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2021年ナショナルサイニングデー終わって・・・

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アーリー(早期)サイニングピリオド

NSDのことに触れる前に紹介して置かなければならないイベント(期間)があります。それがアーリーサイニングピリオド(Early Signing Period=ESP)です。

先にもお話したとおりこれまで高校生が署名にサインする日をNSDとしてそれは1年に一回だけ2月の第1水曜日に行われることが通例でした。しかしながら選手が進学先を公表して書類にサインするのに2月まで待たなければならないことには多くの議論が交わされてきました。。

例えばもうすでに100%進学先を決めている高校生がいたとして、この選手が初秋の時点で絶対に目当ての大学でプレーすると決心していても2月までは正式にサインすることはできず、それまでの間他のチームからの勧誘に耳を貸したり、噂話に心身を労さなければならないわけです。

高校生にとってはリクルーティングのプロセスは大きな負担になります。ですからもう行き先を決めてしまっている選手は早いところNLIに署名してこのプロセスに終止符を打ちたいと思うはずです。

またもしすでに自分の行きたい大学からオファーが来ていたとしても、時間が経てばNSDの前に大学側からオファーを取り消すという最悪の決断を下される場合も稀にあります。そういったケースを回避するためにも早めにサインしてしまおうという選手もいます。

(例えばジェレミー・プルイット監督体制下のテネシー大からスカラシップをオファーされていたロック・テイラー君は新体制(ジョシュ・ハイペル監督)となったテネシー大からNSDの1日前にそのオファーを取り消されてしまったということがおきました。結局直前にメンフィス大がテイラー君にスカラシップをオファーして何とか路頭に迷うことは避けられましたが、パワー5のテネシー大とグループオブ5のメンフィス大ではやはり格は異なり彼の将来設計は大きく狂わされたと言えます)

そこで登場したのがESPです。

ESPが導入されたのは2017年のことですから至極最近のシステムです。このESPによりリクルートたちは2月のNSDまで待たず12月の中旬に3日間高校生がNLIにサインをすることができるようになったのです。

ただ12月中旬と言えばちょうどレギュラーシーズンが終わりポストシーズンのボウルゲームが始まりだす頃。レギュラーシーズンが終わってもボウルゲームに出場することが決まっているチームとしてはコーチたちの仕事が増えてしまったわけです。

というのも、選手にとって見ればいち早くこのプロセスを終わらすことができるということで非常に重宝なシステムとなりましたが、コーチ陣にしてみればトップリクルートたちを自分たちの元へ引き寄せるための勧誘をボウルゲームの準備と同時進行で行わなければならなくなったからです。しかもカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進出するチームにとって見れば負担の規模は桁違いです。

そんな新たな試みとして行われたESPですが、初年度の2017年から予想以上のリクルートたちがこの期間中にNLIにサインをしてこのESPの重要さが明らかになりました。あまりにも多くの選手たちがこの時期に進学先を決めてしまったことでこれまでの2月のNSDの脚光の浴び方が下火になってしまうほど。なぜならNSDを迎えるまでに多くの目玉選手たちがESPで進学先を表明してしまったからです。

ここ最近のトレンドとしては全体の7割〜8割のリクルートたちが12月のESPで進学先を決定して書類にサインをしていると言われています。これまで注目を浴び続けてきたNSDとESPの位置関係は初年度の2017年から逆転してしまったわけです。

これは各大学チームにとって従来のリクルーティングの手法を調整しなければならないほどのインパクトを持っているといえます。

これまでは2月まで選手を選別する時間があったわけです。しかしESPで選手が進学先の決定を前倒しにできるようになったためにコーチたちはよりアグレッシブに選手たちにアプローチしていかなければならなくなったのです。

とはいってもコーチが選手に訪問できる回数、選手をキャンパスに呼び寄せることができる回数(オフィシャルビジット)、電話や電子メールを使うことができる時期などは従来と変わらないわけですから、誰にスカラシップをオファーするという決定は在校生からなるチーム構成を考慮して慎重かつ迅速になさなければ他のチームに選手を奪われてしまいます。

そして昨年度は御存知の通り新型コロナウイルスの世界的パンデミックによりカレッジフットボール界においてはリクルーティングにかなりの制限がかけられてしまいました。感染拡大を防ぐために外出自粛が掲げられ大学側からはリクルートのもとへ視察に行けず、またリクルートたちをキャンパスに招待することも出来ず、対人でのリクルーティング活動は皆無だったといっていいでしょう。

確かに選手たちのプレーは高校時代のフィルムを見ればある程度把握できると思いますし、リクルートの評価の5段階のうち最上位の5つ星選手ともなればその腕っぷしは折り紙付きですが、そうでない選手たちを吟味する際に実際に高校のコーチに話してみたり、本人と話してみたりしないと分からない部分もあります。当然才能のある選手は需要が高いですが、態度や素行が悪い選手を勧誘した場合後々痛い目を見るのはチームですから、そういった人物を見極めるためにも直接本人らに会うことは重要なのです。

しかしそれが叶わなかったため、2021年のリクルートクラスの中には一度も進学先のコーチに直接あったことがないままNSDを迎えた選手も居たはずです。選手側にしてみてもこれから4年間お世話になるコーチ達に実際会うことが出来ないまま進学先を決めなければならなかったのは大変なプロセスだったに違いありません。

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