みなさんの中で2007年のミシガン大とアパラチアン州立大との試合を覚えている方はいるでしょうか?2000年代のカレッジフットボールの試合で5本の指に入る番狂わせとなったこの試合。要約すると2007年度の開幕戦、ミシガン大は当時ディビジョン一部AA(Division I-AA)所属だったアパラチアン州立大をホームに迎えました。全米5位と好位置でシーズンをスタートさせたミシガンでしたが、なんとこのゲームを34対32で落としてしまったのです。
この時のショックといえば相当なもので、私もこの敗戦を鮮明に覚えています。ミシガン大はこの黒星で一気にランキングから脱落。シーズン後半に立て直して一時は13位まで持ち直しますが、開幕前にはナショナルチャンピオンにも手が届くと言われていたミシガン大にとっては痛すぎる先制パンチとなってしまったのです。
そのミシガン大チームにはQBにチャド・ヘンニ(Chad Henne、現ジャクソンビルジャガーズ)、OLにジェイク・ロング(Jake Long、ミネソタバイキング)、WRにマリオ・マニンガム(Mario Mannigham、元ニューヨークジャイアンツ)という錚々たるメンバーが揃っていましたが、RBはマイク・ハート(Mike Hart)という選手でした。
ミシガン大を代表するRB
ハート氏は2006年のハイズマントロフィーで総合投票数で5位とし、2007年にトップRBに送られる「ドークウォーカー賞」ではアーカンソー大のダレン・マクファデン(Darren McFadden=受賞者)、ラトガース大のレイ・ライス(Ray Rice)と共にファイナリストに選ばれるなどその年のトップRBとして名を馳せました。またミシガン大での4年間で築き上げた5040ラッシュヤードは未だ破られていないスクールレコードです。またミシガン大でのラン回数の総数は1015回なのですが、その中で彼が犯したファンブルの数はたったの3回。しかもそのうちの2回は彼の大学生活最終戦となった、2008年のキャピタルワンボウルで起きたことを考えると、ハート氏はミスを犯さない頼れるRBであったことが伺えます。
そんなハート氏は2008年のNFLドラフトで6巡目にインディアナポリスコルツから指名され入団。しかし残念ながらプロでは花が咲くことはなく2011年に現役生活を終えました。
コーチングの道へ
そしていつの間にか彼はコーチングの道に進み、イースタンミシガン大、ウエスタンミシガン大で修行を積んだ後昨年シラキュース大のRBコーチに就任。ハート氏は元々ニューヨーク州シラキュース氏出身ということでシラキュース大でコーチの職を拝命することは「故郷に花を添える」ということで大変エキサイトしていたようでした。
が、その1年後ハート氏はすでにその故郷を再び後にする決断をします。今度は彼の母校であるミシガン大が所属するBig Tenカンファレンスの一員であるインディアナ大のRBコーチに就任することになったのです。
インディアナ大のオフェンシブコーディネーターはマイク・デボード(Mike DeBord)氏ですが、彼はハート氏が現役だった頃のOCでした。また同チームのQBコーチ、ニック・シェリダン(Nick Sheridan)氏もミシガン大出身でハート氏と現役時代チームメイトでした。ハート氏にしてみれば新天地に知った顔がいるということですぐにチームに馴染んでいけることでしょう。
それにしてもカレッジで活躍していた選手がいつのまにかコーチ業に鞍替えしてランクを上げていくのを見ると、自分も歳をとったなぁと感じてしまいます(笑)。