先日マイアミ大は出場したピンストライプボウルでウィスコンシン大に惨敗したマイアミ大。その敗戦によって彼らの今季の戦績は7勝6敗となり、昨シーズン10勝3敗だったことを考えれば今年の出来は決して喜べるものではありませんでした。
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しかしそのピンストライプボウルが終わって間もない日曜日(12月30日)、なんとマーク・リクト(Mark Richt)監督が突如としてマイアミ大の監督を辞しそのまま監督業から引退することを表明したのです。
今回突如引退宣言をしたマーク・リクト監督
リクト監督は今年でマイアミ大3シーズン目を終えたばかり。彼は2001年から2015年までジョージア大を率いて名を挙げた監督。ここでは145勝51敗という戦績を残しSECチャンピオン2度、地区優勝6度を飾りましたが、最後にSECチャンピオンになってから10年たち、悲願のナショナルタイトルにも手が届かない事から2015年シーズン後にジョージア大から三下り半を突きつけられてしまいます。
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しかしジョージア大を解雇された直後に母校であるマイアミ大の監督に就任し、初年度にいきなり9勝を挙げると2017年には破竹の10連勝で全米ランキングでも最高で2位にまで上り詰める躍進を遂げました。そのため今季のマイアミ大への期待は今まで無いほど高くなっていましたが、前述の通りそれに応えることが出来ず撃沈してしまったのです。
ジョージア大時代から真摯な人物として知られているリクト監督を悪く言う声を聞いたことはありません。今年の戦績が不甲斐ないものだったからと言ってマイアミ大側がリクト監督のクビを切るとは当然思えませんから、彼の引退宣言は驚きを持って全米中に知らされました。実際本人が発表したコメントにも「これは私自身の決断です」と明言されており、マイアミ大から解雇されたわけではないと念を押しています。
それにしても一体何がリクト監督に引退を決意させたのでしょうか?現在58歳の彼は完全に引退するにはまだ若いような気がしますし、母校に凱旋してかつて無敵だったチームの復活を成し遂げることは簡単な仕事ではないにしろやりがいはあるはずです。愛着だって人一倍だと思うのですが、それでもたったの3年でマイアミ大を去るばかりかコーチ業から引退という決断を下したのです。
察するにリクト監督のような人物でもバーンアウト(燃え尽き症候群)にでもなってしまったのではないでしょうか。日々の重労、卒業生や支援者からのプレッシャー、終わりなきリクルーティングの苦労・・・。それらがリクト監督のモチベーションを削ぎ落としてしまったのかもしれません。もしくは公表されていない健康上の問題とか・・・。
いずれにしても彼が現役監督を退いた理由は知る由もありませんが、彼のもとで復活を確信していた現役選手やファンたちがこの決断に度肝を抜かれていたとしても何ら不思議ではありません。
ちなみに今年限りで監督業から引退した名将にはオハイオ州立大のアーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏、カンザス州立大のビル・シュナイダー(Bill Snyder)氏、ジョージア工科大のポール・ジョンソン(Paul Johnson)氏らの名前もあります。リクト監督を含めて4人もの大御所がカレッジフットボール界を去るというのは何とも寂しいことです。