ファーストレスポンダーボウル
ボストンカレッジ対ボイジー州立大:悪天候のため中止
テキサス州ダラスのコットンボウルスタジアムで行われる予定だったファーストレスポンダーボウル。試合は予定通りに始まり、ボストンカレッジが先制してボイジー州立大から1TDを奪っていい立ち上がりを見せましたが、ここで雷警報が会場地域に発せられて試合は一時中断。そして1時間半たっても雷が過ぎ去らないばかりか、さらに大きな雷が接近しているということで、苦渋の決断の末なんと試合が中止になってしまいました。
試合自体がなかったこととなってしまったため、ボストンカレッジRBであるA.J.ディロン(A.J. Dillon)が獲得したこの日唯一のTDも記録から抹消。またボイジー州立大としては昨年に続き2年連続の11勝目を目指してこの試合に望みましたが、それを達成するチャンスすら与えられませんでした。
そしてもっと痛手を負ったのがボウルゲームを開催したファーストレスポンダーボウルの開催委員会とスポンサーとなったSERVPRO(火事や水害時の清掃サービス会社)でしょう。ボストンカレッジとボイジー州立大をホストし、チームへのギフトや宿泊費、飲食費、交通費、その他もろもろを出費したにも関わらずこんな結果になったのですから。
さらに最もとばっちりを食らったのは実際に足を運んだファンたちです。彼らはもちろん自腹でダラスまで乗り込んだわけですから、一体何のためにクリスマス休暇を挟んで遠出してきたんだ!ということになるでしょう。しかも開催者側はこのチケットの払い戻しはしないと明言しているため(そうでもしないと大赤字でしょうから)、いかにその理由が天災だったとしてもファンの怒りは収まらないことでしょう。
幸いにもボストンカレッジとボイジー州立大は学校を通して購入されたチケットは学校側が払い戻しに応じるという気前の良さを見せています。それにしてもファーストレスポンダー(災害時や緊急時に一番先に駆けつける人のこと)という名を冠したボウルゲームが天災でキャンセルになるとは話ができすぎています(笑)。少なくとも私はボウルゲームがキャンセルになってしまったという話をこれまで聞いたことがありませんから、レアな出来事であることには変わりありませんが。
クイックレーンボウル
ミネソタ大34、ジョージア工科大10
ジョージア工科大のポール・ジョンソン(Paul Johnson)監督はこのクイックレーンボウルのミネソタ大戦を最後に引退を表明していましたから、この試合はジョージア工科大にとってはジョンソン監督に勝利を献上して引退の花道を飾りたいところでした。が、ミネソタ大一行はその話には乗ってきませんでした。というのも彼らはジョージア工科大を34対10で圧倒して勝利し、ジョンソン監督の最終戦をほろ苦いものに変えてしまったからです。
ジョンソン監督率いるジョージア工科大の持ち味は今では数えるほどのチームしか使用していないトリプルオプションオフェンスですが、ミネソタ大ディフェンスはこのオプションアタックを完全攻略。今季全米1位となるランオフェンス(1試合平均334.9ヤード)を持つジョージア工科大をこの日たったの206ヤードに抑え、与えたファーストダウンも14つ。特に3rdダウンコンバージョン成功率は14回中たったの4回ということでジョージア工科大は何もさせてもらえませんでした。
一方のミネソタ大はRBモハメド・イブラヒム(Mohamed Ibrahim)が224ヤードを一人で稼ぐなどジョージア工科大のお株を奪う大活躍。チームが最終的に勝ち越しレコードを記録するのに大きく貢献しました。
個人的にトリプルオプション好きとしてジョージア工科大に肩入れして試合を観ていましたが、この試合ではトリプルオプションの良さを全く味わうことが出来ずにジョンソン監督の見納めとなり大変残念でした。オプションフットボールが廃れた大きな理由にディフェンス選手の身体能力、特にスピードが飛躍的に伸びたため、2列目をブロックするのが困難になりオプションが機能しなくなったことが挙げられます。それをまさに体現したのが今回のクイックレーンボウルでした。
しかし今年はジョンソン監督の後継者とも言えるジェフ・モンケン(Jeff Monken)監督率いる陸軍士官学校がオプションフットボールで10勝を挙げましたから、トリプルオプションはまだ死んでいない!と思いたいところです。
チーズイットボウル
テキサスクリスチャン大10、カリフォルニア大7
今年からカクタスボウルからチーズイットボウルと名を変えたこの試合。Big 12からテキサスクリスチャン大、Pac-12からカリフォルニア大が招待されそれぞれが今期最後となるゲームを戦いましたが、試合は何とも大荒れなものとなりました。
前半だけでなんと6つのインターセプションパスをお互いが投げ合い、しかもその内の4つは4ドライブ連続でパスINTを犯すというコーチ陣泣かせの展開。そんなかなでもカリフォルニア大が前半に奪った1TDを守り後半へ突入。
後半も先制のテキサスクリスチャン大が後半最初のドライブで再びパスINTを犯し、ミスばかりの試合展開を変えられませんでしたが、第3Q終了間際に彼らがようやく同点のTDを獲得。7対7で試合は第4Qへ突入。
なかなか均衡が崩れない中迎えた試合時間残り6分。カリフォルニア大は自陣41ヤード地点で再びパスINT。ピンチを迎えますが、テキサスクリスチャン大はこのチャンスを生かせず4thダウンコンバージョンを失敗。そしてそのまま試合はオーバータイムへ。
そしてオーバータイムでもパスINTグセが治らず、カリフォルニア大QBチェイス・フォレスト(Chase Forest)がこの日自身2つ目、両チーム合わせて9つ目のパスINT。そしてようやくテキサスクリスチャン大はこのチャンスをモノにしてFGを成功させ、10対7というロースコアゲームにケリを付けました。
決して素晴らしい内容の試合だったとは到底いえませんが、いい意味でも悪い意味でも人々の記憶に残るゲームになったことは間違いありません。