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ネブラスカ大、スプリングゲーム開催をキャンセルか

ネブラスカ大、スプリングゲーム開催をキャンセルか

カレッジフットボール界の古豪・ネブラスカ大は今春予定されていたスプリングフットボールゲームの開催を取りやめる方向で動いているようです。

カレッジフットボール界ではシーズンが明確に決められており、それは8月からタイトルゲームが行われる1月中旬とされています。プレシーズン中やシーズン中に行われる練習の数も厳格にNCAA(全米大学体育協会)によって決められています。

それはシーズン後のオフシーズンでも同じなのですが、春学期中34日の間に最大15回の練習を行うことができます。1週間につき20時間までと決められていますので、約5週間の間に15回の練習日をうまく振り分けることになります。これを一般的に「スプリング(春季)フットボール」と呼んだりします。

そしてその春季フットボールの集大成として最終日には大々的に紅白戦(スクリメージ戦)が行われます。これは本番さながらにスタジアムを開放してファンを募った中で行われるのが風習となっており、フットボールに飢えたファンたちが大勢押しかける大学もよく見られますし、最近ではこの紅白戦がテレビ放映されるようにもなりました。

そんな春の風物詩ともされるスプリングゲームですが、この度ネブラスカ大がこの紅白戦の開催を見合わせる方向で動いていることが分かりました。

その理由は自身の選手たちを他の大学のコーチの目に晒し、「タンパリング(Tampering)」の対象となることを防ぐためです。

元来大学に所属している選手に他の大学のコーチが転校を打診するなどコンタクトを取ることは禁じられています。これまでは転校したい場合は一度チームを退部してから転校先を探すことが定石でした。しかしこれだと退部した後に新天地が見つからない場合はその選手は路頭に迷うことになってしまうという事態に陥る可能性もあったのです。

そんな折、2018年にNCAAは「トランスファーポータル」制度を設立します。転校したい選手がこのトランスファーポータルに登録すると、正式に他大学のコーチとコンタクトを取ることが許されることになったのです。このポータル設立が現在横行している選手たちの転校を誘発させました。

しかしそれでもポータル入り前に選手にコンタクトを取るのは許されていませんが、実はポータル入り前から選手に水面下で接触して勧誘する青田買い的な行為が行われていると言われています。これがタンパリングです。捕獲するとか鹵獲するとかいう意味のある「ポーチング(Poaching)」という言葉も使われたりします。

実際トランスファーポータル入りしてから数日で新天地が決まるなんてケースは結構あります。普通なら新天地を探してコーチとコンタクトを取り、行き先を吟味するようなことを経るとそれなりの時間がかかると思われます。しかしそうではなく、あっという間に転校先を公表する選手がかなりの数いることを考えると、ポータル入り前からタンパリングが行われていて、ある程度話がまとまった段階でポータル入りしていると考えるのは自然です。

ネブラスカ大では2024年度シーズン終了後に31人もの選手がポータル入りして他大学へ転校してしまいました。そのうち12人はネブラスカ大と同じ「パワー4」相当の大学へトランスファーしたということで、言ってみれば敵に戦力を奪われるという事態に陥っているわけです。これはネブラスカ大に限ったことではありません。

そこでネブラスカ大は選手のお披露目とも考えられるスプリングゲームを開催することを辞めることで、選手たちを外界から守るという荒技に打って出ようとしているわけです。

ネブラスカ大のマット・ルール(Matt Rhule)監督は「もはやタンパリングなどという言葉は存在しない。カレッジフットボール界は自由に選手を奪うことができるマーケットに様変わりしてしまった。だからそういった市場に我々の選手をわざわざ披露するようなことはしたくない。さもなければ他の大学コーチが我々の能力のある選手を見つけて勧誘してくるに違いない。」と話しています。

特にそれは今年1月から入部してきた新入生に当てはまります。彼らはまだ大学デビューしていないわけですから、スプリングゲームで活躍でもしようものなら、タンパリングの対象になりかねない訳です。昨年ネブラスカ大のスプリングゲームはBig TenカンファレンスのTVネットワークである「Big Tenネットワーク」で放映され、また実際にスタジアムに足を運んだ観客は6万人以上。スプリングゲームの内容など筒抜けな訳です。

実際のところ、昨年のスプリングゲームが終了した時点でネブラスカ大から6人のトランスファー選手が流出したとか。その因果関係は定かではありませんが、復活を目指すネブラスカ大にとって戦力は是が非でも温存したいところ。もちろん怪我人選手を減らすというのも要因の一つだとは思いますが、スプリングゲームをキャンセルする大きな理由は選手を外界の目に触れさせないということのようです。

今後同じようなチームが増える可能性はあります。すでにセントラルフロリダ大も春季ゲームを開催しないと表明しています。ちなみにセントラルフロリダ大は今年からスコット・フロスト(Scott Frost)監督の第2次政権が始まりますが、フロスト監督は元々ネブラスカ大の選手であり、2022年までネブラスカ大を監督として率いていた人物です。

スプリングゲームはカレッジフットボール界の春の風物詩として楽しまれてきたイベントでした。近年ではこのイベントが商業化されてしまっていましたが、ここにきてイベント自体がなくなる可能性も出てきており、なんとも寂しいものです。

参考記事スプリングフットボール: 失われた伝統

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