所属選手のスキャンダル(性的暴力疑惑)から始まり、ヘッドコーチのアート・ブライルス(Art Briles)監督の解雇、ジム・グローブ(Jim Grobe)氏の臨時監督就任、そして開幕後6連勝の後の6連敗と嵐のようなシーズンとなったベイラー大。半引退状態だったグローブ氏は今シーズンのみの条件でこの仕事を引き受け、来季以降はベイラー大に残留しないと明言。スキャンダルを受けてベイラー大入部を決めていたリクルートたちは次々と進学先を変更し、2017年度入部を決めている選手はなんとたったの1人にまで減ってしまいました。
そんな混乱極まるベイラー大ですが、この難しい状況からのチーム再建を託せる人物を探していました。そしてその大役を任されたのがテンプル大ヘッドコーチのマット・ルール(Matt Rhule)監督です。
ルール監督は今季テンプル大で4季目となりましたが、今年はテンプル大フットボール史上初となるAACカンファレンスタイトルを獲得。まだカンファレンスタイトルを勝ち取るのは約40年振り(1967年のミドルアトランティックカンファレンスタイトル)という偉業を成し遂げました。昨シーズンチーム史上たったの2度目となる二桁勝利を挙げると今年も再び10勝を記録。これまで弱小で知られていたテンプル大をルール監督の手腕でここまで成長させたのは彼の手柄の何物でもありません。
ベイラー大も長きに渡り弱小のレッテルを貼られてきましたが、ブライルス氏の指揮下急成長。近年はBig 12カンファレンスの強豪校にまで成長しました。しかし急成長の裏でチーム内では様々な問題を抱えており、ルール監督はその他もろもろのお荷物を背負うことになります。またルール監督のコーチとしてのキャリアはほぼ全般にわたり東海岸に偏っています。唯一2001年にUCLAでDLコーチを務めたことがあるくらいで、ベイラー大の所在地であるテキサス州でのリクルーティングをどのようにこなしていくかが大きな鍵となりそうです。
テンプル大は12月27日に行われるミリタリーボウル(ウェイクフォレスト大と対戦)に出場予定ですが、おそらくルール監督はこの試合を指揮する事なくチームを離れベイラー大に合流するものと思われます。才能ある若いコーチが大きなチームに引き抜かれてしまう中堅チームの悲運は今に始まった事ではありませんが、せっかく波に乗っているテンプル大は次期コーチでも当たりくじを引きたいところです。