カリフォルニア州はワシントン州立大にとって重要なリクルーティングの土壌です。それ故チームは過去2年間カリフォルニア州内でサテライトキャンプを行ってきました。そしてこの夏も同様のキャンプをカリフォルニア州にて行う予定でした。
2015年のロースターメンバー中45選手がカリフォルニア州のプレップスクールか短大でフットボールをしていた選手であり、またこの夏に入部してくる新入生25選手のうち15選手がカリフォルニア州出身という事実からも分かるように、ワシントン州立大のチーム構成はカリフォルニア州出身者と切っても切れない関係性を持っています。
新入生のOLクリスチャン・ハンガナ(Christian Haangana)とリアム・ライアン(Liam Ryan)はカリフォルニア州出身選手でありますが、ワシントン州立大コーチ達が最初に彼らを発見したのは前述のカリフォルニア州でのサテライトキャンプでのことでした。
昨年だけで言うとワシントン州立大はカリフォルニア州で5つのサテライトキャンプを張りましたが、合計で600から700人もの高校生達がこのキャンプに参加したと言うことです。
この様にワシントン州立大にとってカリフォルニア州内でサテライトキャンプを行うことはリクルーティングにおいて最重要課題ともされていたのですが、先のNCAAが下したサテライトキャンプ禁止令により今年のキャンプはキャンセルせざるを得なくなったのです。
ワシントン州立大のように他州でサテライトキャンプを行って来たチームは相当数あったわけで、この被害を被ったのはワシントン州立大だけではないのですが、もともとこのような事態に発展したのはミシガン大がSECのリクルーティングテリトリーであるフロリダ州で大規模なスプリングトレーニングを行ったことに端を発する訳で、ワシントン州立大としては遥か遠くの土地で行われたこの「バトル」の余波のとばっちりを食らったと言っても過言ではない訳です。
ワシントン州立大が所属するPac-12カンファレンス内ではサテライトキャンプは容認されてきましたので、アリゾナ大、アリゾナ州立大、オレゴン州立大、コロラド大などはみなこぞってタレントの宝庫・カリフォルニア州内でそれぞれのキャンプを行ってきました。しかし今回のNCAAの決定によりPac-12チームもこの新ルールに従いこのようなキャンプを張れなくなってしまいました。
ワシントン州立大ヘッドコーチ、マイク・リーチ(Mike Leach)氏は普段から物怖じしない物言いで知られていますが、今回のこの「事件」に関しても怒りをあらわにしています。
「どうやら今回の決定はたった一部のチームとカンファレンスの利己的でわがままな意見が通り、明日を夢見る高校生リクルート達の将来への夢を踏みにじったのだ。」
この一部のチームとカンファレンスと言うのはおそらくSECのことを指していると思われます。
「我々のような大学やスポーツチームは将来の学生アスリート達に夢や希望を与えることが最優先事項であり、それを制限することではもってのほか無い。今回の事はそれらの一部のグループ達が将来の学生アスリートのポテンシャルをないがしろにし、自分たちのリクルーティングの土壌を荒らされまいとする個人的な欲望だけで決定されてしまったことなのだ。」とリーチ監督が断言しています。
またリーチ監督は他のインタビューでこんなことも言っています。
「われわれPac-12のうち11チームがサテライトキャンプ肯定派であり、残りの1チームは中立を貫いていた。なのにカンファレンス全体の意見は「サテライトキャンプ反対」という結果となった。これは理解しがたい。どこで何があってカンファレンス全体の意見が過半数を占める意見の真逆になり得ると言うのだ?! 我々は現在この矛盾を解き明かそうと行動を起こそうとしている。」
「なぜ彼ら(NCAA)はここまでナイーブなのか?『(ミシガン大の)ジム・ハーボーは生意気で気に食わないから、やつを懲らしめてやろう。その為には高校生リクルート達のチャンスを摘もうが知ったことではない。全てはジム・ハーボーが悪いのだ』と。」
多くのヘッドコーチ達が今回の決定に反対の意見を述べていますが、カレッジスポーツの母体でもあるNCAAをここまで突っ込んで批判したのはリーチ監督と張本人であるハーボー監督ぐらいです。