今シーズンもいよいよレギュラーシーズン大詰め。今週末の「ライバリーウィーク」そして来週の「チャンピオンシップウィーク」を残すのみとなりました。それが終われば年末年始恒例のボウルゲームがありお祭りモードへとシフトチェンジしていきます。
しかし全米の頂きを目指すためのカレッジフットボールプレーオフ(CFP)への出場を目指すチームたちにとって見ればお祭りモードと浮かれているわけにはいきません。彼らは残された少ない試合を勝ち抜いてCFPランキングで上位4チームに食い込むことが大きな目標であり、それが達成されなければここまで戦ってきた意味が半減してしまいます。
そんな4チームを選出するためのCFPランキングですが、現地時間火曜日夜に第4回目のランキングが発表されました。そのトップの顔ぶれと彼らが今後どのようなシナリオを踏めば栄光の舞台に立てるのか検証してみたいと思います。
最新(第4回目)のCFPランキング
CFPに出場する事ができる4チームを決めるのがCFPランキング。13人の選考委員会によりリリースされるこのランキングで最終的に上位4チームに位置付けされた大学がCFPに駒を進めることができます。
そのファイナルランキングは12月5日(日曜日)に発表されることになっていますが、まずは今週火曜日に発表された最新(第4回目)のCFPランキングを見てみましょう
順位
チーム
戦績
先週
1
ジョージア大
11-0
1
2
オハイオ州立大
10-1
4
3
アラバマ大
10-1
2
4
シンシナティ大
11-0
5
5
ミシガン大
10-1
6
6
ノートルダム大
10-1
8
7
オクラホマ州立大
10-1
9
8
ベイラー大
9-2
11
9
ミシシッピ大
9-2
12
10
オクラホマ大
10-1
13
11
オレゴン大
9-2
3
12
ミシガン州立大
9-2
7
13
ブリガムヤング大
9-2
14
14
ウィスコンシン大
8-3
15
15
テキサスA&M大
8-3
16
16
アイオワ大
9-2
17
17
ピッツバーグ
9-2
18
18
ウェイクフォレスト大
9-2
10
19
ユタ大
8-3
23
20
ノースカロライナ州立大
8-3
20
21
サンディエゴ州立大
10-1
19
22
テキサス大サンアントニオ校
11-0
22
23
クレムソン大
8-3
NR
24
ヒューストン大
10-1
24
25
アーカンソー大
7-4
21
トップ25の顔ぶれはこんな感じですが、この中でも最終ランキングで上位4位に食い込めるチャンスがあるチームは限られています。細かな確率までいうと正確ではないかもしれませんが、これまでの流れプラス肌感でいうと以下のチームにその可能性が残されていると思います。
2位:オハイオ州立大(Big Ten、10勝1敗)
3位:アラバマ大(SEC、10勝1敗)
4位:シンシナティ大(AAC、11勝0敗)
5位:ミシガン大(Big Ten、10勝1敗)
6位:ノートルダム大(独立校、10勝1敗)
7位:オクラホマ州立大(Big 12、10勝1敗)
10位:オクラホマ大(Big 12、10勝1敗)
先週は3位のオレゴン大、7位のミシガン州立大、そして10位のウェイクフォレスト大が敗れそれぞれ2敗目を喫しました。ここまで2敗チームがプレーオフに進出したことは一度もないため彼らは事実上プレーオフレースから脱落と見ていいでしょう。よって実質的にはこの8チームの争いとなったと見るのが妥当です。
残された各チームのスケジュール
ジョージア大
ジョージア大はすでにSEC東地区で優勝を決めており、SEC優勝決定戦出場権を手に入れています。今週末はライバル・ジョージア工科大との対戦を控えていますが、この試合を落とすことは考えられず、またSEC優勝決定戦で負けてしまったとしても上位4校の1校に生き残ることが予想されており、彼らの4年ぶりのプレーオフ出場はほぼ確定しています。
オハイオ州立大
先週7位のミシガン州立大と56対7と完膚無きまでに叩き潰したオハイオ州立大はその圧倒的オフェンス力を全米中に見せつけたこと、そして2位だったアラバマ大がアーカンソー大に苦戦した影響を受けて先週4位から2位に上昇。シーズン終盤に差し掛かりまさにこれ以上無いタイミングで攻守ともに一気にまとまりが出てきました。
彼らの今週の相手は永遠のライバル・ミシガン大。ミシガン大も10勝1敗でここ最近では最高のチーム状況となっており、CFP争い及びBig Ten東地区優勝争というハイステークスな試合において全米2位と5位というシチュエーションですから、この試合が注目を集めないわけがありません。
これに勝てばBig Tenカンファレンス優勝決定戦が待っています。今の所西地区はウィスコンシン大が有利でそれをアイオワ大とミネソタ大が追う展開。オハイオ州立大はミネソタ大とは既に対戦して勝っていますが、ウィスコンシン大とアイオワ大とは今季対戦がありません。ウィスコンシン大が勝ち上がってくればハイスコアなオハイオ州立大と強固なランアタックにディフェンスを擁するウィスコンシン大との好マッチが期待できます。これに勝てば晴れてBig Tenチャンプとしてプレーオフ進出は間違いないでしょう。
アラバマ大
先週アーカンソー大に手こずり42対35と相変わらず守備面での不安さを露呈してしまいましたが、その隙にオハイオ州立大に2位の座を奪われ3位に後退してしまいました。しかし彼らにとって順位はさほど関係なくプレーオフに出場するためには残された2試合を勝ち抜きさえすればいいわけです。
アラバマ大の今週末の対戦相手は「アイロンボウル」での宿敵アーバン大戦。簡単に倒せる相手とは言えませんが、普通に考えればアラバマ大が負けるとも思えません。アラバマ大は先週苦戦しながらもアーカンソー大に勝ちその時点で西地区優勝が決まりました。ですから仮にこのアーバン大戦に負けたとしてもSEC(サウスイースタンカンファレンス)優勝決定戦に出場できます。が、アーバン大に負けてしまった時点で2敗目となるため彼らのプレーオフ出場への道は閉ざされることになります。
よって彼らはアーバン大、並びにSECタイトルゲームでのジョージア大との試合に2連勝しなければならないということです。アラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督はかつての右腕だったジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)監督とここまで3回戦って3勝を挙げていますが、今シーズンのジョージア大の強さを見るといよいよセイバン監督がスマート監督から土をつけられる時が近づいていると言えるかも・・・。
シンシナティ大
オレゴン大がトップ4から陥落したことで遂に「グループオブ5」出身の期待の星であるシンシナティ大が4位に食い込んできました。
彼らに残された試合は今週末のイーストカロライナ大(7勝4敗)とAAC(アメリカンアスレティックカンファレンス)のヒューストン大(10勝1敗)を残すのみ。4位に入ったことでスタイルポイント(相手をどれだけ圧倒したか)にそこまで気を使わなくても良くなったのは彼らにとってはプラスポイント。もちろん後続チーム(Big 12チャンピオン、ノートルダム大)に抜かれてしまうという可能性も無きにしもあらずですが、4位に入ってしまった以上負けさえしなければかなり高い確率でプレーオフ進出が現実となるでしょう。
ただもちろんヒューストン大に足元をすくわれる用なことがあっては元も子もありませんが・・・。
ミシガン大
ミシガン大はトップ4チームのちょうど外側である5位にランクされています。しかし残りの2試合を勝ち抜きさえすればプレーオフ進出はまず間違いないため、この5位という数字を特に気にする必要はありません。
今週末は既述の通りオハイオ州立大との大一番が控えています。対戦カードにおいて現在8連敗中と勝ちに恵まれていないこのマッチアップですが、この試合に掛けられた思いや意義を考えれば千載一遇のチャンス。憎きライバルを倒し自身初となるBig Tenカンファレンス優勝決定戦に出場しそこで西地区チームに勝つことができれば悲願のプレーオフ進出が見えてきます。1997年以来24年ぶりの全米優勝に向けて名門がひた走ります。
ノートルダム大
ノートルダム大は現在10勝1敗。唯一の敗戦は現在4位のシンシナティ大に食らったものでそれ以外の試合はしっかりとモノにしてきました。シーズン前半はQBをシャッフルしたりとアイデンティティの確立に苦心しましたが、後半にかけてQBジャック・コーン(Jack Coan)を活かせるスキームが安定しチーム力がどんどん上がっていきました。先週はジョージア工科大を55対0で大勝&完封するなどしトップ10チームにふさわしい歩みを見せています。
ただ彼らにとって足かせになっているのは自身がどのカンファレンスにも属さない独立校(無所属)であること。このことで今週末のスタンフォード大戦がレギュラーシーズン最終戦となり、他のライバルたちが来週もカンファレンス優勝決定戦でアピール出来る中、ノートルダム大は彼らの試合の行方を指をくわえて観ることしか出来ないのです。
しかも最終戦の相手はスタンフォード大。彼らは今季3勝8敗で大苦戦しており、このチームに勝ったからと言ってノートルダム大の株が爆上がりするわけではありません。彼らが上位4つの椅子に座るにはアラバマ大がジョージア大に負けたり、ミシガン大無いしオハイオ州立大がBig Tenタイトルゲームで西地区チームに負けたり、シンシナティ大に土がついたりするような番狂わせが必要となります。つまり彼らが自力でプレーオフに出場できる可能性は低いというわけです。
オクラホマ州立大
Big 12カンファレンス所属チームとしてはCFPランキングで最高位に位置するオクラホマ州立大。現在7位の彼らは今週末オクラホマ大と対戦。これに勝ちベイラー大がテキサス工科大に勝てばベイラー大とのタイトルマッチ、ベイラー大が負ければオクラホマ大とのリマッチが待っています。この2試合を勝ち抜き12勝1敗のBig 12カンファレンスチャンピオンになれば、ノートルダム大を追い越し議論はこのオクラホマ州立大を選ぶか、それとも無敗のシンシナティ大を選ぶかという二択になるでしょう。
オクラホマ大
9勝1敗のオクラホマ大は現在10位。残り2試合を残してこの位置からプレーオフ進出を果たしたチームは筆者の記憶する限り存在しません。CFPランキングが初めてリリースされた時のオクラホマ大のランクが当時無敗にも関わらず8位と評価が低かったこと、そしてベイラー大に敗れて1敗を喫してしまったことが響いています。
彼らに出来ることはとにかく今週末のオクラホマ州立大戦に勝ち、翌週のオクラホマ州立大とのリマッチ(Big 12カンファレンス優勝決定戦)に勝ってBig 12カンファレンスチャンピオンになり、あとは上位の椅子が開くことを祈るばかりです。オクラホマ州立大との二連戦・・・1勝ならまだしも2連勝というのはなかなかのハードルの高さです。
結論&カオスなシナリオ
2つの週末を残した現時点で考えられる主なシナリオは以下のとおりです。
- ジョージア大(当確)
- 1敗のBig Tenチャンピオン(オハイオ州立大、ミシガン大、
ミシガン州立大のいずれか) 1敗でPac-12チャンピオンのオレゴン大- ジョージア大に勝ってSECチャンピオンになった1敗のアラバマ大
- 無敗のシンシナティ大
- 1敗のノートルダム大
- 1敗のBig 12チャンピオン(オクラホマ大かオクラホマ州立大)
1敗のウェイクフォレスト大
今週オハイオ州立大とミシガン大が直接対決するのでどちらが勝つにしても来週には候補チームは少なくとも7つから6つに減ることになります。4つの椅子を6チームで争うことになりますが、ジョージア大は既に当確扱いと出来るため実際には3つの椅子を5チームで争う構図となるでしょう。
上位4チームのうちまず最初に陥落する可能性が最も高いのはアラバマ大だと思います。前述の通り彼らは来週SECタイトルゲームでジョージア大と対決することなっており、前年度覇者とはいえ今年のアラバマ大の様子を見ているとジョージア大に勝てるとは思えません。そうなればまずは1つ目の椅子が開くことになり、ここにノートルダム大か1敗のBig 12チャンプ(オクラホマ州立大かオクラホマ大)のどちらかが滑り込むことになります。
次に陥落する可能性があるとすればBig Tenチームのどちらかがカンファレンスタイトルゲームで敗れるというアップセットが起きることです。おそらく西地区の代表はウィスコンシン大となります。今季ミシガン大はすでにウィスコンシン大と対戦しこれを38対17で破っていますがオハイオ州立大はウィスコンシン大とは対戦していません。ただウィスコンシン大はミシガン大との敗戦以来現在破竹の7連勝中。東地区代表がミシガン大にしろオハイオ州立大にしろ彼らにとって手強い相手であることは間違いなく、ここで番狂わせが起きて2敗目を喫しBig Ten出身チームがプレーオフに出場できないというシナリオも無くはありません。
そして最後はシンシナティ大が陥落する可能性。現在ジョージア大とシンシナティ大以外は皆最低1敗していますが、もし仮にこの終盤にシンシナティ大に黒星が付いてしまい1敗となった場合、たとえ他のライバルたちと1敗で並んだとしてもこの終盤での敗戦は命取り。しかも「グループオブ5」出身チームとして彼らがここまで好位置にランクされているのは無敗であるという事実が大きいのです。ですからイーストカロライナ大もしくはヒューストン大のいずれかに負けてしまえばたとえ1敗でシーズンを終えたとしても彼らのプレーオフ進出の可能性は急降下するでしょう。
では最後に可能性は高くありませんが最悪のカオスなシナリオが起きた場合はどうなるか検証してみましょう。そのシナリオとは、アラバマ大がジョージア大に負け、シンシナティ大に黒星がつき、Big TenチャンプならびにBig 12チャンプも2敗を喫してしまった場合。この場合シンシナティ大とノートルダム大以外すべてのチームが最低でも2敗ということになります。このケースだと一体どの3チームがプレーオフに進めるのか・・・。
おそらくノートルダム大は棚ぼた的に3つのうちの1つの椅子を獲得することになるでしょう。となると残りの2つの椅子を誰が奪うのか?2敗のアラバマ大か?2敗のBig Tenチーム(オハイオ州立大かミシガン大)か?1敗のシンシナティ大か?もしくは2敗のBig 12チーム(オクラホマ大かオクラホマ州立大)か?それとも2敗のPac-12王者となったオレゴン大が復活するか?
これらの可能性は限りなくゼロに近いでしょうが、もしそうなればおそらくここまでに至るまで各チームがどのような戦いぶりを披露してきたかによってCFP選考委員会が格付けをしていくことになるでしょう。選考委員会にしてみれば地獄のようなセレクションになるかも知れませんが(笑)、ファンからしてみればこれまでにないエンターテイメントとなりそうです。
今シーズンもいよいよ13週目を迎えレギュラーシーズンは残りあと2週間。その後に発表されるCFPランキングにおいて上位4校に選ばれたチームたちが栄えあるCFPに駒を進めることが出来ます。果たして生き残って夢の舞台に立つのはどのチームか?
— Any Given Saturday (@ags_football1) November 24, 2021
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