2022年度シーズンは今週末第4週目を迎えます。早いもので9月最後の週末です。
開幕時から比べると上位チームの顔ぶれにそこまでの変化は見られませんが、ここら辺からカンファレンス戦が本格的に始まっていくために熾烈なサバイバルレースの幕開けとなります。一つでも負けようものなら大痛手なのです。
またここらへんから上位に食い込んでくる「今年のチーム」がどのチームなのかも分かってくると思われ、見ていて大変面白い週末が増えていきます。
そんな中行われる第4週目のカレッジフットボール。今回も筆者の独断で面白そうな試合を簡単にご紹介していきたいと思います。
目次
#20フロリダ大 vs #11テネシー大
1990年代から2000年代前半にかけてSEC(サウスイースタンカンファレンス)東地区内で火花を散らしたこのライバリー。しかしここ最近は一方が不調続きでこのマッチアップの注目度は下がってしまっていましたが、今年はお互いがランクされており、久しぶりにこのカードに注目が集まっています。
特にテネシー大は今年ここまで3連勝で全米11位。2016年に最終ランキングで9位にランクされて以来の高順位に位置しています。今年で2年目となるジョシュ・ハイペル(Josh Heupel)監督指揮下で着実に数字を残してきていますが、このフロリダ大戦は彼らにとって本当の実力を全米中に知らしめるこれ以上ないチャンスとなります。
テネシー大の特長は超ハリーアップオフェンスの高速アタック。それを支えるのはQBヘンドン・フッカー(Hendon Hooker)。昨年はトータルで2945ヤードのパスに31TD、3INTと非常に安定した数字を残し、今年はここまで3試合で844ヤードのパスに6TD、犯したINTパスはゼロ。また機動力もあり、今後名前が台頭していきそうな勢いです。
一方フロリダ大は開幕戦で当時7位だったユタ大を倒す大健闘を見せて一気にランキング上位に飛び込んできましたが、ケンタッキー大に敗れさらに先週は格下サウスフロリダ大に苦戦を強いられるなどして波に乗れずにいます。
ユタ大戦で大活躍して一躍ハイズマントロフィー候補にも躍り出たQBアンソニー・リチャードソン(Anthony Richardson)は過去2週間でユタ大戦での彼が幻だったかのような不調に陥っています。その間(ユタ大戦含む)TDはゼロでその代わりにINTパスが4つといいところがありません。
テネシー大でのホームゲームでもあり、スタジアムはテネシー大の押せ押せ雰囲気となるのは目に見えています。テネシー大の超高速オフェンスを止めるのは至難の業。とすればフロリダ大はテネシー大と点取合戦を演じなければ後手に回らざるを得なくなります。リチャードソンのここ一番のパフォーマンスが必須となるでしょう。
ウィスコンシン大 vs #3オハイオ州立大
Big Tenカンファレンスの大御所同士の対決。現在全米3位のオハイオ州立大に対してウィスコンシン大はランクされていませんが、好マッチアップであることに変わりはありません。
オハイオ州立大はハイズマントロフィー候補の一角と言われるQB C.J.ストラウド(C.J. Stroud)が健在。彼はここまで941パスヤードに11TDとしていますが、さらに驚きなのはINTパス数がゼロ。エフィシエンシー(効率度)がすこぶる良いQBです。
さらに彼を取り巻くスキルプレーヤーもマーヴィン・ハリソン・Jr(Marvin Harrison Jr)、エメカ・イブカ(Emeka Egbuka)、怪我で出遅れているジャクソン・スミス・エンジグバ(Jaxon Smith-Njigba)といったWR陣、さらにRBのトレヴィオン・ヘンダーソン(TreVeyon Henderson)やマイヤン・ウィリアムス(Miyan Wlliams)といったスキル選手が充実。全米最高峰の攻撃力を誇ります。
一方のウィスコンシン大は2戦目にワシントン州立大にまさかの敗戦を喫して全米ランキングから転げ落ちてしまいましたが、先週は格下ではあるもののニューメキシコ州立大に66対7と快勝。得意のランでトータル260ヤード(6TD)を荒稼ぎしました。このオハイオ州立大戦ではストラウドらのオフェンスと点取合戦に持ち込まれればウィスコンシン大が競り勝てるとは思えませんので、彼らのランアタックでなんとかポゼッションゲームに持ち込みたいところ。
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#5クレムソン大 vs #21ウェイクフォレスト大
どちらのチームもこれまで無敗でランクされたもの同士の戦いとなるこの一戦。ウェイクフォレスト大がホームにクレムソン大を迎え撃ちます。
ウェイクフォレスト大は先週リバティー大と対戦し、相手の2ポイントトライ失敗のおかげで辛くも逃げ切りました(37対36)。そういった意味では薄氷を踏むような感じで現在21位にとどまりました。そして2008年以来のクレムソン大戦での勝利を目指して今週末を迎えます。
クレムソン大はここまで全米トップレベルのディフェンス力(平均失点数14点)を誇り彼らがチームの軸となっています。オフェンスは相変わらずQB D.J.ウイアンガラレイ(D.J. Uiagalelei)のスロースタートが気になるところですが、終わってみれば相手を突き放しておりここまで無傷の3連勝。
普通に考えればクレムソン大の優勢となりますが、ウェイクフォレスト大のQBサム・ハートマン(Sam Hartman)のパスプレーで前半からスコアを重ねることができればひょっとしたらウェイクフォレスト大にも勝機がある・・・かもしれません。
#7サザンカリフォルニア大 vs オレゴン州立大
こちらの試合も無敗同士の対決。違いはサザンカリフォルニア大が全米7位であるのに対してオレゴン州立大はランク外のチームというところです。
サザンカリフォルニア大は下馬評通り得点力の高いチームに仕上がっており、特にQBケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams)とWRジョーダン・アディソン(Jordan Addison)のハイズマントロフィー候補コンビの力が絶大です。ウィリアムスはここまで874パスヤードに8TD(0INT)、そのうちアディソンは295ヤードに5TDをウィリアムスから受け取っています。パスだけでなくランアタックも充実しており、ここまでの平均得点数は50.7点と破壊力抜群です。
オレゴン州立大は昨年サザンカリフォルニア大をアウェーで倒すという偉業を達成しており、当然サザンカリフォルニア大はリベンジに燃えていることでしょうが、オレゴン州立大も指を加えてやられるだけのチームではありません。
彼らの開幕3連勝の要因はアップグレードされたオフェンス力。サザンカリフォルニア大と比べると当然劣りますが、ジョナサン・スミス(Jonathan Smith)監督の下で持てる戦力を最大限に活かすクリエイティブな作戦で2012年以来の開幕4連勝を目指します。
地力ではサザンカリフォルニア大有利ですが、何が起こるかわからないのがカレッジフットボールの面白いところ・・・。
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#10アーカンソー大 vs #23テキサスA&M大
強豪ひしめくSECでも特に西地区は強いチームが固まっていますが、そんな中でアーカンソー大とテキサスA&M大のマッチアップは地区優勝争いの上で非常に注目が集まります。
開幕後全米6位だったテキサスA&M大でしたが、2戦目でアパラチアン州立大にホームでまさかのアップセットを食らって順位を24位まで大きく落としてしまいました。しかし先週は当時13位だったマイアミ大と対戦しこれを撃破。オフェンスでは先発にルイジアナ州立大からの転校生であるマックス・ジョンソン(Max Johnson)を起用。数字的にはそこまで驚くようなものは残しませんでしたが、自分のプレーで切り開くというよりも周りの選手をうまく使って彼らに仕事をさせるスタンスでオフェンスをうまく回していました。
ただやはりリクルーティングでも近年成功し、全米でも随一という高額所得監督であるジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督が率いるオフェンスとしては物足りなさは感じてしまいます。オフシーズにアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督に噛み付きさえしたフィッシャー監督ですが、まずはそのアラバマ大戦まではこの1敗を守り切りたいところ。
一方のアーカンソー大はここまで3連勝中ですが、先週は格下FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のミズーリ州立大に接戦を演じられ、4thクォーターに10点を加えてなんとか逃げ切りました。そしてこのテキサスA&M大戦を含め彼らは今後4試合連続で厳しいスケジュールが待っており、全米10位である彼らが本物かどうかが試されます。
彼らの3連勝を支えるのはQB K.J.ジェファーソン(K.J. Jefferson)の肩と脚、さらにはRBラヒーム・サンダース(Raheim Sanders)の2人。ジェファーソンはここまで投げて770ヤードに6TD、走って169ヤードに3TDを奪っていますし、サンダースは開幕以来3試合連続で100ヤード以上のランヤードを稼いでいます。
注目はこのアーカンソー大の攻撃をテキサスA&M大ディフェンスがどう封じるかです。彼らはここまで全米9位のトータルディフェンスとパスディフェンス、平均失点数は8.7点と冴えており、古き良きサウスウエストカンファレンスのライバルゲームに花を添えることでしょう。
#15オレゴン大 vs ワシントン州立大
現在全米15位のオレゴン大がここまで無敗のワシントン州立大のキャンパスに乗り込んで行われるこのマッチアップはPac-12カンファレンスの試合として注目したい試合です。
オレゴン大は開幕戦で現在全米1位のジョージア大に49対3とボロ負けしてしまいましたが、翌週のイースタンワシントン大戦に大勝しそして先週の12位(当時)ブリガムヤング大戦では41対20とアップセットを演じて順位を大きく戻してきました。
そのブリガムヤング大戦ではアーバン大からの転校生であるボ・ニックス(Bo Nix)が覚醒。パスで2TD、ランで3TDと5つのTDに絡む活躍でブリガムヤング大を突き放しました。このワシントン州立大戦でもニックスのパフォーマンスが勝利の鍵を握っていると言えそう。アーバン大時代は冴えた試合とそうでない試合の差が激しかったのですが、ブリガムヤング大戦でのハイパフォーマンスの翌週となるこの試合でどちらのニックスが垣間みれるのかで勝利の行方が決まってくるかも。
ワシントン州立大は今年で2年目となるジェイク・ディッカート(Jake Dickert)監督の指導下でディフェンス力が向上。特にフロントセブンの成長は著しく、ここまで彼らが相手に食らわしたQBサック数は14個。これは現在のところ全米2位タイの数字となっています。それに対するオレゴン大OL陣はあのジョージア大戦を含めてもQBサックを一つも許しておらず、この試合はこのライン戦も大きな見どころと言えそうです。
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その他の気になる試合
メリーランド大 vs #4ミシガン大
Big Tenカンファレンス東地区同士のマッチアップ。どちらもいまだ負け知らず。全米4位のミシガン大が有利ですが、メリーランド大は元アラバマ大で現在マイアミドルフィンズのQBであるトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)の弟であるトゥリア・タガヴァイロア(Taulia Tagovailoa)が好調。
バージニア大 vs シラキュース大
ここまで無敗のシラキュース大が2018年以来の開幕後4連勝を狙います。彼らのQBギャレット・シュレイダー(Garrett Shrader)とバージニア大のQBブレナン・アームストロング(Brennan Armstrong)の投げ合いに注目です。
デューク大 vs カンザス大
こちらは大学バスケの名マッチアップと見間違える対戦カードですが、両校ともこれまで無敗中。どちらが勝ってもヒストリックな勝利となりますが、特に不調だった時期が長いカンザス大にとってこの試合に勝つことができれば歴史的な開幕後4連勝目となります。
ノートルダム大 vs ノースカロライナ大
名門ノートルダム大はここまですでに2敗。これまで2敗でプレーオフに進出したチームは皆無であるため、彼らのプレーオフへの夢は限りなく閉ざされてしまったと言えそうですが、来年以降へのチーム作りのためにもこの試合は是非勝っておきたいところ。
ジョージア工科大 vs セントラルフロリダ大
ジョージア工科大はここまで1勝2敗で先週はミシシッピ大と対戦して完封負け。今季で4季目となるジェフ・コリンズ(Geoff Collins)にとってこのセントラルフロリダ大戦で負けることはほぼ解雇を意味しているといっても過言ではありません。
ボストンカレッジ大 vs フロリダ州立大
名門フロリダ州立大もここまで3連勝中。QBジョーダン・トラヴィス(Jordan Travis)の怪我の具合が気になるところですが、この試合で勝つことができればおそらく来週のランキングでその名を連ねることになるでしょう。
#17ベイラー大 vs アイオワ州立大
Big 12カンファレンス所属チーム同士の対決。ベイラー大はブリガムヤング大に敗れるもカンファレンス戦ではまだ無傷。Big 12二連覇を狙うならこの試合は落とせません。一方のアイオワ州立大は3勝0敗中。金星を奪ってランクインを画策します。
テキサスクリスチャン大 vs サザンメソディスト大
昨年までサザンメソディスト大(SMU)で監督を務めていたソニー・ダイクス(Sonny Dykes)監督がいきなり古巣と対戦。しかもダイクス監督とSMUはちょっとした仲違いがあってダイクス監督がテキサスクリスチャン大へ移っていったため、彼にとってはパーソナルな試合となりそうです。
#22テキサス大 vs テキサス工科大
アラバマ大と死闘を演じて惜敗したテキサス大は先週テキサス大サンアントニオ校に前半苦戦。ポテンシャルは十分なものの、油断をしているとテキサス工科大に足元をすくわれるなんてこともあり得るかも。
ミネソタ大 vs ミシガン州立大
ミネソタ大もここまで無敗のチームで虎視眈々とランクインを狙うチーム。ベテランQBターナー・モーガン(Tanner Morgan)と指折りのRBモハメッド・イブラヒム(Mohamed Ibrahim)のオフェンスに注目です。
アイオワ大 vs ラトガース大
火力不足に悩むアイオワ大に今季無敗中のラトガース大が挑みます。ラトガース大が勝てば2012年以来の開幕後4連勝に。
スタンフォード大 vs ワシントン大
先週ミシガン州立大に勝っていきなり圏外から18位に上昇したワシントン大。今季3連勝中でスタンフォード大戦を迎えますが、油断しているとランクイン早々に痛い目に遭うなんてことも。
ミズーリ大 vs アーバン大
今季まだ2季目ながら既に所謂「Hot Seat」に座らされているアーバン大のブライアン・ハーシン(Bryan Harsin)監督。気が短いアーバン大後援者たちの声を鎮めるためには勝ち続けるしかありませんが、仮にこのミズーリ大戦で負けてしまえば・・・。
サザンミシシッピ大 vs トゥレーン大
先週カンザス州立大を倒して開幕後3連勝を飾ったトゥレーン大。これは1998年に無敗シーズンを送った時以来の快挙。果たして4連勝目を飾ることができるか?
ジェームスマディソン大 vs アパラチアン州立大
今季からFCSより昇格してサンベルトカンファレンスに所属となっているジェームスマディソン大はいまだ無敗。一方のアパラチアン州立大は先週トロイ大戦でヘイルマリーパスによる劇的な勝利試合を見せてくれたチーム。「グループオブ5」勢の中でも気になる試合です。
など
第4週目のカレッジフットボールも大いに楽しみましょう!!