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2024年度CFP準々決勝プレビュー【シュガーボウル】

2024年度CFP準々決勝プレビュー【シュガーボウル】

今年から開催されている12チーム制度のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)。12月20日と21日にファーストラウンドの4試合が行われ、それぞれの勝者がファーストラウンドを免除されたシードチーム4チームと激突するのが今週末の準々決勝戦4試合です。

ファーストラウンドはCFP史上初の試みとなったキャンパス開催でしたが、準々決勝からはメジャーボウルゲーム「ニューイヤーズ6ボウル」のうちの4つのボウルゲームで開催されます。プレビュー最終回の今回は1月1日に行われるシュガーボウルの見どころをお届けします。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

#7 ノートルダム大 vs #2 ジョージア大

🇺🇸1月1日(水)東部時間午後8時45分 | 🇯🇵1月2日(木)午前10時45分

準々決勝の最後の試合はアメリカで元旦のプライムタイムに行われる第2シードのジョージア大と第7シードのノートルダム大があいまみえるシュガーボウル。会場はNFLニューオーリンズセインツの本拠地でもあるシーザーズ・スーパードーム(収容観客数7万2003人)となります。

両校のこれまでの対決は全3回。最初の顔合わせは1981年1月1日に行われたシュガーボウル。この時のジョージア大はRBに後にハイズマントロフィーを獲得することになるRBハーシェル・ウォーカー(Hershel Walker)を擁しノートルダム大を17−10で撃破。1980年度のナショナルチャンピオンに輝きました。

その後両校は2017年と2019年にもホームアンドホーム形式で対戦しておりどちらもジョージア大が勝利。つまりジョージア大の3戦3勝という対戦成績となっています。

ジョージア大のここまでの歩み

ジョージア大は2016年に現在の監督であるカービー・スマート(Kriby Smart)監督を招聘すると、瞬く間にチームは常勝チームに様変わり。特に2021年に30年ぶりの全米制覇を果たすと2022年にも全米の頂きに立ち連覇を達成。2023年は残念ながらプレーオフ進出を逃しましたが、それまでカレッジフットボール界の絶対王者として君臨し続けてきたアラバマ大に取って代わった存在となったのがこのジョージア大という印象です。

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ジョージア大のカービー・スマート監督

そのジョージア大は2022年以来4年間で3度目のナショナルタイトルを目指して開幕を1位で発信します。開幕戦にいきなりクレムソン大(当時14位)と対戦しますがこれを34対3で圧倒。3戦目のケンタッキー大戦で13対12と大苦戦するも開幕3連勝で4戦目に強敵・アラバマ大と対決。この試合では前半からアラバマ大に大きくリードを奪われながらも後半怒涛の反撃を見せますが、結局41対34で惜敗し1敗目を喫してしまいます。

ただ、そこからすぐに立て直し7戦目の当時全米1位だったテキサス大との大一番に30対15で勝利して全米ランクを2位までに持ち直します。そのまま最後まで行くかと思われた矢先、今度はミシシッピ大に28対10と完敗。レギュラーシーズン中に珍しく2敗するという、ここ数年ではなかなか考えられない展開に。

そんな中でもテネシー大(当時7位)を倒し、レギュラーシーズン最終戦では同じジョージア州内のライバルであるジョージア工科大と8度のオーバータイムにもつれ込む死闘を演じ、これを制してSECタイトルゲームに進出。ここではすでに倒しているテキサス大との再戦となりますが、ここでもオーバータイムの末に22対19と僅差で勝ってSECタイトルを手に入れてプレーオフに進出。SEC優勝チームとしてファーストラウンド免除という特権を得て今回のシュガーボウルを迎えます。

ノートルダム大のここまでの歩み

ここ数年カンファレンスの再編成が活発に行われる中、どのカンファレンスにも所属してこなかった独立校チーム界隈でもカンファレンスに合流するチームが増えました。そんな中でも未だにカンファレンスに所属せずに無所属を貫いているのが名門ノートルダム大です。

これまで全米優勝回数11回を誇る超有名校ですが、最後に全米制覇を成し遂げたのが1988年ということでその栄冠からはかなり遠ざかっているのが現状。BCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)タイトルゲームには1度出場(2012年)、そしてCFPにもこれまで2回出場経験がありますが(2018年、2020年)、未だ12度目の全米制覇に手が届いていない状況です。

そんなノートルダム大は2021年度シーズン後に当時監督だったブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督がルイジアナ州立大の監督に就任するために電撃離脱。その後釜に座ったのが当時ディフェンシブコーディネーターを務めていたマーカス・フリーマン(Marcus Freeman)氏でした。元々オハイオ州立大でプレーしたフリーマン監督は若干35歳でノートルダム大の監督に就任しましたが、監督の経験はなかったものの、ケリー監督がいきなり抜けてしまい空中分解寸前だったチームを救うためにはこれ以上無い人選だったと思います。

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ノートルダム大のマーカス・フリーマン監督

就任初年度は9勝4敗、2年目の昨年は10勝3敗とまずまずのスタートを切ったフリーマン体制のノートルダム大。そして3年目となる今シーズンは悲願のプレーオフ出場が大きな目標となりました。今季から12チーム参加の新制度になりますが、カンファレンス優勝チームには自動的にプレオーオフ出場の権利が与えられるところ、無所属のノートルダム大がプレーオフに駒を進めるにはCFPランキングで上位に食い込む事以外に道はなく、そういった意味では他のチームよりも敗戦による許容誤差が小さいという不利な状況でもありました。

そんな中迎えた開幕戦、テキサスA&M大との大一番で23対13と競り勝って幸先のいいスタートを切ったかに思いましたが、2戦目にはランク外の超格下、ノーザンイリノイ大に16対14でまさかの敗戦。今後のスケジュールを考えるとこの時点で1敗を喫してしまったことは大きく、しかもその相手がノーザンイリノイ大ということで、これは世紀の大番狂わせとして早々にノートルダム大をピンチに陥れます。

ただ、その後ノートルダム大は見事に立て直し怒涛の10連勝。ランキングの方もノーザンイリノイ大に敗れたことで5位から17位に大きく順位を落としますが、勝ち進むことで徐々に順位を取り戻し、レギュラーシーズンが終わることには5位にまで復活。そして見事に1敗を守ってプレーオフ進出を決めます。

そしてプレーオフのファーストラウンドでは同じインディアナ州にキャンパスを持つインディアナ大と対決。極寒の中で行われたこの試合では27対17と格の違いを見せつけて勝利しファーストラウンドを突破。見事に準々決勝戦となるシュガーボウルに駒を進めて待ち構えるジョージア大に挑戦状を叩きつけます

見どころ

ノートルダム大ジョージア大
#16SOS#1
38.8 (2)平均得点数31.9 (31)
419.2 (34)平均トータルオフェンス406.9 (45)
196.8 (97)平均パスオフェンス259.2 (32)
222.4 (10)平均ランオフェンス126.3 (96)
13.8 (3)平均失点数21.8 (24)
295.3 (8)平均トータルディフェンス353.8 (43)
162.3 (3)平均パスディフェンス280.7 (12)
133.0 (36)平均ランディフェンス129.3 (33)
*カッコ内はFBSでのランク

ノートルダム大のオフェンスは今季シーズンを通して安定感をどんどん増していったユニット。平均のトータルオフェンスは419ヤードに平均得点数が38.8ヤードという数字からも全米レベルで上位クラスの攻撃力を持っていると言えます。

そのオフェンスの中心人物がQBライリー・レナード(Riley Leonard)です。デューク大からの転校生であるレナードは合流後からその秘めたる能力をいかんなく発揮。元々彼の武器は走れるQBであることですが、ラッシャーとしてはチームで2番目に多いランヤードとなる751ヤードに15TDを記録。1キャリーの平均ランヤードも5.6ヤードとRB専任選手と比べても遜色ない数字を残しています。


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ノートルダム大QBライリー・レナード

これにエースRBジェレマイア・ラヴ(Jeremiyah Love)の脚力が加わるのですから、ノートルダム大のランアタックは安泰です。今季のラヴは1057ヤードに16TD、アベレージが7.4ヤードと全米を代表するRBとして活躍。さらに彼のバックアップRBであるジャダリアン・プライス(Jadarian Price)も700ヤード近いランヤードを稼いでおり、レナード、ラヴ、プライスの3人で2500ヤード近いランを見せてきました。

スタッツからも分かる通りノートルダム大のオフェンスの肝は地上戦力。パスオフェンスは平均ヤード数が全米97位という数字からも驚異的という訳ではありませんが、レナードという走れるQBという点を最大限に活かしてランに傾倒しているという点もあると思いますので、必ずしもレナードがパスを投げれないQBという理由ではありません。今季レナードは2293ヤードに17TD、6INTというスタッツを残していますが、インディアナ大戦では要所でドライブを生かし続けるパスプレーを見せていました。

ノートルダム大のディエフェンスは全米でも随一の鉄壁ディフェンスです。失点数は全米3位となる平均13.8点ですが、特にパスディフェンスにすこぶる強く、相手に許したパスヤードが平均162.3ヤードで全米3位。先にもご紹介した通り、ノートルダム大のオフェンスはランで押してくるチームであり、それでもここまで1敗を守り続けてこれたのはこの強力は守備陣があってこそのこと。

ただ、ディフェンスのキャプテンであり、チームの最多QBサック数を誇るライリー・ミルズ(Rylie Mills)が怪我で戦線を離れているのは痛手。その点はハワード・クロス・III(Howard Cross III)およびドノヴァン・ヒニッシュ(Donovan Hinish)のさらなる奮闘が必須となります。

2列目以降ではLBでチームのリーディングタックラーであるジャック・カイザー(Jack Kiser)が壁を構え、更に3列目には昨年の最優秀ディフェンス賞「ナガスキアワード」を獲得し、今年も含めて2年連続オールアメリカンに選ばれたSゼヴィアー・ワッツ(Xavier Watts)が健在。ジョージア大のオフェンスにとってはこれまでにない試練となることは間違いありません。


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ノートルダム大Sゼヴィアー・ワッツ

そのジョージア大のオフェンスですが、やはり最大の痛手はエースQBカーソン・ベック(Carson Beck)が怪我で戦線離脱してしまったことです。過去2年間絶対QB1だったベックですが、先のSEC優勝決定戦にて右肘を負傷。結局手術を余儀なくされプレーオフの欠場が決まってしまいました。

上に紹介したパスオフェンスのスタッツはほぼベックが獲得してきたものであり、プレーオフを彼の代わりに戦い抜くQBガナー・ストックトン(Gunner Stockton)はここまで206ヤードに0TD、 1INTという数字しか残してこなかったことを考えるとここは不安材料でしかありません。

レシーバー陣はスーパースターがいるわけではありませんが、エリアン・スミス(Arian Smith)、ドミニク・ラヴェット(Dominic Lovett)、ディロン・ベル(Dillon Bell)といった選手が脇を固めており、ストックトンが彼らにパスを通しさえすれば、オフェンシブコーディネーターのマイク・ボボ(Mike Bobo)氏のプレーコーリングでノートルダム大ディフェンスの穴を突いてくることは出来るかもしれません。ただ忘れてはいけないのはノートルダム大のパスディフェンスは全米指折りのパワフルユニットであり、これを崩すのは容易ではないということです。

そんな時はぜひともランアタックに頼りたいところですが、元来ジョージア大は多くの有能RBを輩出してきたチームであるにも関わらず今年のRBアタックは不作と言わざるを得ません。ネイト・フレイジャー(Nate Fraizer)とトレヴァー・エティエン(Trevor Etienne)は能力自体は素晴らしいものを持っていますが、二人合わせて1200ヤードそこそこしか足で稼げていません。

その要因はやはり完調でないOL陣にあるとみます。特に今季彼らは満身創痍でGテイト・ラトリッジ(Tate Ratledge)は膝、足首の怪我に悩まされ、Gマイカ・モリス(Micah Morris)も下肢に負傷の過去があり、Cジャレッド・ウィルソン(Jared Wilson)も今季怪我で2試合欠場しています。Tアーネスト・グリーン(Earnest Greene)も肩に怪我を負っており、100%でないOL陣の調子もジョージア大のランオフェンス不調に関係していそうです。

ディフェンス面はというと、彼らが全米タイトル二連覇したときのような、将来のNFL選手を多く抱えるような鉄壁の守備陣を今季擁しているとはお世辞にも言えません。

ゲームが僅差でここで止めなければ試合の流れが相手に転がる、というような緊迫した状況でのジョージア大ディフェンスの強さは今季も健在ですが、一方で相手にビッグプレーを許すシーンを何度も見せるなど今季の守備陣はムラが多めな感じ。相手に40ヤード以上のパスプレーを成功されたのが今季これまで8度。これは全米でいうと68位、50ヤード以上のパスプレーは5度で全米89位、さらに60ヤード以上のプレーもこれまで3つ許し(全米93位)、ロングゲインを奪われる回数が目に余りました。

失点数に関しても今季ここまで平均21.8失点ですが、これはスマート監督がジョージア大監督に就任した初年度の2016年度シーズン以来の多さ。明らかに数年前までのモンスター級ディフェンスと比べると物足りなさを感じずに入られません。ただ、タレントが揃っていないわけではありません。オールアメリカンのSマラカイ・スタークス(Malaki Starks)を始め、LBジェイロン・ウォーカー(Jalon Walker)、DLマイケル・ウィリアムス(Mykel Williams)など次期ドラフトの注目選手は健在。


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ジョージア大Sマラカイ・スタークス

1つ気になるのはジョージア大のディフェンスがモバイル系QBにやられてしまっているところです。今季レギュラーシーズン中に敗れたアラバマ大のQBジェイレン・ミルロー(Jalen Milroe)には117ヤード走られ2TDを奪われましたし、8度のOTにもつれ込み大いに苦しめられたジョージア工科大のQBヘインズ・キング(Haynes King)にも110ヤードに3TDを足で稼がれました。

そして今回対戦するノートルダム大のQBレナードはまさに足でかき回すのが得意なQBです。ディフェンシブコーディネーターのグレン・シューマン(Glenn Schumann)氏は当然レナード対策を十分に練っていることでしょうから、ジョージア大としては如何にレナード並びにラヴらによるラン攻撃を止めるかが大きな焦点になりそうです。

ただレナード率いるノートルダム大にとってもジョージア大相手にランが出なければ攻撃の選択肢が極端に狭まる可能性があります。そのためにはOL陣がジョージア大のディフェンシブフロントに押し負けないことが求められますが、ノートルダム大が今季対戦してきた中で最もランディフェンスが強かったのがインディアナ大。ランディフェンスは数字の上では全米1位だったインディアン大からノートルダム大は193ヤードを奪ったのは確かに圧巻でした。

ただ、そのインディアナ大のDL陣の平均体重は255パウンド。対して今回対戦するジョージア大のDL陣の平均体重は327パウンド。ノートルダム大OL陣にとってはジョージア大DL陣とのマッチアップはまさに未知の世界な訳で、彼らがジョージア大フロントセブンをブロックできなければ如何に機動力があるレナードでもそう簡単にヤードを稼がせてはくれません。このノートルダム大OLvsジョージア大DLの対決は見ものです。


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ジョージア大ディフェスにとってレナードとラヴを止められるかが鍵<

そしてもう一つのポイントはジョージア大QBストックトン。元5つ星QBとはいえ、ここまでロクに試合に出てきていません。SEC優勝決定戦ではベックの負傷によって急遽フィールドに送り込まれ、逆転勝利に貢献しましたが、今回は初めから自分が先発出場することが明らかになっているという状態。この精神状態をどう制御できるかも気になるところです。

そして当然経験値が低いため、彼が活かされるも干されるもオフェンシブコーディネーターのボボ氏の手腕が相当試されることになると思います。ベックよりも機動力のあるストックトンの特徴を活かしてよりRPO(ランパスオプション)を多用するのか、もしくはスキームでノートルダム大ディフェンスの穴をこじ開けるのか・・・。ファーストラウンドバイだったため、ボボ氏以下オフェンススタッフには対策を練る時間が2週間以上あります。この間にどうオフェンスをストックトン仕様に仕上げてくるかに非常に興味が湧きますね。

お互いが強力なディフェンスの持ち主であることは明らかであり、この試合はそのディフェンス同士のロースコアなゲームになる可能性が高いような気がしますが、すでにランを起点に攻撃してくることがわかりきっているノートルダム大に対し、ストックトンという未知数を含んだ選手を中心にOCボボ氏が繰り出してくるジョージア大オフェンスの展開如何ではジョージア大快勝もある・・・それが現状の予想のようです。

ノートルダム大はいわゆる「ニューイヤーズ6」ボウルと呼ばれるメジャーボウルの大舞台に弱いという統計もあります。1998年に導入されたBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)から数えて8度のメジャーボウル出場経験がありますが、勝敗は何と0勝8敗。何としてもこのシュガーボウルに勝ってその悪しき流れを絶ちたいところです。またもしノートルダム大が勝って13勝目を挙げると創部史上最多勝利数を記録することになりますので、そういった意味でもこの試合は是非とも手中に入れたいところです。

一方もしジョージア大が勝つと対ノートルダム大戦において負け無しの4連勝目となります。さらにシュガーボウルでの勝利は2019年以来のシュガーボウルでの勝利となり、CFP戦績で7勝目となります(最多はアラバマ大の14勝)。

勝ったほうがフィエスタボウルでの勝者(ボイジー州立大ペンシルバニア州立大)と対決。果たしてその舞台となるオレンジボウルに駒を進めるのはジョージア大か、もしくはノートルダム大か・・・。

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