#1 インディアナ大 38、#9 アラバマ大 3
元旦第2弾目のカレッジフットボールプレーオフ準々決勝戦は、カレッジフットボールの聖地・ローズボウルにて行われた、第1シードのインディアナ大と第9シードのアラバマ大の激突でしたが、新進気鋭のインディアナ大が名門アラバマ大学を38対3という衝撃的なスコアで粉砕し、全米を震撼させる歴史的な勝利を挙げました。
この一戦は、インディアナ大にとって史上初のローズボウル制覇であると同時に、初のCFP準決勝進出を決める金字塔に。かつては「バスケットボールの大学」として知られたインディアナ大が、ハイズマントロフィーを受賞したQBフェルナンド・メドーサ(Fernando Mendoza)の正確なパスと圧倒的なライン戦での支配力を武器に、アラバマ大に1998年以来となる最多マージンでの敗北を突きつけたのです。カート・シグネッティ(Curt Cignetti)監督のもと、バイウィーク明けのチームは勝てないというジンクスを打ち破り、全米王座へとまた一歩近づいたインディアナ大の快勝の全貌を詳しく解説します。
試合経過
試合序盤は、両チームのディフェンスが光る展開となりました。アラバマ大の守備陣は、インディアナの最初のドライブでQBフェルナンド・メドーサから2つのサックを奪うなど、序盤は健闘を見せます。しかし、インディアナ大はフィールドポジションの争いで優位に立ち、ポゼッション時間でも10分52秒対4分8秒と、アラバマを大きく上回って試合の主導権を握り始めました。そしてローズボウルとしては2000年以来、26年ぶりとなるスコアレスで第1Q終了となります。
ただ、第2Qに入ると、インディアナ大が効率的かつ緻密な攻撃でアラバマ大を圧倒し始めます。
16プレー、84ヤード、約9分に及ぶインディアナ大のドライブの後、第2Q開始直後にKニコラス・ラディック(Nico Radicic)が31ヤードのFBを成功させ、インディアナ大が3対0と先制しました。このドライブでアラバマ大のディフェンスは得点を許すばかりではなく、インディアナ大オフェンスによって大いに疲れさせられることになります。
さらにアラバマ大は自陣34ヤード付近での4thダウン&1ヤードという場面を迎えますが、まずはハードカウントで相手のオフサイドを狙うもインディアナ大はこれには動じず、そして実際に4thダウンプレーでギャンブルするもインディアナ大の守備陣がこれを阻止。ギャンブルに失敗したアラバマ大は自陣内で相手に攻撃権を譲渡することになります。
Alabama stuffed on 4th down pic.twitter.com/ipfF3ZjZZk
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この直後のシリーズで、メドーサはチャーリー・ベッカー(Charlie Becker)へ21ヤードのTDパスを通し、リードを10対0に広げます。アラバマ大の失策がモロに仇となって返ってしまいました。
Charlie Becker pulls down the 21-yarder for an Indiana TD!
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さらにアラバマ大に逆風が吹き荒れます。第2Q終盤、なんとか得点をあげたいアラバマ大は、アラバマのQBタイ・シンプソン(Ty Simpson)がスクランブル中に後方から激しいタックルを喰らって思わずボールをファンブル。インディアナがこのボールを奪取します。
TY SIMPSON TAKES A MASSIVE SHOT FROM PONDS
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FUMBLE
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結果的にいうと、この時のタックルによりシンプソンは負傷し、後半に退場を余儀なくされます。一方インディアナ大はこのチャンスを逃さず、前半残り17秒でメドーサからオマー・クーパーJr(Omar Cooper Jr.)への1ヤードTDパスを決め、17対0で前半を折り返しました。
Mendoza connects with Cooper for the 17-0 Indiana lead.
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アラバマ大は前戦のオクラホマ大戦でも前半17対0と不発で終わりましたが、この時は後半に大逆転を収めました。このインディアナ大戦でのハーフタイム時のスコアも同じですが、ここまでインディアナ大に対して成す術なしといった展開を見ると、彼らが後半逆転してくる展開を想像すらできませんでした・・・。
そして案の定、後半もインディアナ大の勢いは止まりませんでした。
メドーサはさらにパス精度を上げ、イライジャ・サラット(Elijah Sarratt)への24ヤードTDパスを成功させ、点差を24対0としました。第3Q、アラバマ大は引き続きQBシンプソンを起用し続けますが、前半に負った怪我(のちに肋骨の骨折と判明)により退場し、バックアップのオースティン・マック(Austin Mack)が投入されます。
マックはケイレン・デボアー(Karen DaBoer)監督がワシントン大からアラバマ大へ移籍した際に一緒についてきたQB。実戦経験がそこまでない中、彼はチームをレッドゾーンまで導き、Kコナー・タルティ(Conor Talty)が28ヤードのFGを決めてアラバマにとってこの試合唯一の得点を記録。なんとか完封は免れます。
そして試合は第4Qに突入。この時点でスコアは24対3とインディアナ大が3ポゼ差のリードを保持。相変わらずアラバマ大ディフェンスはインディアナ大オフェンスを止める手立てを見い出せず、そんな中インディアナ大はアラバマ大の守備を文字通り「粉砕」するラン攻撃を見せました。
まずは試合残り時間14分22秒でケイロン・ブラック(Kaelon Black)が25ヤードのTDランを決めて31対3となると、続いて残り時間10分39秒にはローマン・ヘンビー(Roman Hemby)が18ヤードのダメ押しとなるTDランを叩き込みました。これによりスコアは38対3となり、勝負は完全に決したのでした。
勝敗の要因
インディアナ大がアラバマ大を圧倒できた最大の理由は、スクリメージラインでの「トレンチ戦」を完全な支配下に置いたことでした。
インディアナ大のOL陣は、このユニット全部で試合のMVPに選んでもいいのではないかというほどのパフォーマンスを見せました。彼らはアラバマ大の強力なディフェンシブフロントを押し込み、ブラック(99ヤード)とヘンビー(89ヤード)のランが面白いほど繰り広げられ、ランだけでトータル215ヤードを稼ぐフィジカルなオフェンスを展開しました。
またQBメドーサは、さすがハイズマントロフィー受賞QBというところを大いに見せつけ、大きなミスもなくパス16回中14回成功という驚異的な精度(87.5%)で192ヤード、3TDを記録。特に3rdダウンでの高いコンバージョン成功(チーム全体で14回中9回成功)がインディアナ大のオフェンスを前へ前へと進める原動力となったのでした。
さらにディフェンス陣はアラバマ大のラン攻撃をわずか23ヤードに抑え込み、トータルヤードでも200ヤード未満(193ヤード)に抑え込むなど圧倒。確かにアラバマ大は元々ランが出ないチームでしたし、QBシンプソンも負傷退場してしまいましたが、正直どの側面を見てもインディアナ大がアラバマ大を1枚どころではなく2枚上回る力を誇示していました。
一方、伝統的にフィジカルな強さを誇ってきたアラバマ大が、逆に力でねじ伏せられたことは最大の衝撃でした。
局面でいうと、例えば第2Qの自陣での4thダウンギャンブル失敗や、シンプソンのファンブルおよびそれによりシンプソンが負傷退場した、という事実もありますが、そういったことを加味してもアラバマ大はインディアナ大に攻守で圧倒されていたのは目に見えて明らかでした。
特にアラバマ大はシーズンを通してランオフェンスのの構築に苦しんでいましたが、この試合でもランはわずか17回、合計23ヤードに終わりました。攻撃のバランスを欠いたことで、インディアナの守備陣に的を絞らせる結果となりましたが、それもこれもOL陣がインディアナ大フロントセブン相手に力負けしていたからにほかありません。
ディフェンスもメンドーサに3つのQBサックを食らわせはしましたが、後半へばり相手OL陣に対してペネトレート出来ず。第4Qに二人のRBにTDを奪われたプレーではほぼ彼らにノータッチでエンドゾーンまでボールを運ばれるという体たらくぶり。フィジカルの強さの差は明らかでした。アラバマ大がインディアナ大にフィジカルで負ける・・・。この言葉自体が彼らの衰退の始まりを暗示しているのかもしれません。
もっとも、今回でインディアナ大が決してシンデレラチームなどではなく正真正銘の優勝候補筆頭チームであることが世に知れ渡ったと思いますが、そうだとしてもかつてニック・セイバン(Nick Saban)前監督の下で栄華を誇ったあの強かったアラバマ大の片鱗はどこにも見当たりませんでした。
今後の展望
ローズボウルでの勝利により、インディアナ大(14勝0敗)は1月9日にアトランタで開催されるピーチボウル(CFP準決勝)にて、第5シードのオレゴン大と対戦することになります。両校は10月のレギュラーシーズンでも対戦しており、その際はインディアナが30対20で勝利しています。オレゴン大は当然リベンジに燃えてくることでしょうから、そんな彼らをシグネッティ監督指揮下のチームがどういなすかに注目が集まります。
一方のアラバマ大学は、2020年以来5シーズン連続で全米王座から遠ざかることとなり、かつてのような、皆が恐れ慄くような超強豪チームというオーラは完全に消え去りました。デボアー監督体制で2年目でプレーオフには進出を果たしましたが、セイバン前監督体制下で植え付けられた「絶対王者」のイメージを持つファンたちにとって過去2年の彼らの出来は満足できるものではありません。オフシーズンには攻守の再建とプログラムのカルチャーの立て直しが急務となります。




