アラバマ大ヘッドコーチに就任して以来すでに4つのナショナルタイトルを保持し、一時代を築いているニック・セイバン監督。カレッジフットボール界において彼のリーダーシップの凄さは言及する必要もありませんが、フィールド外でも彼の能力に刮目している人々もいるようです。
アメリカで発行される世界最大のビジネス誌「フォーチュン(Fortune)」が先日発表した、「世界で最も優れたリーダートップ50」においてセイバン監督は名だたる世界のリーダーたちを押しのけ世界11位にランクされたのです。
世界的バンドU2のボーカルであるボノ(14位)、アルゼンチン大統領のマウリシオ・マクリ氏(26位)、カナダ首相のジャスティン・トルドー氏(48位)といった著名人を抑えての11位ランクインはアメリカが発刊元である同誌の多少の「肩入れ」はあるのかもしれませんが、それでも一大学アメフトチームの監督として名前が挙がることだけでもすごいことだと思います。
アラバマ大で4度、そしてルイジアナ州立大で1度の全米制覇を果たしたことによりセイバン監督はNCAA史上初となる、2つの異なるチームでタイトルを獲得した監督となりました。
フォーチュン誌ではセイバン監督をこのように評価しています。
「昨年の第3戦となったミシシッピ大戦で43対37で敗戦した際、全米すべての人がアラバマ大の時代は終わったと感じました。それまでセイバン監督が築き上げたフィールド上での栄光 、さらに選手の卒業率の向上とアラバマ大に天下を取らせた彼のマジックは底をつき、他のチームが彼らに追いついたのだと。」
「しかしその敗戦後、セイバン氏はチームにこう問いたのです。『ここの敗戦からどのように立ち直るのか?』と。そして今年1月11日にタイトルゲームでクレムソン大を45対40で下しナショナルチャンピオンに輝き、彼がチームに問いた答えが選手たちによって体現され、アラバマ大のダイナスティとセイバン監督のリーダーとしてのレガシーが確固なるものとなったのです。」
ちなみに以下のリストがセイバン監督よりも上位にランクされた著名人たちです。
1. ジェフ・ベゾス: Amazon.com CEO
2. アンゲラ・メルケル:第8代ドイツ連邦共和国首相
3. アウン・サン・スー・チー:ミャンマーの民主化運動指導者
4. フランシスコ:第266代ローマ教皇
5. ティム・クック:アップル CEO
6. ジョン・レジェンド:ミュージシャン、人道活動家
7. クリスティアナ・フィゲレス:国連気候変動枠組条約事務局長
8. ポール・ライアン:アメリカ合衆国下院議長
9. ルース・ギンズバーグ:アメリカ合衆国最高裁判所判事
10.シェイク・ハシナ:バングラディシュ首相
見てわかるようにトップにランクされた人たちは政治家だったり大企業の最高責任者だったりとそうそうたるメンバーですが、そこにアラバマ大というアメリカ南部に位置する一大学のアメフトチームの監督が選び称されたのです。このほかにスポーツ界からは現在破竹の勢いを見せるNBAゴールデンステートウォーリアーズの監督スティーブ・カーしとそのスター選手であるステファン・カリーの2人が合わせ技で15位にランクされていますが、フットボールの監督としては史上初のランクインをセイバン監督は果たしました(NFLニューイングランドペイトリオッツの監督、ビル・ベリチック氏がランクされたことがないのは少し驚きましたが)。
世界のどれだけの人がセイバン監督のことを知っているのかは定かではなく、それを考えるとフォーチュン誌がアメリカ寄りであるのは否めませんが、なんにせよこのような世界的な雑誌に取り上げられたことは意味のあることだと思います。もっともこのことを監督自身に尋ねたらきっとさらっとかわされそうですが(笑)。