8位:アート・ブライルス(Art Briles)- ベイラー大
ベイラー大にとってアート・ブライルス監督がどれだけの価値があるのか・・・。それを知るにはベイラー大の過去を紐解く必要があります。
1996年から2007年までの12年間、ベイラー大は5勝以上を挙げたシーズンがありませんでした。またその内10年間でカンファレンスゲームで1勝以上した事が無いと言う、まさに最弱チームだったのです。強豪フットボールチームがひしめくテキサス州においてベイラー大がBig 12カンファレンスのタイトルを目指すなど、冗談にしても笑えないというのが実情でした。しかしそれはもう昔の話です。
ブライルス監督就任の最初の2年間は4勝8敗と以前のベイラー大と何ら変わらない成績しか残せませんでした。しかし2010年に突如として頭角を現して以来昔なら誰も想像すら出来なかったような快進撃を続けているのです。強力なスプレッドオフェンスを武器にブライルス監督率いるベイラー大は過去6年間全てにおいて勝ち越しレコードを記録。2つのカンファレンスタイトル、4つの二桁勝利シーズン、そして最終ランキングにおいてランクインする事4シーズン。そして2012年にはQBロバート・グリフィン(Robert Griffin III)がチーム史上初となるハイズマントロフィーを獲得するまでに至ったのです。
昨シーズンもシーズン序盤から中盤にかけて快進撃を続け、プレーオフ進出レースで他のチームとしのぎを削っていましたが、残念ながらQBの怪我が重なり失速してしまいました。それでも最終戦のラッセルアスレティックボウルではノースカロライナ大相手に49対37で勝利。この試合では前述のように先発QBとバックアップQBが不在の中、攻撃をラン中心で組み立てた事によりトータルで645ヤードものランオフェンスを見せてくれました。
ブライルス監督はまだナショナルチャンピオンの栄冠を手にはしていません。しかしもし仮にかつて弱小と言われたベイラー大でそれを成し遂げることが出来たのならば、彼のレガシーは永遠に語り継がれることになるでしょう。そしてその可能性は十分秘められていると思います。
【注:ブライルス監督はベイラー大選手が起こした性的暴力事件の責任を取る形で2016年度シーズン開始前にチームから解雇されました】