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新型コロナの驚異がこんなところにも・・・

新型コロナの驚異がこんなところにも・・・

2020年度は新型コロナウィルスのパンデミックの影響で観客数に制限が設けられただけでなく、チーム内でクラスター感染が発生したために試合自体が延期並びにキャンセルになるケースも少なくありませんでした。

最近ではデルタ株などの変異種の猛威が世界中で確認されていますが、そんな中アメリカではカレッジフットボールならびにNFLといった秋のスポーツがパンデミック前とほぼ変わらない感じで開幕しています。やはり目につくのは満員御礼のスタジアムでマスクをしていないファンたちが密になり大声を上げているところです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

確かにアメリカでのワクチン接種率は高いものを示してはいますが、去年があんな感じだったために今年のこの盛り上がりは喜ばしい反面、奇妙にも映ります。なんといってもデルタ株などの変異種がワクチン接種者であっても感染するという事実があるからです。

とはいえ、昨年のようにキャンセルとなる試合は今の所大々的には報道されていません。少なくともFBS(フットボールボウルサブディビジョン)のチーム内でそういったケースは確認できていません。ただだからといって新型コロナの影響で試合がなくなってしまったという事実も実は存在します。私が知っている限りでもFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のジョージタウン大マリストカレッジの試合はジョージタウン大部内での新型コロナウイルス感染で試合が中止になってしまいました。

このようにチーム内で感染が起きて試合開催に影響が出たケースは過去にもありましたが、この度FCSのアルコーン州立大では今までのように選手らが感染した理由とは別の形で試合開催に影響を及ぼしかねない事態が勃発しました。

今週に入りアルコーン州立大フットボール部は月曜日と火曜日の練習をキャンセルしたのですが、それはなぜかというと選手が新型コロナに感染したからではなく、チームのアスレティックトレーナーが感染してしまい練習に帯同できなくなってしまったからです。

アスレティックトレーナーとはスポーツチームにおいて選手の健康管理には欠かせない人物。足首などのテーピングを施したりして怪我の予防に努めたり、現場で起きた怪我を診たり、怪我の治療やリハビリを行ったりするチームの影の立役者です。アメリカではチームにアスレティックトレーナーがいるのがほぼ義務化されており、州によっては高校レベルでも最低1人はアスレティックトレーナーを雇わないといけないという法律もあるほどです。

アルコーン州立大はHBCU(主に黒人学生が通う大学)の雄としてSWAC(サウスウエストアスレティックカンファレンス)で13度のチャンピオンに輝く名門。最近でも2019年にカンファレンスを制し、HBCU界隈では強豪として知らているチーム。

そんなチームですが、今回アスレティックトレーナーが新型コロナの影響で出勤できなくなってしまい練習がキャンセルになってしまったことで彼らの組織上の脆さも浮かび上がってしまいました。

HBCUの名門とはいえ、実は彼らにはフルタイムの正規アスレティックトレーナーが所属しておらず、チームはたった一人のパートタイムの斡旋アスレティックトレーナーしか抱えていなかったのです。そのパートのアスレティックトレーナーが今回出勤できなくなったせいで、練習中の選手の安全を守れないという理由からチームは練習をキャンセルしました。

彼らは今週末にサウスフロリダ大との一戦を控えていますが、ひょっとしたらそれまで1度も練習をすることなく試合に臨むことになる可能性もあるのです。

アルコーン州立大のフレッド・マクネアー(Fred McNair)監督は今回のこの状況に大学上層部への不信感をあらわにしています。

「我々は今週末サウスアラバマ大との大一番が控え、この試合は大学にとっても増益が見込めるチャンスであるはずなのです。しかし(アスレティックトレーナーの一件で)選手たちは怪我の治療も満足に受けられず、明日がどうなるかすらわからない状況に陥っています。こんな状況は即刻改善されなりませんが、これは上層部の運営能力の問題です。」

なぜマクネアー監督がここまで起こっているかというと、大学側の危機管理の脆さは以前から存在していたからです。

たとえば今年2月にFCSが秋シーズンが延期になった振替として春にシーズンを開催することを決定した際、大学側は開幕直前になってシーズン参戦を断念して周囲を驚かせたことがありました。また人手が足りなくてアスレティックトレーナーやストレングスコーチをなんとか確保できたのが1月末だったのです。

そして実はこの際大学側はアスレティックトレーナー及びストレングスコーチなしでシーズンを強行しようとしたといいます。しかしそれでは満足の行く環境が整っていないとして選手たちが体育局長に直訴。それが彼らの春シーズン参戦辞退の理由だったのです。

今回出勤できなくなったアスレティックトレーナーは週の半ばには復帰できるかもしれないということですが、ちょうど同じ頃にアルコーン州立大のあるミシシッピ州は大規模なストームに見舞われる予定でどちらにしろ練習ができなくなる可能性が高く、そうなれば前述の通りサウスアラバマ大との試合をろくに練習もできずに迎えることになるというわけです。

直接的な原因は人手が足りない中心スタッフが新型コロナに感染してしまったせいでチーム活動に支障が出たという今回のニュースですが、その裏にはアルコーン州立大の管理能力の脆さ、そしてFCSレベルにおいてそのような人員を確保することが容易ではないという事実が浮かび上がります。

ちなみに大学スポーツ界では昨年から続くパンデミックでリモートワークを強いられたことにより、職場復帰するさいに適応することができず離職するスタッフが多いことも指摘されています。アスレティックトレーナーやストレングスコーチが手薄なのもそういった事実があるからかもしれません。

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