カレッジフットボール界の名門・ノートルダム大と3つある士官学校の一つである陸軍士官学校(アーミー/Army)が来る2024年度ジースンにMLBニューヨークヤンキースの本拠地であるヤンキースタジアムで激突することがわかりました。
この試合はノートルダム大フットボール部のプロモーションゲームでもある「シャムロック・シリーズ」の一環として行われます。「シャムロック・シリーズ」とは、全米に散らばっているノートルダム大の卒業生やファンたちとつながるために試合をニュートラルサイト(中立地)で行われる試合のことです。
これまでの開催地は、ワシントンコマンダーズの本拠地であるフェデックスフィールド、シカゴベアーズの本拠地であるソルジャーフィールド、ダラスカウボーイズの本拠地であるAT&Tスタジアム、インディアナポリスコルツの本拠地であるルーカスオイルスタジアム、ラスベガスレイダースの本拠地であるアレジアントスタジアムと、数々のNFLのスタジアムを巡っており、今後はグリーンベイパッカーズの本拠地であるランボーフィールドでも開催予定。
またその他にはMLBボストンレッドソックスの本拠地であるフェンウェイパークや、アイルランドのダブリンで行われたこともあり、非常にユニークな催しとなっています。
そしてこのシャムロック・シリーズでは大抵その試合専用のユニフォームが使われることが多く、それをみるのも楽しみの一つですが、2009年以来11回開催されたこのシリーズのノートルダム大のレコードが11勝無敗(2013年の試合はアカデミックスキャンダルの余波を受けて無効試合に)と滅法強く、ファンとしてもチームとしても非常に相性の良いゲームなのです。
今回発表されたヤンキースタジアムでの陸軍士官学校との対戦ですが、この組み合わせは2010年に一度行われており、この時はノートルダム大が27対3で勝利。また2016年には同じく陸軍士官学校とテキサス州サンアントニオ市にあるアラモドームでも対戦し、44対6と快勝。今回でシャムロック・シリーズとしては過去最多となる3度目の同一チームとのカードとなります。
ちなみに、ノートルダム大といえば「America’s Team」として知られ、その長い歴史から数々のトラディションを持っていますが、その一つに「Four Horsemen」というものがあります。
eBay: 3184l The Four Horsemen of Notre Dame CTC 1920s OG NH https://t.co/fBJWRmHUnw pic.twitter.com/9ThIwyrLAx
— US Stamp Sales (@USStampSales) June 1, 2018
これは1924年、かの偉大なるカヌート・ロックニー(Knute Rockne)監督時代の4選手のことで、上の写真左からドン・ミラー(Don Miller)氏、エルマー・レイデン(Elmer Layden)氏、ジム・クラウリー(Jim Crowley)氏、ハリー・ストゥールドレイヤー(Harry Stuhldreher)氏を指す言葉です。
この年ノートルダム大はこの4選手の活躍もあり10勝0敗と無敗シーズンを送り、自身初となるナショナルタイトルを獲得しました。この時期の4人の馬車馬の如き働きを見た新聞記者がこのフォーサムを「Four Horsemen」と呼称するとそれが世間的にも定着。以来上にあるアイコニックな写真と共に「Four Horsemen」はノートルダム大フットボール史で語り継がれるトラディションとなったのです。
この「Four Horsemen」の活躍によりチーム史上初の全米制覇を成し遂げてから今年で100年目。今回の陸軍士官学校とのシャムロック・シリーズはこの記念すべき100周年目に行われることでもノートルダム大としては非常に大きな意味を持っています。ちなみに1924年シーズン、ノートルダム大はこの陸軍士官学校とも対戦しており、これを13対7で下しています。
ところでノートルダム大はすでに別の士官学校である海軍士官学校(ネイビー)とのマッチアップが組まれています。実は彼らが2つの士官学校と同じシーズンに対戦することは稀なのですが、このタイミングで陸軍士官学校との試合がシャムロック・シリーズとして追加されたのには別の理由もあります。
というのは元々彼らは2024年度シーズンにマイアミ大(FL)との試合が組まれていたのですが、マイアミ大のスケジュール上の関係でこの対戦が2026年度に延期。そこでノートルダム大はマイアミ大の代わりとなるホームでの対戦相手を探していたのですが、彼らのホームゲームはマイアミ大戦がなくなってしまったことで目玉カードが減少。残された主なホームゲームはフロリダ州立大、ルイビル大、スタンフォード大と見栄えが減ってしまったのです(他にはマイアミ大(OH)とノーザンイリノイ大、バージニア大)。
急に追加で対戦相手を組まなければならなくなり、しかもホーム&ホームではなく今年限りの対戦相手を見つけるのは簡単なことではありません。そこで白羽の矢が立ったのが陸軍士官学校だったわけです。そして上にも挙げた通り今年は「Four Horsemen」のチームがナショナルタイトルを獲得してから100年目。その年に対戦したのが陸軍士官学校だったことも絶好のタイミングだったといえそうです。
試合会場はノートルダムスタジアムではありませんが、シャムロック・シリーズはノートルダム大のホームゲーム扱いとなり、今回の陸軍士官学校戦もヤンキースタジアムでの開催ながらノートルダム大のホームゲームとなります。
来季からカレッジフットボールプレーオフ(CFP)が12チーム制度に拡張し、ノートルダム大がプレーオフに出場する確率は格段に増えました。マイアミ大と陸軍士官学校を比べれば相手のレベルは落ちると言わざるを得ませんが、参加枠が広がったことで対戦相手のレベルが選考基準になる割合は減ったと言われるので、陸軍士官学校との対戦はノートルダム大のCFP出場を妨げる要因にはおそらくならないでしょう。
ヤンキースタジアムは筆者の住んでいるところからそんなに遠くないので観戦しに行ってみようかな・・・。