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NCAA、試合時間短縮に繋がるルール改正を採用へ【オフシーズン便り#12】

NCAA、試合時間短縮に繋がるルール改正を採用へ【オフシーズン便り#12】

全米大学体育協会(NCAA)はカレッジフットボールのルールを司る団体でもありますが、選手の安全確保の為や円滑に試合が行われる為に既存のルールを変えることは珍しいことではありません。

毎年メジャー・マイナーに関わらずそういったルール改正が行われるのですが、来る2023年から新たに改正された以下に紹介する3つの新ルールはこれまでのカレッジフットボールのあり方を大きく変える可能性のある、ある意味画期的な改正となっています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

2023年から導入される3つの改正ルール

タイムアウトの連続使用禁止

タイムアウトが連続して使用されてきたシチュエーションといえば、やはり相手チームがFGを狙う時にそのキッカーを「アイス(Ice)する」、つまり集中しているキッカーの精神状態を撹乱する為に、キッカーが蹴る直前にタイムアウトをとる(もしくはとるふりをする)ものです。

(ビビることを「コールドフィート(Cold Feet)」と英語で言ったりしますから、Iceするというのでしょうね)

時にはタイムアウトの残数によっては残っているタイムアウトを全てキッカーをアイスするために連発するチームも過去にはいくつもありましたが、今回のルール改正でこれができなくなることになります。

アンタイムド・ダウンの廃止

試合中、稀に第1Qもしくは第3Qの終了時のプレーがディフェンスによって反則となるシチュエーションがあります。

この場合、クォーターのクロックがゼロになってはいるものの、この反則を受けて次のクォーターに行く前にオフェンスがもう一度プレーができるというルールがありました。このプレーをアンタイムド・ダウン(Untimed Down)と呼んでいたのですが、これが今回廃止されることになりました。

例えば、第1Q(もしくは第3Q)最後のプレーでオフェンスのパスプレーがディフェンスのPI(パスインターフェアレンス)の反則を引き出した場合、プレー終了時にはすでに第1Qのクロックがゼロになって第1Q終了となってはいますが、このPIの反則を受けてオフェンスに、ゲームクロックがゼロのまま、第1Q中にもう一度プレーのチャンスが与えられる、というものです。

(アンタイムド・ダウンで有名なのは2017年のオークランド(現ラスベガス)レイダースvsカンザスシティチーフスの試合ですね→ https://youtu.be/VxFV_ng_a_k )

しかし、今回のルール改正でこのアンタイムド・ダウンが廃止され、第1・3Q終了時のディフェンシブファウルを受けてのオフェンスのプレー再開は次のクォーターに持ち込まれる(第1Qなら第2Qの最初のプレー、第3Qなら第4Qの最初のプレー)ことになります。

ファーストダウン時にゲームクロックが止まらない

これまでのカレッジフットボールの試合ではファーストダウンを奪えば、ランプレーにしろパスプレーにしろインバウンドでプレーが終わっても一旦時計が止まっていました。これがこの新ルールによって廃止され、ファーストダウンをインバウンドで奪ってもゲームクロックは流れ続けることになります。

これは現在のNFLのルールと似ています。カレッジとNFLのルールの違いの中でもこのファーストダウン時のクロックルールの違いは大きな事例だったので、新ルールによりその差別化がかなり薄まることになります。

ただ一つ違うのは、カレッジの場合は第2Qと第4Qの残り2分を切るとこれまでの通りファーストダウン時には時計が止まるようになります。これはNFLとは異なるポイントです。


ルール改正の意図

今回改正された3つのルールに共通するのは「試合時間」に何らかの影響を与えるという点です。

ファーストダウン時に時間が止まる、連続でタイムアウトをとる、アンタイムド・ダウンによりもう一度同じQにプレーが許される、これらはどれも試合時間を遅らせることにつながります。

つまり、今回の3つのルール改正は長くなる一方のカレッジフットボールの試合時間を短縮するための試みだと言われているのです。

過去3シーズンの統計を見るとカレッジフットボールの1試合の平均プレー数は180回で、試合の平均時間は3時間21分と毎年少しずつ長くなってきているそうです。これをNFLと比べると、彼らの1試合の平均プレー数は155回で試合の平均時間は3時間10分とプロリーグの方が短めです。

プレー時間を短くする利点として挙げられているのは、そのことでプレー数が縮小され、結果的に選手たちの怪我の頻度を抑えることが目的とされていることです。

その背景には2024年度シーズンからカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に参加できるチーム数が4チームからその3倍である12チームに拡張されることにあります。

12チーム制になればローシードのチームの場合は最大で4試合のプレーオフを行うことになります。現状のレギュラーシーズンが各カンファレンスのチャンピオンシップゲームを含めると13試合が相場となっていますので、最大で17試合をこなさなければならないチームが出てくる可能性が出てくるわけです。

プレーオフの試合数が増えるのにレギュラーシーズンの試合数を調節しないのは(=減らさないのは)、レギュラーシーズンの試合数を減らすことで売り上げを減らしたくないという大人の事情が見え隠れしていて興醒めなのですが・・・。

ただ、試合数が増えれば選手の疲労や怪我発症の確率も増えるわけですから、試合数を減らさずに選手の安全を確保するには、1試合の試合時間を減らして少しでも選手への負担を減らすしか方法がないわけですね。

(もしくはそういったモーションをかけることで、選手の安全を第一に考えているというアピールをしているだけと思えてしまう・・・のはひねくれ者の私だけでしょうか?)

どちらにしても、今回のルール改正はこれまでのゲームプランを多少なりとも見直す必要が出てくるはずです。

特にファーストダウン時に時間が止まらないというのは大きいですよね。特に点差をつけられて追う展開となっているチームにとってはファーストダウン時に時間が止まって一息入れられるのは戦略の面でも重要なポイントでしたが、ハーフ終了2分以内は時間が止まるとはいえ、差し迫ったシーン(2ミニッツドリルなど)でのプレーコールに影響を与えそうです。

今シーズンから今まで以上にコーチ陣にはタイムアウトの使い方やクロックマネージメントの手腕が問われることになりそうです。

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