先日ガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督を解雇し新監督を探していたアーバン大ですが、この度ボイジー州立大のブライアン・ハーシン(Bryan Harsin)監督に白羽の矢を立てました。
ボイジー州立大での7年間の戦績は69勝19敗で所属するマウンテンウエストカンファレンスのタイトルを3度も獲得しています。
ボイジー州立大といえばCFPの前身であるBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)時代に中堅(非BCSカンファレンス、現在で言うグループオブ5)カンファレンス勢として活躍し、BCSカンファレンス(現在で言うパワー5)チームの驚異となり「BCSバスター」として名を馳せました。
特に2005年度のフィエスタボウルでオクラホマ大をオーバータイムの末に倒したゲームは有名。トリックプレー「スタチュー・オブ・リバティー」で大御所を下したシーンはカレッジフットボールの歴史に残る好プレーとしてファンの記憶に刻まれています。
その時チームを指揮していたクリス・ピーターセン(Chirs Petersen)監督が2013年度シーズン後にワシントン大へ移籍した後にボイジー州立大にやってきたのがハーシン監督。ハーシン監督体制ではピーターセン監督ほどの成功を全米の表舞台で残すことはできませんでしたが、7シーズン中5シーズンで二桁勝利を挙げるなどボイジー州立大が「グループオブ5」勢でも依然として強豪チームで有り続ける原動力となりました。
ただアーバン大の新監督候補にはオレゴン大のマリオ・クリストーバル(Mario Cristobal)監督、元ミシシッピ大監督で現リバティー大監督のヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督、ルイジアナ大のビリー・ネピアー(Billy Napier)監督、クレムソン大DCのブレント・ヴェナブルズ(Brent Venables)氏などの名前が挙がっていましたがいずれも契約までには至らず、アーバン大にとってハーシン監督が本命候補からどのくらい妥協した末の候補だったのかが気になるところ。
またハーシン監督はアーカンソー州立大で1年間監督を務めた以外サウスイースタンカンファレンス(SEC)のテリトリーでコーチングをしたことがありません。強豪ひしめくSEC西地区でアラバマ大やテキサスA&M大とどのように戦っていくのかでハーシン監督の評価が決まってくるでしょう。それは決して簡単なことではありません。
マルザーン前監督はライバル・アラバマ大との戦績が3勝5敗。これは一見惨敗な数字に見えますが、ニック・セイバン(Nick Saban)監督率いるアラバマ大に3勝を収めた監督は全米中どこを探してもマルザーン監督以外存在しません。そのマルザーン監督を解雇したのですからアーバン大はハーシン監督にそれ以上の数字を求めていることになります。
宿命のライバルであるアラバマ大が過去10年間のうちに5度もナショナルタイトルを獲得したことからアーバン大でもそれに追いつき追い越せと監督には想像を絶する高いハードルが設定されてしまいました。ハーシン監督がそのハードルをコンスタントにまたぐことができるのかどうか・・・お手並み拝見といきます。
ちなみにボイジー州立大が所属するマウンテンウエストカンファレンスは今シーズンパンデミックの影響で一時開幕を見送っており、その決断に激怒したハーシン監督は大学上層部にマウンテンウエストカンファレンスを脱退するなら今だと申し出たそうですが、その彼がボイジー州立大を出ていくことになるというのはなんとも皮肉なことです。