FCS傘下にあるミッドイースタンアスレティックカンファレンス(MEAC)所属のノースカロライナセントラル大とサウスウエスタンアスレティックカンファレンス(SWAC)に属するグランブリング州立大との間で行われた、HBCUナショナルチャンピオンシップゲームである意味「珍事」が起きました。
HBCUとは「Historically Black College or University」の略で、在学生のほとんどが黒人である学校のことを指します。まだ人種差別が行われていた頃、黒人が普通の学校に通えなかったために、黒人の子供たちのために作った学校がそのまま現在まで継続されているのです。
FCSにもそのようなHBCUがありますが、特にその大多数がMEACとSWACに固まっています。そんな背景から2015年から両カンファレンスの優勝者同士が対戦する「セレブレーションボウル」が創設されました。
セレブレーションボウルは今年で2度目ですが、この前身となるペリカンボウル(1972、1974、1975)とヘリテージボウル(1991-1999)を合わせると今回で15回目のHBCUナショナルタイトルゲームとなりました。
今年の試合は非常にロースコアなゲームとなりましたが、10対3のグランブリング州立大リードで迎えた第4Q残り3分弱、ノースカロライナセントラル大WRクエンティン・アトキンソン(Quentin Atkinson)が39ヤードのTDパスをキャッチし、PATが決まれば土壇場で同点となるシーン。アトキンソンはチームの反撃の狼煙をあげる手助けとなるビッグプレーを引き出し喜びを爆発させます。
しかしアトキンソンのTD後の行動が「過剰なセレブレーション」と見なされ、15ヤードのペナルティーを課されてしまいます。よってPATは18ヤードラインからスナップされることになり、結果的に25ヤードの少し長めのFGトライとなりました。そしてこれがなんとグランブリング州立大にブロックされ、ノースカロライナセントラル大はスコアを同点とする絶好のチャンスを逃してしまったのです。
ペナルティーがなくてもFGがブロックされた可能性もありますが、やはりこのペナルティーのおかげでFGがブロックされる確率が上がってしまったのは否めません。アトキンソンの過剰なセレブレーションがなければ・・・と悔やんでも悔やみきれないのはノースカロライナセントラル大のコーチ陣、ファン、そして何よりアトキンソン自身でしょう。
結局その後グランブリング州立大が虎の子の1点を守りきり見事15代目HBUCナショナルチャピオンに輝きました。
それにしても「セレブレーションボウル」で「セレブレーション」のおかげで試合結果に影響が及ぶとはなんとも出来過ぎな話です。