カレッジフットボールのFBSには3つの米軍士官学校チームが所属しています。陸軍士官学校(Army/アーミー)、海軍士官学校(Navy/ネイビー)、空軍士官学校(Air Force/エアフォース)がそれに当たりますが、彼らの本業は卒業して職業軍人となることです。たとえフットボール選手としての才能が高かったとしても彼らは卒業したあとそれぞれの軍隊へ入隊が義務づけられています。しかしその規定が変更され、NFLでプレーしたい選手へのハードルが下げられました。
今回国防省の規定が変更され、これまではプロスポーツに挑戦するには24ヶ月の軍隊への服務を義務づけられていましたが、この制度が廃止されることになったそうです。これによりNFLのドラフト入りが期待される選手は入隊せずにプロの世界へ挑戦することが出来るようになりました。
この制度を利用するには選手がプロチームと確実な契約を結ぶ事が必須条件となるようです。さらにこの制度の許可を得るには個人々々によってケースバイケースだそうです。
どちらにしてもこの新しい決定は上に挙げた3チームにとってリクルーティングにおいて大きなプラスとなるでしょう。これまでは確実に卒業のその先には入隊が待っている訳で、入学するにはそれ相応の覚悟がいる訳です。しかし、これでもしチームで大活躍すればNFLへの道も開かれると分かればリクルートの選択肢も増える訳で、結果的により多くのリクルートの興味を集める事が見込めるからです。
この規定変更に大きく影響を及ぼしたとされるのがネイビーのキーナン・レイノルズ(Keenan Reynolds)です。昨年大活躍しハイズマントロフィー候補にも名前が挙げられたレイノルズは2016年のNFLドラフトで第5巡目にボルティモアレイヴンズに選ばれました。レイノルズはレイヴンズでプレー出来る可能性がないか模索し、ネイビーのお偉方、そして国防省のトップからゴーサインを貰いました。これは特例の処置だった訳ですが、彼のような逸材が今後現れた時の為に24ヶ月の規定が取っ払われたのです。
エアフォースの野球部監督マイク・カズラウスキー氏は今回の規定変更に関してこう述べています。
「キーナン・レイノルズがやってのけた事は、今後のエアフォース野球部にとって最高の結果をもたらすことになるかもしれない。なぜなら彼のおかげで軍人としてお国の為に役立つことと、プロ選手としてスポーツに関わる事が両立出来る可能性が出来たからです。選手達はなにより軍人として国の為に働く事を第一に我々のような士官学校へやってくるのです。プロスポーツへいく事は何も彼らが軍人になりたくないからと言う訳ではないはずです。でなければはなから士官学校に来るはずがないのですから。」
エアフォースのフットボール部も既にリクルート達にNFLですぐさまプレーする事が可能だと言う事を伝え始めていると言う事です。彼らのアシスタントコーチ達は口を揃えてこれはリクルーティングに置いて大きなプラスだと言っているようです。
レイノルズのように飛び抜けてフットボールの才能があり、プロレベルでも通用する選手が士官学校から出てくるのはそう頻繁にある事ではありません。ですから今後このように兵役をスキップしてプロレベルに進む士官学校生が大勢出るとは考えられません。しかし、可能性が示されたと言うのは歓迎すべき事だと思います。