ノースカロライナ州シャーロットにヘッドクォーターを置くアトランティックコーストカンファレンス(ACC)。現在彼らは所属チームであるフロリダ州立大とクレムソン大が離脱したがっているという騒動の真っ只中にいますが、そんな中、彼らの2023年度の総収益額が先日発表されました。
ACCの2023年度の収益の総額は7億600万ドル(1ドル100円計算だと約706億円)となり、これは前年度と比べると14%の増額になります。増額の割合としてはACC史上二番目の大きさ。そして所属する14チームへの分配金は1チームあたり約4480万ドル(約44億8000万円)ということです。
昨年度まで「パワー5」と言われていた5つの強豪カンファレンス(ACC、Big 12、Big Ten、Pac-12、SEC)の中で比べると、ACCのこの額はBig TenとSECに次いで3番目。ちなみにBig Tenは8億8000万ドル、SECは8億5000万ドルの収益だったことを考えると、ACCは1億ドル以上も彼らに差をつけられていることになります。
先程挙げたフロリダ州立大とクレムソン大がACCを出たがっているのは、まさにこの収益の少なさ(十分多いような気がしますが💦)。Big TenやSECの強豪チームと張り合うにはもっとお金がいるということでACCを離脱しようと画策しているのです・・・。
それはさておき、ACCの収益の内訳ですが、最も大きかったのは米スポーツ専門局・ESPNとのテレビ放映契約で、ここから4億8100万ドルの収入(前年度比+9%)。さらにポストシーズンのボウルゲームからの収益とNCAAからの分配金をあわせて1億9400ドルを手に入れています。
ただ、今後各大学は学生アスリートに収益の一部を還元する「レヴェニューシェア」モデルを導入する見込みが高く、話によるとそのためのバジェットは2000万ドルにまで上ると言われており、ACCだけでなく他のカンファレンスのチームも「レヴェニューシェア」用にお金を確保しておかなければならなくなります。そうなればさらにカンファレンスのマネーパワーの重要さが取り立たされるわけです。
ACCは今年から元Pac-12所属のスタンフォード大とカリフォルニア大、元AACのサザンメソディスト大(SMU)を加えます。所属チームが増えるということは1チームあたりの分配金は総収入額が増えない限り減ることになります。ただ、スタンフォード大とカリフォルニア大はオリジナルメンバーの取り分の30%(テレビ放映権)、さらにSMUはテレビ放映権による収益を向こう9年間受け取らないという、かなりのディスカウントディールでACCに加入しているため、いきなりオリジナルチームの分配金が減るということにはならなそうです。
(SMUがこれほどまでの厳しいディールにも関わらずそれを受諾してACCに来たということは、それだけグループオブ5チームがパワー5/4カンファレンス群に合流したがっていることの現れだと思います)
実際この3チームをACCに招き入れるかどうかを問う投票を行った際、それに反対していたのがフロリダ州立大とクレムソン大でした(ノースカロライナ大も)。将来的に分母が増えたことで分配金がSECやBig Tenチームと比べると伸びないと予想したことから、彼らは離脱を試みているのかもしれません。
そういった彼らの主張を和らげるためか、ACCは2024年度シーズンから成績が良かったチームに分配金とは別にボーナスを支払う準備があるとしています。
これまではACCタイトルを獲ったフロリダ州立大も、カンファレンス戦で1勝しか出来なかったウェイクフォレスト大も同額の分配金を受け取っていました。これはおそらくCFP(カレッジフットボールプレーオフ)に進出するとか、ナショナルタイトルを獲得するとか、そういったことを成し遂げたチームに適応されると思われます。フロリダ州立大、クレムソン大、ノースカロライナ大といった、カンファレンスの強豪チームへの懐柔策とも見られます。