カレッジフットボール界においてリクルーティングはチーム育成の面で最重要案件であることはこのサイトでもよくお話していることです。
リクルーティングとはリクルート(高校生選手)を自分たちの大学に引き寄せるために行われるあらゆる活動のことを指します。その最大の目的はリクルートの中でも最上級に位置される「5つ星」選手たちをいかに多く勧誘できるかということです。
どの選手が5つ星なのかどうかというのは米スポーツ専門局の大手ESPNやリクルーティングを専門として追いかける「Rivals.com」や「247sports.com」のランキングや評価によるものとされています。5つ星の評価を受ける選手というのはそう多くはありません。そのためこの評価を受ければ確実に強豪校から声がかかるのです。
そして大学側もそういったダイヤの原石を手に入れるためにやっきになるわけですが、果たして実際に大学に入ったあとそのような5つ星リクルートたちはそれに見合った活躍をするものなのでしょうか?
5つ星リクルートの価値とは・・・
今ドラフトで注目のオハイオ州立大出身チェイス・ヤングも5つ星リクルートでした
それは当然ケースバイケースなわけですが、5つ星選手が大学にどれだけの「金」を落とすのかを研究した論文が先日発表されたのです。
研究したのはカレッジフットボール界でも大御所のオハイオ州立大ですが、これによると5つ星リクルートの価値はお金に換算すると65万ドル(1ドル100円計算で約6500万円)なんだそうです。
最近大学アスリートでも肖像権など(NIL)を使ってお金を稼いでも良いという流れになってきていますが、この流れに乗じて5つ星アスリートならプレーすることで大学にどれほどの金銭的利益をもたらすのかを試算し、彼らがどれだけの報酬をもらうべきなのかを算出しようとしたのがこの研究の目的だったようです。
関連記事NCAAの大英断ちなみに同じ研究では4つ星リクルートなら1年間に35万ドル(約3500万円)の価値があると計算したそうで、さらには星が2つ違うだけで一人あたりの金銭価値は1年あたり13万ドル(約1300万円)の差が出るそうです。
5つ星アスリート=勝利の方程式?
2018年のドラフトで総合ドライチだったベーカー・メイフィールドは3つ星リクルートでした
またこの研究は別に面白い発見もしています。これまでは5つ星アスリートがチームにどれだけのお金を還元するのかという論点でしたが、彼らがどれだけ実際にチームのレコードに影響しているかという点もはじき出そうとしています。
その結論としてはチームがレギュラーシーズン後に行われるボウルゲームに出場することを大きな到達地点だとすると、5つ星リクルートがそれに及ぼす影響は実は思ったよりも大きくないのだとか。
研究では現在のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)システムより以前のBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)にまで遡ってデータが集められましたが、それによるとBCSボウルへたどり着く確率は5つ星リクルートの数が多いほうが4%ほど高かったそうですが、それ以外では最小限の影響しか及ぼさなかったのだそうです。
参考記事ボウルチャンピオンシップシリーズ当然トップ選手が大学にとってこれほどの金銭的価値がある、何ていう理論はアマチュアスポーツであるフットボールなどを統括するNCAA(全米大学体育協会)には受け入れられることはないでしょうが、お金云々は置いておいたとしてもトップリクルートがチームや大学にそれなりのポジティブな影響を与えているということは言えるのかもしれません。
こんな研究が発表されたら既に加熱しまくっているリクルーティング戦争にさらに油を注いでしまいそうですが。
参考記事(外部英文サイト)Study estimates revenue produced by top college football players