サテライトキャンプと言ったらすでにミシガン大ヘッドコーチ、ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督の代名詞とも言えるほどになりました。またハーボー監督といえば歯に衣着せぬ発言で他の監督、特にSEC出身監督とバトルを繰り広げてきましたが、とうとう夢の(?)マッチアップが実現したのです。あのアラバマ大のニック・セイバン監督についに噛み付いたのです。
サテライトキャンプは必要か?
セイバン監督は常にサテライトキャンプには否定的でした。そして先日行われたSECの年次総会でもこのスタンスは変えませんでした。
「(サテライトキャンプが)どれだけ人々に有益なのか私にはいまいち理解出来ない。サテライトキャンプを支持する人たちは高校生にとって大きなチャンスを与えることになると言っているようだが、これはどう考えてもリクルーティングの手法の一種だ。私にとって驚きなのは、キャンプを行うことによって生まれる結果が結局はリクルーティングにあるということを誰も明言しないと言うことだ。」とセイバン監督は述べました。
これに噛み付いて来たのがハーボー監督です。
このセイバン監督の発言を聞いて間もなく、ハーボー監督はツイッターに、
「私にとって驚きなのは、NCAAのルールを何度も破って来たアラバマ大のヘッドコーチ(=セイバン監督)がサテライトキャンプを行うことがルール違反だと我々にレクチャーしていることだ。実に驚きだ。」
とツイートしたのです。
サテライトキャンプの真の目的とは?
サテライトキャンプに関して言えば先に一度禁止されたものが撤回されるという一悶着があったのは記憶に新しいところです。サテライトキャンプをアグレッシブに押し進めて来たハーボー監督にとっては自分への当てつけに禁止されたキャンプ開催が復活し、「ざまーみろ」と思っているところかもしれませんが、セイバン監督は未だに自分の信念を曲げずサテライトキャンプに否定的な見解を述べています。
「サテライトキャンプなるものを行えば、そこに多くのリクルート達が訪れ、結果キャンプ主催者は彼らのプレーを間近で観れることになるだろう。しかし、キャンプの真意は本来そこではないはずだ。あくまで参加者がスキルを磨く場所であるはずなのです。だとしたら、なぜ我々は他人のキャンプを売り込む必要があると言うのだ?」
「私は以前も言ったが、フットボールにおいて高校レベルの世界は非常に重要なのです。NCAAは常日頃リクルーティングでは外部者が関わってはいけないと、こちらの耳が痛くなるまで言ってくる。しかしサテライトキャンプとはまさにその外部者が関わって行うリクルーティング以外の何物でもないのです。」
「我々のキャンプではリクルーティング上の違反をおこさないようにコンプライアンスの組織が帯同している。しかし、サテライトキャンプのような寄せ集め集団が行うキャンプにおいて、リクルーティング違反を監視するようなシステムは存在するのだろうか?一体誰がそれをおこなうというのだ?」
さらにセイバン監督はサテライトキャンプはカレッジフットボールにおいて悪しき物だ、とまで言い切っています。
「我々に必要なのはカレッジフットボール界全体において何が有益なのかを判断出来る人物・組織であって、例えばBig Tenに有益だとか、SECに有益だとか、ジム・ハーボー氏にとって有益だとかいうことが重要なのでは決して無い。カレッジフットボールにおいて重要なのは試合、コーチ、選手の規律である。」
またセイバン監督はパワー5と呼ばれる主要カンファレンスたちが自分たちのカンファレンスにとって有益なことばかりを追い続けた結果、このオフシーズンに起こったサテライトキャンプ論争を引き起こしたとも言っています。誰かがこのようなことにならないよう絶対的な力で監視する必要があると。
ちょっと前にカレッジフットボール界にもコミッショナーを置くべきだ、という意見がちらほら聞かれましたが、それを踏まえてある記者はセイバン監督に、そのように全体を監視すべきなのは誰だと思うかと質問しましたところ、
「そのような候補者?それは分からないね。私は政治家では無いからね。ただ私は思ったことを話しているだけですから。」
とかわしていました。
ちなみに名指しされてしまったハーボー監督にツイッターで噛み付かれたセイバン監督でしたが、後日それに関して意見を求められた際、はっきりと「私は彼に関わるつもりは無い」と言っていました。ハーボー監督に噛み付かれた他のコーチ達はそれに対し反撃してさらに墓穴を掘っていましたが、さすがのセイバン監督はその「罠」にははまらなかったようです。