このサイトで何度か「カップケーキ」という言葉が出てきています。カレッジフットボールで「カップケーキ」といえば、強豪チームが白星を獲得することを前提に対戦する「カモ」チームのこと、もしくはそういったマッチアップのことを指します。

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「パワー5」カンファレンス群に所属するチームはレギュラーシーズンの全行程12試合のうち8試合から9試合がカンファレンス戦で、その他の数試合はノンカンファレンス戦(交流戦)ということになります。この交流戦で異なるカンファレンスの強豪チームとやり合う場合もありますが(例えば毎年行われるサザンカリフォルニア大とノートルダム大やフロリダ大とフロリダ州立大、もしくは今年だけなら先に行われたルイジアナ州立大とテキサス大の試合など)、それ以外に誰が見ても力関係がおかしいマッチアップもあったりします。それが「カップケーキ」ゲームというわけです。
今年ならアラバマ大がウエスタンカロライナ大、クレムソン大がワフォード大、オクラホマ大がサウスダコタ大という風にマッチアップが組まれていますが、勝負的には試合前から結果が見えている組み合わせばかりです。そんな試合を見ても楽しいのか?と思わずに入られませんが、例えば開幕戦を確実な白星でスタートさせたいときとか、大一番の前の週に選手を休ませるためにこのような弱小チーム(失礼!)と対戦するようにスケジュールされたりしているのが昨今の風潮です。ただ稀にそういったカップケーキチームに足元を救われる場合もありますが(今年のテネシー大がジョージア州立大にやられたように)。
こんな感じで確実に1勝を手に入れられる「カップケーキ」ゲームですが、実はそれなりの対価を支払っているという事実もあります。
例えばジョージア大はノースカロライナ大シャーロット校と2025年に対戦することが発表されましたが、このマッチアップを実現するためにジョージア大はシャーロットになんと190万ドル(1ドル100円計算で約1億9000万円)を支払う契約になっているというのです。
また前述のアラバマ大も2022年と2025年にルイジアナ大モンロー校との対戦が決まりましたが、2022年には191万ドル(約1億9100万円)、2025年には192万(約1億9200万円)ドルをそれぞれ相手に支払う事になっています。
その他にもアーバン大は2020年に対戦予定のマサチューセッツ大に190万ドル、テキサスA&M大は2021年に対戦予定のケント州立大に同じく190万ドル、ミシガン大は2020年に対戦予定のアーカンソー州立大に180万ドル(約1億8000万円)を支払う予定ですし、ウエスタンミシガン大は2022年と2025年にミシガン州立大、2026年にウィスコンシン大と対戦する予定になっていますが、彼らはそれらのチームから各150万ドル(約1億5000万円)を受け取ることになっています。この3試合だけでウエスタンミシガン大は450万ドル(約4億5000万円)もの大金を試合をするだけで手に入れることができるという寸法なのです。
つまり、上位チームが大金を払って確実な1勝を金で買い、また下位チームはそういったチームの「カモ」となる代わりに大金を手に入れるという奇妙な構図が出来上がっているわけです。通常「カップケーキ」チームは移動費やらホテル代など全てホストチームが賄ってくれるのでいたれりつくせり。しかもそういったチームの選手達は名門チームのスタジアムで試合をすることが出来るという付加価値も付いてきます。
ただ先にも書いたように稀にそんな試合でもアップセットは起きてしまいます。そんな時はホストチームは大金はたいて恥をかくということになり、一方勝った「カップケーキ」チームは大金を受取りなおかつ大金星を上げ知名度が高まるということになります。
いずれにせよこの「カップケーキ」ゲームの存在には賛否両論で、Pac-12カンファレンスやBig Tenカンファレンスでは少なくともFCS(フットボールボウルサブディビジョン)チームとの対戦は控えようという動きになっています。上位チームと下位チームの蜜月関係は理解は出来ますが、ファンとしてはそんな試合はあまり見たいとは思いませんけれどね。
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