今季ミシガン大は3年生QBウィルトン・スピート(Wilton Speight)を先発に据え快進撃を続け、惜しくもプレーオフ進出は逃しましたが10勝2敗でオレンジボウル出場を決め、フロリダ州立大と対戦することになりました。スピートは来季もミシガン大に残留する意向で、さらに彼のバックアップQBジョン・オコーン(John O’Korn)も第2のQBとして来年ミシガン大でプレーする予定です。トップ2QBが来季も健在と言うのはチームにとっては朗報ですが、逆にミシガン大でプレーする事を夢見ている他のQB達にとってはその夢を叶える事がいよいよ難しくなってくる訳です。シェーン・モリス(Shane Morris)もそんなQBの中の一人ですが、現在4年生で学位をこの秋学期で取得する予定のモリスは大学院生としてミシガン大からトランスファーし他チームでカレッジキャリアを終える事を決めたようです。
大学院トランスファーということでモリスは来シーズンから直ぐに新チームでのプレーが可能となります。
2013年に4つ星QBとして満を持してミシガン大に入学してきたモリスは当時プロスタイルのQBとしては全米で3つの指に入る逸材として期待されました。しかし終わってみれば過去4年間のミシガン大での先発出場試合はたったの2試合でした。
しかしモリスはたった2試合しか出場しなかったうちの2番目の試合で全米中の注目を浴びることになります。2014年のミネソタ大戦で当時のヘッドコーチ、ブレディ・ホーク(Brady Hoke)元監督から先発出場を命じられたモリスは序盤から上々のプレーを見せていましたが、第4Qにミネソタ大ディフェンダーからタックルを浴び、テレビ画面で見ても明らかに彼が脳震とうの症状を患っていたのにも関わらずチームはモリスを使い続けたのです。このチームの判断が全米中から非難され、当時すでに後が無かったホーク氏の去就問題という火に油を注いだのでした。
この問題はBig Tenカンファレンスでそれまで個々のチームで判断されていた脳震とうの処置ガイドラインをカンファレンス内で統一する流れを生む要因となりました。
翌年となる2015年、新監督のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督新体制下では先発QBの座を大学院トランスファーのジェイク・ルドック(Jake Rudock)に奪われ、さらにバックアップの座もスピートに明け渡しデプスチャートでは3番手に転落。そして今季も先発の機会を与えられる事無く、既に結果が見えた大勝ゲームの「処理係」として最後の数分だけ出場するに留まりました。
かつてはミシガン大の未来の星として大きな野望を胸にキャンパスに足を踏み入れたであろうモリス。「こんなはずではなかった」と思っているかどうかは分かりませんが、カレッジフットボーラー最後の年となる来季、彼がプレー出来るチームを探し当てられる事を祈るばかりです。