ローレンスが来年の早期NFLドラフト入りを表明
今シーズンの開幕戦を華々しく勝利で飾ったクレムソン大ですが、その中心的人物はQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)です。彼は1年生時から既にスター性のある選手であり、身長、腕の長さ、機動力、ディフェンスを読む能力、そして当然パス力とどれをとっても将来性抜群の選手として知られています。
今季も既にハイズマントロフィー最優秀候補と噂されていますが、彼はフィールド外でもリーダーシップを発揮。コロナ禍でカレッジフットボール開催が危ぶまれた時彼はいち早く「#WeWantToPlay(俺たちはプレーしたい)」というハッシュタグを立ち上げて選手たちの声を代弁。またこのパンデミック下で起こった「Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)」運動においても率先してこの人種差別の温床に自らの立場を生かして切り込み、高いリーダーの素質を十二分に見せつけてくれました。
そんなローレンスは今年で3年生。このシーズンが終われば早期NFLドラフト入りできる資格を得ますが、当然ここまで能力のある選手ですから今シーズン後にプロ入りを表明することはほぼ分かりきっていたことでした。そして先週末に米スポーツ専門局「ESPN」の名物プリゲームショー「College Gameday」において、今シーズンが彼にとってクレムソン大での最後の年となると発言しました。
ドラフト入りすれば総合ドライチが予想されており来年彼は引っ張りだこになりそうですが、クレムソン大での最後のプレーを焼き付けるためにも彼の今後に改めて注目したいと思います。
サンベルトカンファレンスの逆襲
今週なんと言っても目立ったのは「グループオブ5」カンファレンス群の一つであるサンベルトカンファレンスの面々。
最大の金星をゲットしたのはルイジアナ大(ラフィエット校)。彼らはアウェーで全米23位のアイオワ州立大と対戦しましたが、クリス・スミス(Chris Smith)のキックオフリターン、ピーター・レブランク(Peter LeBlanc)の78ヤードTDレセプション、そしてエリック・ゲラー(Eric Garror)の83ヤードのパントリターンTDというロングゲインをものにしてアイオワ州立大を撃破。
またアーカンソー州立大も同じくアウェーでカンザス州立大と対戦。試合は拮抗するも試合残り時間38秒というところでWRジョナサン・アダムス(Jonathan Adams Jr.)がこの日3つ目となるTDパスを捕球し逆転勝利。「パワー5」チームから千載一遇のチャンスをものにしました。
さらにコースタルカロライナ大もまた敵地でカンザス大と対戦しますが、常にリードを奪う余裕の展開で38対23と「格上」から快勝。
リーグ優勝候補のアパラチアン州立大も無難に白星をあげましたが、今季4つのFBSカンファレンスが参戦しない中、ルイジアナ大、アーカンソー州立大、コースタルカロライナ大の下剋上勝利はサンベルトカンファレンスの存在感を一気に高める絶好のチャンスとなりそうです。
どうした、Big 12
今紹介したサンベルトカンファレンスの3チームに土をつけられたのはどちらもBig 12カンファレンスチームでした。
アイオワ州立大にはプレシーズンに来季ドラフトで第1巡目候補とまで言われたQBブロック・バーディ(Brock Burdy)がいますが、この日はたったの145ヤードのパスに沈み期待を大きく裏切りました。
またカンザス州立大も得意のグラウンドアタックが機能せずホームでまさかの敗戦。カンザス州立大はプレシーズンに部内でコロナウイルスのクラスター感染が起きておりそのせいでトレーニングに出遅れたのか・・・。
さらにカンザス大はコースタルカロライナ大にホームで惨敗。一時は21-0という大差をつけられる不甲斐なさでレス・マイルズ(Les Miles)監督2年目となる期待の今季に早くも暗雲が立ち込めています。
その他にもテキサス工科大がFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のヒューストンバプティスト大に2点差の辛勝。
もちろんオクラホマ大やテキサス大など上を狙えるチームは順当に勝ちましたが、「パワー5」チームが「グループオブ5」チーム相手に負けることなど予定の範囲外であることを考えれば、第2週目のBig 12カンファレンスとしての出来は決して褒められたものではありません。
パトリック・マホームズの再来?
全米5位のオクラホマ大は先週末ミズーリ州立大(FCS)相手に48対0と圧勝。相手が相手だけに当然の結果と言えますが、この試合では新QBスペンサー・ラトラー(Spencer Rattler)が満を持して登場。
大きな期待を背負ってオクラホマ大に進学したラトラーは昨年度に先発が噂されていましたが、ジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts、現フィラデルフィアイーグルス)がアラバマ大から転校してきてその座を彼に譲りました。ですからラトラーとしては「やっと自分の番が回ってきた」という心境なはずです。
これまでオクラホマ大はハーツに加えベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)、カイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルス)と名QBを輩出。3人共ハイズマントロフィーファイナリストとなり、メイフィールドとマレーはトロフィー受賞者となっています。
そんな偉大な先輩たちの跡を継いでオクラホマ大オフェンスを担うことになったラトラーですが、ミズーリ州立大戦では290パスヤードに4TDと非常に効率の高いパフォーマンスを見せてくれました。
しかし個人的に気になったのはラトラーのフィールド上での立ち振舞やパスを投げるメカニクス、さらにはポケット内での動きでした。
Spencer Rattler was 14-17 with 4 TDs and 290 yards … in the first half of his first career start.
OU’s next Heisman candidate at QB? 🤔 pic.twitter.com/zSP5q7htL5
— ESPN College Football (@ESPNCFB) September 13, 2020
これ、元テキサス工科大QBで現カンザスシティチーフスのスター、パトリック・マホームズ(Patrick Mahomes)を彷彿とさせませんか?自分だけですかね・・・。
どちらにしてもオクラホマ大監督に就任してから転校生ばかりを先発QBに据えてきたリンカーン・ライリー(Linclon Riley)監督が自らリクルートしてきたラトラーはひょっとしたら同大出身QBとして4年連続ハイズマントロフィーの授賞式に招待されるかもしれません。
試合中に退部?
テキサス大エルパソ校(UTEP)と対戦し59対3と圧勝したテキサス大。期待の高まる今季のテキサス大としてはまたとない好発進となりましたが、その裏でちょっとしたドラマも起きていたようです。
というのも元5つ星リクルートでもある3年生のDB、B.J.フォスター(B.J. Foster)がこの試合の第3Q途中に何とチームを退部したというのです。
2年前の1年生時には入部と同時にチームに貢献。46タックルに1パスインターセプションを記録するなど将来を期待される選手でしたが昨年は怪我に泣かされ、今年も冬に肩の手術を受けるなど出遅れ、その間に先発のポジションを1年生のクリス・ブラウン(Chris Brown)に奪われていました。
第3Qに彼に何が起きたのかは分かっていませんが、このまま本当にチームを去ってしまうのか、はたまた復帰するのか経緯を見守りたいと思います。
*追記
どうやらフォスターはチームに残留するもようです。
Tom Herman says that Texas safety B.J. Foster ‘apologetic’ about actions during UTEP game https://t.co/4SJj6BXRjS
— Longhorns Wire (@LonghornsWire) September 14, 2020