第8週目のカレッジフットボールではランカー同士の戦いがなんと5試合も用意され、どの試合も激戦となりましたが、特にSEC同士の対決が3つもあり、そのうちの1つである全米10位のルイジアナ州立大と全米17位のヴァンダービルト大との試合は歴史的な結果を迎えることになりました。
それらの試合を中心に第8週目に行われた主な試合を簡単に振り返ります。
目次
#17 ヴァンダービルト大 31、#10 ルイジアナ州立大 24
今季快進撃を続け、全米ランキングで17位まで浮上していたヴァンダービルト大が10位のルイジアナ州立大(LSU)をホームに迎えたこの一戦。試合前のオッズではなんと1948年以来初めてヴァンダービルト大が有利という評価を受けた試合でしたが、その期待を裏切ることなくヴァンダービルト大がLSUを31対24で粉砕。対LSU戦での連敗記録を10で止めることに成功しましたが(35年ぶり)、彼らにとっては今季2つ目のランクチームからの白星奪取となり、ヴァンダービルト大の強さが本物であることが証明されました
試合の序盤は攻守が入れ替わる激しい応酬になります。まずはLSUがオープニングドライブでヴァンダービルト大陣内に攻め込んだもののエンドゾーンまでが遠く、FGで先制する形で始まりました。しかし、ヴァンダービルト大はすぐに反撃を開始。QBディエゴ・パヴィア(Diego Pavia)は自らの脚を活かしたドライブを展開し、最後はパヴィアのQBスニークによるTDでリードを奪います。
Diego runs it in!#2Turnt | #AnchorDown pic.twitter.com/9ltSDcTmZC
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第2Qに入るとLSUはQBギャレット・ナスマイアー(Garrett Nussmeier) からトレイデズ・グリーン(Trey’Dez Green)へのTDパスで一時的にリードを取り戻します。しかし、ヴァンダービルト大のオフェンスはここから徹底して試合のペースをコントロール。彼らは14プレーで75ヤードを約9分も消費する重厚なドライブを展開し、最後は4thダウン&ゴールからセドリック・アレクサンダー(Sedrick Alexander)が1ヤードTDランを押し込み14対10とヴァンダービルト大が再度リードします。
Seddy finds paydirt 🔥 pic.twitter.com/qVOxSW6Omv
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LSUディフェンス相手にフィジカルで押し続けたヴァンダービルト大を見ていると、まさに彼らがこれまでのヴァンダービルト大とは比べ物にならないくらいタフなチームになったことが容易に伺えます。
LSUはFGを失敗するものの、ディフェンスの踏ん張りで攻撃権を取り戻し、その後FGを成功させて14-13と1点差に詰め寄ります。しかしヴァンダービルト大もハーフタイム直前にさらにFGを加え、17対13としてモメンタムを自分たちに引き寄せたまま後半へと向かいます。
そしてヴァンダービルト大は前半の勢いをそのままに、後半はラン中心のロングドライブを展開。そして最後はパヴィアからコール・スペンス(Cole Spence)へのTDパスが決まり、リードをさらに24対13と広げます。
PAVIA TO SPENCE FOR SIX pic.twitter.com/ndYjzfa3OR
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ただ、LSUも粘りを見せます。ナスマイアーからザヴィオン・トーマス(Zavion Thomas)への62ヤードTDパスというビッグプレーで反撃し、さらに2ポイントコンバージョンを成功させ、点差を一気にFG圏内(24-21)に縮めました。
18 Stood in the pocket.
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0 Made everyone miss. @Garrettnuss13 ➡️ @ftfzayy_
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ただこんなことで動揺しないのが今季のヴァンダービルト大。彼らはすぐに10プレーのTDドライブを繰り出し、最後はQBパヴィアが見事な21ヤードのTDスクランブルでエンドゾーンへ飛び込み、リードを31対24に広げることに成功します。
DIEGO. PAVIA. TOUCHDOWN pic.twitter.com/08lbsC4vBx
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追う立場で迎えた第4Q、LSUに最大のチャンスが訪れます。ケイデン・ダーラム(Caden Durham)の51ヤードのビッグランで、エンドゾーンまでわずか2ヤードの位置までボールを運ぶことに成功。
Caden Durham breaks out for long run pic.twitter.com/TEkJAK0sRp
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しかしヴァンダービルト大のディフェンスはこの重要な局面で全集中。LSUのペナルティも味方につけて彼らの進撃を土壇場で阻止。LSUをフィールドゴールに抑え込むことに成功しました。
この後ヴァンダービルト大のオフェンスはランプレーを駆使して試合残り時間を最大限に削り、LSUに逆転のチャンスを与えることなく、見事に31対24でのアップセット勝利をもぎ取ったのでした。ヴァンダービルト大の粘り強いオフェンスと、土壇場でのディフェンスの集中力がこの大番狂わせの鍵となったのでした。
ヴァンダービルト大が格上とされていたLSU相手に勝利を収めた最大の要因は、彼らのオフェンスがうまくハマったことにあると言えますが、それをリードしたのがQBパヴィア。この試合の主役となった彼はパスで160ヤード(1TD)とランで86ヤード(2TD)を記録し、合計3つのTDに絡む大活躍を見せました。ここぞというところで1stダウンを奪うトリッキーなプレーを成功させてチームを勝利に導くプレーメーカー度は今季のカレッジ界でもピカイチです。
そんなパヴィアに率いられたヴァンダービルト大はトータル399ヤードのオフェンスを記録。特にランでトータル242ヤードを足で稼ぎ、ラインオブスクリメージでのバトルを制しました。その結果、ヴァンダービルト大のボール所有時間が約36分半とポゼッションバトルでも勝利(LSUは約23分半)。トレンチでの激闘でLSUに打ち勝つだけでなく、レッドゾーンに侵入した3回すべてをTDに繋げるという決定力の高さも披露するなど、これまででは考えられない試合展開を全米中に見せつけたのです。
一方、負けたしたLSUにとっては、多くの懸念点が浮き彫りになる試合となりました。
ディフェンスはこの試合前までは平均失点数11.8点で全米5位にランクされる堅守を誇っていましたが、この試合でヴァンダービルト大に31点も献上してしました。特に、ヴァンダービルト大のラッシングアタックを封じ込めるのに苦戦し、約240ヤードのランを許したのは予想外でした。LBウィット・ウィークス(Whit Weeks)やDLバーナード・グッデン(Bernard Gooden)など主要な守備選手の欠場が、ランの封じ込めやミスの原因になった可能性もありますが、それを加味してもヴァンダービルト大に苦しめられている姿を見るのは逆に新鮮でもありました。
また以前から指摘されているオフェンスの得点力不足はこの試合でも露呈され、QBナスマイアーはパスで225ヤード、2TDと健闘したものの、オフェンスは全体的にドライブを得点に繋げることが出来ませんでした。TDのチャンスは複数あったものの、ヴァンダービルト大のディフェンスに阻まれFGに甘んじたのは痛かったです。
さらにLSUはヴァンダービルト大の堅実なディフェンスに対してランを確立できず、合計100ラッシングヤードに留まってしまう始末。このランオフェンスの不発がポゼッションバトルでの敗北に繋がったと言えます。
ヴァンダービルト大にとってこの勝利は、5年目となるクラーク・リー(Clark Lea)監督指揮下でのチーム育成が軌道に乗っていることを裏付ける結果となりました。SEC(サウスイースタンカンファレンス)という、猛者が集うカンファレンス内で常に下位に甘んじていた彼らが、そういった強者どもたちとも対等かそれ以上に渡り合えることを証明したわけです。
今後ヴァンダービルト大がどこまで突っ走れるのか・・・楽しみがまたひとつ増えましたね。
ちなみに、格下チームが格上チームにアップセット勝利するとファンがその喜びを表現する形でフィールドに傾れ込む「フィールドストーミング」という行為をよく見ますが、今回17位のヴァンダービルト大が名門で10位のLSUを倒したにも関わらず、ファンは試合終了直後でのフィールドストーミングを敢えてしませんでした。それは「LSUに勝つのは当然だから」というメッセージにも捉えることができ、逆にそれがLSUへの最大の「トロール(煽り行為)」だと話題になっていました(笑)
#9 ジョージア大 43、#5 ミシシッピ大 35
全米9位のジョージア大が同5位のミシシッピ大をホームに迎えた、SEC戦のメガマッチ。この試合はジョージア大が第4Qに入るまで35-26とリードを許す展開となりましたが、最終Qだけで彼らが17対0とミシシッピ大を圧倒し、この9点差の劣勢を見事に覆し貴重なカンファレンス戦白星をあげました。
序盤、ミシシッピ大は爆発的なオフェンス力を発揮し、最初の5回の攻撃で全てTDを奪いリードを築きます。その主役となったQBトリニダード・チャャンブリス(Trinidad Chambliss)は、パスで263ヤードを獲得し、計3つのTD(パス1回、ラン2回)を記録。しかし、彼らのオフェンスは後半失速し、ジョージア大のディフェンスが主導権を握り始めると、第4Qには無得点に抑え込まれ記録的な大逆転を許してしまったのです。
ジョージア大の逆転勝利の立役者となったのは、QBガナー・ストックトン(Gunner Stockton)でした。彼はこの日パスを31回中26回成功させ、約289ヤードを投げ4つのパスTDを記録しただけでなく、ランでもTDを奪う活躍を見せました。特に注目すべきは、ストックトンが後半でのパス全て成功させたことです(12回すべて成功)。彼の冴えまくったパフォーマンスがジョージア大の奇跡のカムバックを現実のものとしたのでした。
結局ジョージア大はトータルで510ヤードを獲得しただけでなく、パントを一度も蹴ることなく勝利。また、ローソン・ラッキー(Lawson Luckie)が3つのタッチダウンを挙げるなどTEの活用が功を奏しました。ちなみに、TEとして1試合で3つもTDパスをキャッチしたのはラッキーが初。あのブロック・バウワーズ(Brock Bowers、現ラスベガスレイダーズ)ですら成し得なかった記録です。
またここ最近のディフェンスと比べると多少戦力が落ちたと言われていたジョージア大のディフェンスも、試合の終盤になってギアを上げ、ミシシッピ大ののオフェンスを2回のスリー&アウトと4thダウンスタンドで食い止めるなどし勝利に大きく貢献しました。
対するミシシッピ大は、最初の5回のドライブすべてでTDを奪い、75ヤードのロングパスなどの爆発的なプレーも見せて序盤の勢いを掴み、最高の試合の入りを見せました。しかし、勝負の第4Qで失速しドライブを維持することができず、RBキーワン・レイシー(Kewan Lacy)がたったの31ヤードに抑えられるなどラン攻撃も撃沈。
ミシシッピ大にとっては痛い敗戦となりましたが、常勝・ジョージア大相手に終盤まで戦える能力を示したのは評価できると思います。ただ一方で、アウェーにて強豪相手に試合を締めくくることができなかったのは今後乗り越えるべき課題であることは浮き彫りになりました。
#6 アラバマ大 37、#11 テネシー大 20
カレッジフットボール界を代表する歴史的なライバル対決、「10月第3週目の土曜日(Third Saturday in October)」の一戦がアラバマ大のホーム、ブライアントデニースタジアムで行われ、全米6位のアラバマ大が11位のテネシー大を37対20で破り、アラバマ大での対戦戦績ではアラバマ大が10連勝目。これで彼らはジョージア大(対戦当時5位)、ヴァンダービルト大(対戦当時16位)、ミズーリ大(対戦当時14位)、そして今回の11位のテネシー大となんと怒涛のランカー対決4連戦を全勝で乗り切ったのでした。
試合の方はアラバマ大が第1Qに先制するも第2Qにテネシー大が追いつき7対7と同点になった同じQの中盤。自陣奥深くからの攻撃となったテネシー大でしたが、QBジョーイ・アギュラー(Joey Aguilar)がエンドゾーンでサックされてセーフティーに。
joey aguilar safety; tennessee vs alabama pic.twitter.com/VrQghAJnUj
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さらにその後にRBジャム・ミラー(Jame Miller)のTDランが決まって16対7とリードしたアラバマ大。スタジアムの熱気は一気に最高潮に達しますが、その歓声をさらに爆上げし、そして試合の流れを決定的に変えたのは、前半終了間際のアラバマ大守備陣によるプレーでした。
テネシー大はアラバマ大陣内1ヤードラインまで攻め込み、エンドゾーンまで目と鼻の先ほどの距離まで迫りましたが、QBアギュラーの投げたパスを、アラバマ大のDBザビアン・ブラウン(Zabien Brown)が見事にインターセプト。ブラウンはこのボールをすぐさまリターンし99ヤード走りきり「ピックシックス」。このプレーがなければテネシー大がスコアしていた公算が高かったため、実に14点分の値千金のプレーとなり、アラバマ大が23対7という圧倒的なリードを得てハーフタイムに突入します。
THE DUECE IS LOOOOOOSE! ✌️@zabien_brown
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テネシー大は第3QにRBデショーン・ビショップ(DeSean Bishop)がロングTDランを決めるなどして、点差を23-13まで縮める奮闘を見せました。しかし、アラバマ大はテネシー大のこれ以上の反撃を許さず、逆にQBタイ・シンプソン(Ty Simpson)主導で再び99ヤードのTDドライブを成功させ、リードを30-13に広げて事実上試合を決定づけました。
テネシー大は、この試合前まで平均529ヤードを稼いでいた強力なオフェンスが売りでしたが、この日はアラバマ大守備陣に阻まれ、410ヤードに抑えられました。また、テネシー大のハイパワーオフェンスが30点未満に終わったのは今季初でした。さらにレッドゾーンでのコンバージョン率も5回中2回とパンチ力があと一歩及ばず。
そのテネシー大オフェンスを押さえ込んだアラバマ大のディフェンスは、全米屈指のハイスコアリングオフェンスである相手攻撃陣を平均以下に抑え、さらに4サックを記録するなど今シーズン最高のパフォーマンスを発揮して勝利に大きく貢献しました。
またここ数週間の間に一気にハイズマントロフィー候補の一角として浮上してきたQBシンプソンは、インターセプトなしで253ヤード、2TDという安定したパフォーマンスを披露しており、特に第3Q終盤には99ヤードの圧巻のTDドライブを牽引。さらに彼の株を大きく上げる結果となりました。
この勝利により、アラバマ大はSECチームとして史上初めて、バイウィークなしで4週連続ランカーチームに勝利するという偉業を達成。開幕でのフロリダ州立大戦での敗戦で一時はどうなることかと思われていましたが、SECタイトルだけでなくプレーオフにも十分に駒を進めることができるほどのチームに復活を果たしています。
#13 ノートルダム大 34、#20 サザンカリフォルニア大 24
ノートルダム大が所在するインディアナ州サウスベンドはこの日あいにくの雨に見舞われましたが、全米13位のノートルダム大がライバルである20位のサザンカリフォルニア大(USC)をこの悪天候の中34対24で破り、直近の宿敵対決において3年連続の勝利を収めました。
試合は序盤から激しい点の取り合いとなりました。USCが先にペースを掴み、一時10対7とリードを奪います。しかしノートルダムはジャダリアン・プライス(Jadarian Orice)を軸に展開したランゲームで反撃し、ハーフタイムには14対13とわずかにノートルダム大がリードを奪って後半へ突入。
そして試合が拮抗したまま迎えた第3Q、USCのパスオフェンスが火を吹きます。ジェイデン・マイアヴァ(Jayden Maiava)からジャコビ・レーン(Ja’Kobi Lane)への59ヤードのロングタッチダウンパスが決まり、さらに2ポイントコンバージョンも成功したことで、USCは24対21と再びリードを奪います。
.@cantGuardJak1 for 6️⃣🙌
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ただ、この直後に試合のモメンタムを一瞬で覆すプレーが炸裂します。ノートルダムのジャダリアン・プライス(Jadarian Price)が、返しのキックオフを100ヤードリターンTDとし、ノートルダム大がすぐさま27対24と再逆転(エクストラポイントは失敗)。このキックオフリターンは、USCが掴んだばかりのモメンタムを即座に打ち消す、決定的なプレーとなりました 。
THE PRICE IS RIGHT X2️⃣
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1️⃣0️⃣0️⃣ YARDS. JADARIAN PRICE 🤯#GoIrish☘️ pic.twitter.com/XYRkeXDaWs
後がないUSCはなんとかTDを決めて点差を詰めたいところでしたが、逆に試合を決めてしまった決定的な瞬間は、第4QにUSCが試みたトリックプレーでした。マカイ・レモン(Makai Lemon)がボールをファンブルし、ノートルダム大がリカバーするという痛恨のミスを犯してしまい、逆に彼らはこのチャンスを逃さず、QB CJ・カー(C.J. Carr)のラッシングTDでリードを広げます。
makai lemon fumble; usc vs notre dame pic.twitter.com/u10HRJoLGB
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これ以降USCのオフェンスは完全に失速し試合終盤は無得点に。最後はルーク・タリッチ(Luke Talich)がマイアヴァのパスをインターセプトし、ノートルダムの34対24の勝利を決定づけたのでした。
この試合で最も大きな差となったのは、ランゲームでした。ホームのノートルダム大は合計306ラッシングヤードを記録。そしてその全てをRBコンビが稼ぎ出しました。特に、スターRBジェレマイア・ラブ(Jeremiyah Love)はキャリアハイとなる228ヤードを脚で稼ぎ、またプライスも87ヤードを加え、この2人がUSCディフェンスにとって手がつけられない悪夢のような存在になったのでした。対照的に、USCのランヤードはわずか68ヤード。ここにフィジカルの差が見られます。
USCは24対21でリードした後、最後の4回のポゼッションでトータル85ヤードしか獲得できずオフェンスが完全に失速。しかも彼らはこの終盤でトリックプレーの失敗、ファンブル1回、インターセプト2回という決定的なターンオーバーに悩まされ自らの首を絞めたのでした。
この勝利によりノートルダム大開幕後2連敗の後の5連勝。一時はCFP進出が危ぶまれていましたが、試合をこなすごとに昨年のような強さを取り戻しており、今後のスケジュールを考えれば2敗を守りさえすればプレーオフ進出も夢ではなさそうです。
それにしてもこの伝統あるライバリーは2026年以降マッチアップが組まれていません。是非とも両校が歩み寄りこのトラディションを継続していって欲しいものです。
そのほかの主な試合結果
#15 ブリガムヤング大 24、#23 ユタ大 21
「聖戦(Holy War)」という異名を持つ、ユタ州内のライバリー、ブリガムヤング大(BYU、15位)とユタ大(23位)の試合は激戦に。
試合を決定づけたのは、第4Q残り時間9分半で迎えた17対14とBYUの3点リードで迎えた場面。ユタ大が逆転を狙って攻撃を続けますが、QBデヴォン・ダンピアー(Devon Dampier)のパスをBYUのSタマー・ウォール(Tanner Wall)がインターセプト。さらにその直後のドライブで1年生QB、ベアー・マックマイアー(Bear Bachmeier)がクリティカルな3rd-and-11の状況で複数のタックルを交わして22ヤードのTDラン。このプレーでBYUは24対14とリードを広げ、これが事実上の決勝点となりました。
THERE'S A BEAR ON THE LOOSE IN PROVO 🐻🔥@BYUFootball pic.twitter.com/MnjRfYa2Tr
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この勝利によりBYUは今シーズン未だ無敗の7勝0敗を維持し、長年のライバルであるユタ大に対し3年連続の勝利という快挙を成し遂げました。そして所属するBig 12カンファレンスの優勝レースにおいても貴重な白星となったのでした。
#1 オハイオ州立大 34、ウィスコンシン大 0
全米1位のオハイオ州立大はウィスコンシン大とのアウェーゲームを行いましたが、これを34対0と圧倒的な力を見せつけて一蹴。難なく無敗を守って今季7勝目を挙げました
オハイオ州立大のQBジュリアン・セイイン(Julian Sayin)はこの日キャリアハイとなる394ヤードと4つのタッチダウンパスを記録。今季初先発を任されながらすでにベテランのようなパフォーマンスを披露し続けています。
一方、ウィスコンシン大のオフェンスは完全に封じ込められ、オフェンスラインの苦戦とQBの不安定さが重なり悲惨な一日に。彼ににとっては、ホームゲームでの連続完封負けが2試合目となり、これで通算5連敗目。この散々な結果を受けて、ホームの観客からは「ルーク・フィッケル(Fire Fickell)を解任せよ」という大合唱が湧き起こる始末。今回の敗戦によりフィッケル監督のウィスコンシン大での戦績は15勝18敗となり、いよいよ彼の首も怪しくなってきました。
ルイビル大 24、#2 マイアミ大 21
金曜日に行われたルイビル大と全米2位のマイアミ大との試合は、ルイビル大がアウェーであったにも関わらず、24-21というアップセット勝利を達成。これによりマイアミ大は今季初黒星を喫してしまいました。
ルイビル大はトリックプレーやクイックパスといった巧妙なスキームにより、マイアミ大の強力な守備陣を翻弄。そして何よりマイアミ大の敗因となったのはQBカーソン・ベック(Carson Beck)の今季最悪と言えるパフォーマンス。この日ベックはTDを1つも奪えなかっただけでなく、キャリア最多となる4回のインターセプトを犯す大失態。マイアミ大はラン攻撃も不調で、24回のキャリーでわずか63ヤードにとどまりました。
この劇的なアップセットは、ルイビル大にとってプログラム史上最高ランク相手のアウェー勝利となりました 。一方、この敗北によりマイアミ大の夢の無敗シーズンは海の藻屑に。まだプレーオフ出場のチャンスは十分残されていますが、いつも何処かでズッコける、というマイアミ大の癖がまた出てしまいました。さらにハイズマントロフィーレースにおいても4INTを記録してしまったベックの株は暴落したといっても過言ではありません。
#3 インディアナ 38、ミシガン州立大 13
絶好調のインディアナ大(3位)はミシガン州立大と対戦。序盤ミシガン州立大が10対7と先行しましたが、インディアナ大QBのフェルナンド・メンドーザ(Fernando Mendoza)率いる爆発的なオフェンスとが試合の流れを完全に自らに手繰り寄せ、結果38対13で快勝。未だ無敗を守り続けています。
インディアナ大は最初の6回のポゼッションのうち5回でTDを決めるという、相変わらずの高い得点力を発揮。その主役のメンドーサは332ヤードを投げ、4TDを記録しただけでなく、パス失敗がわずか4回という驚異的なパサー能力を発揮していました。ここまでの彼のシーズントータルは、
INTわずか2回に対し21回のTDとなり、ハイズマントロフィー候補としての地位をさらに固めていました。
#4 テキサスA&M大 45、アーカンソー大 42
全米4位のテキサスA&M大が同じSEC所属のアーカンソー大と対戦しましたが、意外にもアーカンソー大の奮闘に遭い苦戦。激戦となりましたが、テキサスA&M大が辛くも逃げ切ってアップセットを免れました。彼らが開幕以来7勝0敗となるのは1994年以来。以前として過去最高レベルのシーズンを爆進中です。
QBマーセル・リード(Mercel Reed)はパスで280ヤード(3TD)記録し、チームのハイパワーオフェンスを牽引しました。一方で、テキサスA&M大の守備は苦戦し、特に相手にランで268ヤード、トータルで527ヤードも許してしまいました。その影響もあり試合終了直前に3点差まで相手に詰め寄られるというヒヤリとした場面も。
ただこういう僅差の展開となった試合に競り勝ったという事実は、今後きっと役に立つ時が来ると思います。
アリゾナ州立大 26、#7 テキサス工科大 22
Big 12カンファレンス戦として重要な試合となったこの試合、なんとアリゾナ州立大がここまで無敗だった全米7位のテキサス工科大を26対22で破り、今シーズン初の黒星をテキサス工科大は喫してしまいました。
試合の方はほぼ全般でアリゾナ州立大がリードする展開でしたが、最終局面で一気にドラマチックに。第4Q残り2分、テキサス工科大が2分足らずで15点を挙げて22対19大逆転の末にリードを奪い、誰しもがテキサス工科大がそのまま逃げ切ると思ったことでしょう。
しかし、膝の怪我から復帰したQBサム・レヴィット(Sam Leavitt)がプレッシャーの中、10プレー、75ヤードの決勝ドライブを見事に指揮。特に、レヴィットがWRジョーディン・タイソン(Jordyn Tyson)に対し、勝敗を分ける重要な4thダウンコンバージョン(33ヤードゲイン)を決めたことは特筆に値します。最終的に試合残りわずか34秒でRBのラリーク・ブラウン(Raleek Brown)が1ヤードのタッチダウンランを決め、ASUに劇的な勝利をもたらしました。
ARIZONA STATE SCORES WITH 34 SECONDS TO PLAY 😱@ASUFootball pic.twitter.com/tHe7POYoH6
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テキサス工科大は怪我で欠場したQBベーレン・モートン(Behren Morton)に代わりバックアップのウィル・ハモンド(Will Hammond)が先発しましたが、彼は167ヤード、インターセプト1回に終わり、オフェンスはシーズン最低の合計276ヤードに撃沈。この敗戦でテキサス工科大のランクダウンは必至で、さらにBig 12カンファレンスの優勝争いをさらに混沌とすることになるのは確実です。
#12 ジョージア工科大 27、デューク大 18
デューク大と対戦した全米12位のジョージア工科大は後半に圧倒的な力を見せつけてデューク大を27対18で破りました。この勝利によりジョージア工科大は今季無傷の7勝0敗、ACC内でも4勝0敗という、1966年以来の最高のシーズンを未だ送っています。
オフェンスではQBヘインズ・キング(Haynes King)がジョージア工科大のオフェンスの中心となり、後半の複数のスコアリングドライブを演出。彼自身はパス205ヤード、ラン120ヤードを含む合計325ヤードのオールパーパスヤードを記録。特に第4Q終盤には、試合の勝利を決定づける28ヤードのTDランを成功させるに至りました。
#14 オクラホマ大 26、サウスカロライナ大 7
全米14位のオクラホマ大は、サウスカロライナ大を26対7で撃破。前戦テキサス大との大一番で敗戦してしまってから初の試合にて見事な「バウンスバック勝利」を飾りました。またオクラホマ大は昨年の同一カードで35対9で敗れており、今回の勝利は昨年のリベンジ達成ということにもなりました。
全米でもトップクラスにランクされるオクラホマ大のディフェンスは、この日相手QBラノリス・セラーズ(LaNorris Sellers)に対して実に6回のサックを記録したほか、インターセプト1回、さらに試合終盤にはセーフティも奪い、後半を通じて相手に得点を許しませんでした 。
またオフェンスも調子を取り戻し、特にランアタックが復調の兆し。ランニングバックのトーリー・ブレイロック(Tory Blaylock)が101ヤード、そしてゼヴィアー・ロビンソン(Xavier Robinson)が58ヤードを脚で叩き出し、チーム合計171ヤードを記録。ここまで弱点とも言われていたランアタックがようやく火を吹いた形になったのでした。
(更新終わり)






