したのか、メディカルウェーバーの対象になる可能性があるのかなどを細かく管理する必要がありました。しかし、新制度ではこうした管理がかなりシンプルになります。

選手が大学を移籍した場合でも、基本的な資格期間という共通の枠組みで考えられるため、コーチにとってはロスターを組みやすくなることが期待されています。これは、現在のカレッジフットボールで重要性を増しているトランスファーポータルとも無関係ではありません。

しかし、注意しなければならないのは、この新制度がすべての選手に一律に「5年間の出場」を保証するわけではないということです。

2026年秋以降に大学へ初めてフルタイムで入学する選手については移行措置が設けられています。そして、2027年秋以降に初めてフルタイムで大学へ入学する選手から、新しい年齢ベースの制度が完全に適用されます。つまり、それ以前に大学に入学してきた選手たちにはこの新制度は適用されないわけです。

これは今後(というかすでに起きていますが)この新制度が適用されない選手たちから訴訟を起こされるという可能性を秘めています。

なぜ今、ルールを変えるのか?

その背景には、現在のカレッジスポーツを取り巻く環境の変化があります。

NIL(Name/Image/Likeness、肖像権などを元手に学生アスリートが収入を得るシステム)、レベニューシェアリング(大学の収益を学生アスリートに還元するシステム)、トランスファーポータルなどによって、大学スポーツは以前とは比較にならないほど流動的になっています。

その一方で、従来の資格制度は、レッドシャツ、出場シーズン、メディカルウェーバーなど複数のルールを組み合わせて判断する必要がありました。またそのルールの穴を縫って5年以上プレーしようと試みる選手やチームが現れるなど、ある意味カオスな状態に陥っていたのです。

しかし、今回の新制度でプレー機会を温存する必要も、怪我でシーズンを棒に振ってしまったことで何年もプレー資格を追加することもなくなるわけです。つまり、これはレッドシャツ、およびメディカルレッドシャツの終焉を意味しています。そして何があっても5年分しかプレーできないと上限を定めたことで、これまでのように6年以上も何かと理由をつけて居座ることを不可能にしたわけです。

NCAAのチャーリー・ベイカー(Charlie Baker)会長は、今回の制度について、学生アスリートが理解しやすく、大学側も予測しやすい制度にすることを重視しています。NCAAによれば、ディビジョン1部の学生アスリートのうち、2024年に学士号を取得した選手の98%が大学入学から5年以内に卒業していました。つまり、5年あればアスリートであっても大学を卒業して社会に出ていけるはずだ、という前提のもとにこの5年の期間が設けられたわけです。

今回の制度変更は、単に「選手が1年多くプレーできるようになった」というニュースではなく、あくまで「大学で何年間プレーできるのか」というカレッジフットボールの基本ルールそのものを、よりシンプルな仕組みに作り替えるという改革です。

NILやトランスファーポータルによって大きく姿を変えつつあるカレッジフットボールにおいて、選手のキャリアをどう管理するのかという問題は、今後さらに重要になっていくと思われますので、その中で「プレーできるのはマックス5年間」と杭を打ったのは画期的なことだと思います。

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