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ローズボウルの見どころ【2025年度CFP準々決勝戦】

ローズボウルの見どころ【2025年度CFP準々決勝戦】

#9 アラバマ大 vs #1 インディアナ大

🇺🇸 1月1日4:00PM ET | 🇯🇵1月2日6:00AM
🏟️ ローズボウル(カリフォルニア州パサデナ)

お正月に行われるCFP準々決勝戦第3戦目はローズボウルで激突する第1シードのインディアナ大と第9シードのアラバマ大のゲームです。

今回のローズボウルは、単なるプレーオフの一戦以上の意味を持っています。それは、ここまで史上最多となる18回の全米王座に輝く名門アラバマ大に対し、大学史上初となる全米1位のランクを手にし初優勝を目指すインディアナ大とのマッチアップという、「王朝」対「新星」の構図となっているからです。

インディアナ大にとっては1968年以来のローズボウル出場であり、一方でアラバマ大にとっては3敗を負いながら苦難のシーズンを乗り越えて臨む大舞台です。伝統的にBig TenカンファレンスPac-12カンファレンスの王者が対戦してきたこの舞台で、新たに12チーム制となったプレーオフの準々決勝として、全米の注目が集まっています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

スタッツ比較

#1 インディアナ大#9 アラバマ大
得点数41.931.4
失点数10.817.9
トータルオフェンス472.8380.9
パスオフェンス251.6270.2
ランオフェンス221.2109.9
トータルディフェンス257.2288.9
パスディフェンス179.5168.4
ランディフェンス77.6120.6
ターンオーバーマージン+17+8
3rdダウンコンバージョン成功率55.5%42.7%
3rdダウンコンバージョン阻止率71.9%64.9%
レッドゾーンオフェンス90.8%88.1%
レッドゾーンディフェンス77.2%75.6%

ダビデとゴリアテ

インディアナ大は、カート・シグネッティ(Curt Cignetti)監督の下で創部史上最大の転換期とも言えるシーズンを過ごしています。開幕前は伏兵に過ぎなかった彼らは、ハイズマントロフィーを受賞したQBフェルナンド・メンドーサ(Fernando Mendoza)を中心に完全無敗の13勝0敗を記録し、1967年以来となるBig Tenカンファレンスタイトルを獲得しました。

これまで彼らはカンファレンスでも中堅から下位界隈を行ったり来たりする程度の存在で、その頃の彼らのことを知る皆さん(筆者も含めて)にとっては現在のインディアナ大の立ち位置は未だ信じられないという感じが強いと思います。しかし彼らはもはや「アンダードッグ」ではなく、ラスベガスの予想屋からも本命予想される存在となったのです。

対するアラバマ大は、「GOAT」ニック・セイバン(Nick Saban)前監督の元で2009年以来実に6度の全米制覇を成し遂げてきた、カレッジフットボール界の「ゴリアテ」です。その間ハイズマントロフィー受賞者が3人(マーク・イングラムデヴォンテ・スミスブライス・ヤング)、NFL 入りした選手が141人(しかもそのうち50人がファーストラウンダー)と、まさにカレッジフットボール界を牽引してきた大御所中の大御所なわけです。

そのセイバン前監督が2023年度シーズン後に引退し、彼からケイレン・デボアー(Kalen DeBoer)監督へと体制が移行し今季で2年目となりますが、今季は浮き沈みの激しいシーズンを送ってきました。しかし、なんとか滑り込んだCFPでは、プレーオフ1回戦のオクラホマ大で17点差のビハインドを跳ね返して34対24で逆転勝利を収め、その底力を世に見せつけてくれました。

カレッジフットボール界の歴史を見ても常に優勝レースに絡む強豪アラバマ大と、シグネッティ監督体制で急成長を遂げた新興チームと言えるインディアナ大の「ゴリアテとダビデ」のような構図がこのローズボウルで再現されるわけです。

コーチたちの数奇な因縁

この2チームの対決をさらに興味深くさせているのが、両チームの監督による「古巣対決」という点です。

アラバマ大のデボアー監督はかつて2019年に1年だけではありますが、インディアナ大のオフェンシブコーディネーターを務めました。この年のインディアナ大のオフェンスはパスオフェンスでカンファレンス2位(1試合平均302.4ヤード)、トータルオフェンスで3位(1試合平均432.8ヤード)を記録し、さらにトータルヤード(5917ヤード)、得点数(385点)、パスヤード(3849ヤード)でそれぞれスクールレコードを樹立するなど、デボアーOCの下で大躍進を遂げました。

また当時のQBだったマイケル・ペニックス・Jr(Michael Penix Jr、現アトランタファルコンズ)のブレークアウトシーズンを支えたコーチでもあり、彼が怪我で戦線を離脱した後もバックアップだったペイトン・ラムジー(Payton Ramsey)のキャリアベストシーズンをお膳立てするなど、QB育成にも定評があったコーチでした。

このインディアナ大での成功があったからこそ、2020年にフレズノ州立大の監督に就任が決まりましたし、それがワシントン大での監督職への道標になり2023年にはCFPナショナルタイトルゲームに進むに至ったわけです。そう考えればデボアー監督が今アラバマ大にいることは、インディアナ大でOCを務め成功したことがきっかけだったと言えると思います。

一方のインディアナ大のシグネッティ監督ですが、彼はかつて今回対戦するアラバマ大でコーチをしていた過去があります。

セイバン監督がアラバマ大の監督に就任した初年度の2007年から2011年まで、シグネッティ監督はWRコーチ兼リクルーティングコーディネーターとしてセイバン監督に師事。セイバン体制初期に王朝の土台となるチームづくりに貢献し、RBマーク・イングラム、LBダンテ・ハイタワー(Dont’a Hightower)、WRフリオ・ジョーンズ(Julio Jones)といった逸材の勧誘に成功しました。

最近のインタビューでも当時セイバン氏の下でコーチできたことは後のコーチング人生に大きな影響を与えたと話しており、すでにセイバン氏は引退してしまいましたが、そんな自分にとって特別な思いのある古巣との対決に何か想いを馳せることもあるかと思います。

マッチアップ

アラバマ大のエアーアタック vs インディアナ大の「ボールホーク」

この試合で最も注目したいマッチアップは、アラバマ大のパスオフェンスと、今季全米トップクラスのターンオーバーマージンを誇るインディアナ大のセカンダリー陣の激突です。

アラバマ大のQBタイ・シンプソン(Ty Simpson)は今季3,500パスヤード、28TDを記録しており、チームはエリートクラスのWR陣(ジャーミー・バーナードアイゼア・ホートンライアン・ウィリアムス)らを擁しています。アラバマ大は直近の試合でランアタックが平均30ヤード以下に抑え込まれるなどしているため、彼らのオフェンスの運命は完全にシンプソンの右腕に託されているといえます。

これに対し、インディアナの守備陣は今季13試合でなんと17個ものインターセプトを記録しており、相手QBに「投げれば奪われる」という恐怖を植え付けてきました。特に全米ベストのセーフティの一人と目されるルイス・ モアー(Louis Moore、6INT)と、アマリ・フェレル(Amare Ferrell、4INT)のコンビは、相手QBの視線を読みルートを察知してボールを奪い取る全米屈指の「ボールホーク」として恐れられています。

アラバマ大がリスクを承知でディープパスを狙い続けるのか、それともインディアナ大がそれを狙い撃ちし、得意のターンオーバーで試合の流れを変えてしまうのか。一瞬も目が離せない空中戦となることは間違いありません。

ハイズマンQBメンドーサ vs 帰ってきたLT・オバートンとアラバマ大のフロントセブン

次に注目すべきは、今季ハイズマン賞を受賞したインディアナのQBメンドーサが、アラバマ大フロントセブンの執拗なプレッシャーをいかに捌くかという点です。

メンドーサは今季、素晴らしいパス成功率(70.8%)、33TD、わずか6INTという極めて精度の高いパフォーマンスを見せており、特に第3ダウンでの成功率は全米1位を記録しています。彼の冷静な判断に加え、機動力を活かしたRPO(ランパスオプション)で自らの脚で相手ディフェンスを掻き回せる能力は、アラバマ大の守備にとって最大の脅威です。

ただそんなアラバマ大にとっての朗報は、負傷で直近2試合を欠場していた主力DLのLT・オバートン(L.T. Overton)がローズボウルでの復帰をチーム医師団から許可されたことです。オバートンはアラバマの「Swarm」と呼ばれる4-2-5ディフェンスの要であり、彼がメンドーサにプレッシャーをかけることで、インディアナ大の正確なパスオフェンスに影響を与えられるかもしれません。アラバマ大がブリッツを多用してメンドーサからミスを誘えるかどうかが鍵となります。

インディアナ大のレシーバー陣 vs アラバマの長身コーナーバック

インディアナ大WRオマー・クーパー・Jr(Omar Cooper Jr.)はメンドーサのメインターゲット。Big Tenカンファレンス優勝決定戦で足首を負傷してしまいましたが、チームによれば彼はローズボウル出場に際し完全復活してくると言われています。50/50ボールに滅法強いクーパー・Jrに加え、チーム最多のレシーブTDを記録しているイライジャ・サラット(Elijah Sarratt)、そして重要な場面で信頼されるチャーリー・ベッカー(Charlie Becker)といった強力なレシーバー陣が魅力。特にベッカーは直近のオハイオ州立大学戦で126ヤードを記録するなど、大舞台に強いターゲットです。

この強力なレシーバー陣を迎え撃つのが、アラバマ大の若くも才能豊かなセカンダリーです。アラバマ大のコーナーバック陣は、長身で腕も長く、1対1の競り合いで無類の強さを発揮します。ドマニ・ジャクソン(Domani Jackson)とディジョン・リー・Jr(Dijon Lee Jr)はクーパー・Jrとサラットとの一対一に俄然注目が集まります。またキーオン・サブ(Keon Sabb)とブレイ・ハバード(Bray Hubbard)のSコンビも頼れる最後の砦。特にサブはミシガン大からのトランスファー選手で2023年にローズボウルに出場経験があり(奇しくもこの時はアラバマ大と対戦)、この大舞台でリーダーシップを大いに発揮してくれるでしょう。

そして最大の注目選手はゼビエン・ブラウン(Zabien Brown)。彼はテネシー大戦に続き前戦でのオクラホマ大戦でも試合の流れを変える「ピックシックス」を記録しました。彼のDBとしての臭覚がメンドーサのパスをも掻っ攫うことができるのか・・・。

Xファクター

カリフォルニア州にあるパサデナ市で開催されるローズボウル。その土地柄冬でも例年温暖な気温に恵まれています。2026年1月1日も気温は15度前後と予想されており、温度だけ見ると非常にプレーしやすい暖かさだといえます。

ただ、この日は降水確率が90%ほどとなっており、雨天の試合となりそうです。最後にローズボウルが雨天開催となったのは2006年のことということで、この時期にこの地域で雨が降ること自体が珍しいということと言えそうです。

どちらもパスファーストのチームであるため、降水量次第ではゲームプランに支障が出てくる可能性があります。インディアナ大はタイミング重視のメッシュコンセプトを多用するため、雨のせいでメンドーサのパス精度が落ちるとテンポが崩れるかもしれません。またアラバマ大はCとQBのエクスチェンジで苦戦する場面もいくつか見られ、雨でボールが濡れればこれに拍車をかける可能性もあります。

そうなれば自ずとプレーのチョイスはランに傾いていきそうですが、そこで有利となりそうなのがインディアナ大です。もともとフィジカルなランが要求されるBig Tenカンファレンス所属のチームとして1試合平均220ヤード以上と全米10位のランオフェンスを擁するインディアナ大に対し、アラバマ大はパスに頼りっぱなしのオフェンスでランヤードはなんと全米136チーム中118位の1試合平均役109.9ヤード。

もし雨によりパスオフェンスが滞ればもともとランが出ないアラバマ大にとっては圧倒的不利。この点は見逃せないXファクターです。


今回のローズボウルは、単なるプレーオフの準々決勝という枠組みを超え、「伝統という重圧(アラバマ大)」と「新時代の到来(インディアナ大)」が正面衝突する意味深い一戦となります。18回の全米王座を誇るアラバマ大と、全米1位チームとして史上初のタイトルを狙うインディアナ大の激突は、カレッジフットボール界におけるパワーバランスの劇的な変化を映し出しているようです。

多くのデータ分析や専門家の見解はインディアナ大が1〜2ポゼッション差で勝利するとの予想が主流です。この予測の背景には、インディアナ大が攻守両面で全米トップクラスの効率性を誇るのに対し、アラバマ大が近年稀に見るランオフェンスの不振に喘ぎ、オフェンスがパスに偏りすぎているという明確な弱点があります。

しかし「The Granddaddy of Them All(すべてのボウルゲームの祖父)」と称されるローズボウルの舞台には、時としてスタッツを凌駕する魔物が潜んでいます。アラバマ大には大舞台での戦い方を知り尽くした経験値があり、オクラホマ大戦で見せた17点差の逆転劇はその底力を証明しています。対するインディアナ大は、3週間以上試合がなかったというブランクによる試合勘の鈍りを克服し、ハイズマントロフィー受賞QBメンドーサがアラバマ大の激しいプレッシャーの中でも冷静さを保てるかが、勝敗の行方を左右しそうです。

この試合の結末が、アラバマに大よる「王者の意地」となるのか、あるいはインディアナ大による「下克上の完成」となるのか、その答えは1月1日に明らかになります。全米が固唾を呑んで見守るこの歴史的な対決は、カレッジフットボールの新時代を告げる号砲となるはずです

ちなみにこの試合の勝者は1月9日に行われる準決勝戦・ピーチボウルにて、オレンジボウルの勝者(テキサス工科大オレゴン大)と対戦することになります。

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