先日プレーオフ準決勝戦となるピーチボウルにてワシントン大を倒し決勝戦へ駒を進めたアラバマ大。しかしそのタイトルゲーム戦のサイドラインでオフェンシブコーディネーターのレーン・キフィン(Lane Kiffin)氏の姿を見ることはどうやらできなそうです。
現在フロリダアトランティック大のヘッドコーチとアラバマ大のOCを兼任しているキフィン氏。アラバマ大がナショナルチャンピオンシップに進んだ今、この試合が終わるまでアラバマ大と行動を共にするものだと思われましたが、キフィン氏はアラバマ大での3つ目の優勝リングを目にすることもなく3年間のOC生活にピリオドを打つことになりました。
この決断はアラバマ大、ニック・セイバン(Nick Saban)監督、そしてキフィン氏の相互同意の上での決断だということですが、果たして本当でしょうか?
先月にフロリダアトランティック大の新監督に任命されたキフィン氏は同大学でのリクルーティング、スタッフの組閣、選手とのミーティングなどやることはたくさんあり、その上アラバマ大のオフェンスをナショナルタイトルゲームに向けて準備させなければならず、これらを同時に行うのはたしかに困難で、フロリダアトランティック大での監督業に専念するためにアラバマ大を去っていったという見方は当然できます。
しかしあと1週間待てなかったのか・・・。と思わずにはいられませんし、昨年ジョージア大の新監督に任命されたカービー・スマート(Kirby Smart)氏はジョージア大の監督を兼任しながらアラバマ大のDCとして最後までチームに帯同しナショナルタイトル獲得に貢献しました。つまりアラバマ大そしてセイバン監督は同じプロセスを踏んだことが過去にあったわけです。
ある情報筋ではこれは事実上の解雇だと見る声も聞かれます。
その訳はワシントン大とのピーチボウルでのプレーコーリングに問題があったと。このゲームではRBボ・スカーボロー(Bo Scarbrough)は180ヤードもランで稼ぎましたが、キフィン氏は実際のところスカーボローに合計19キャリーしか走らせませんでした。相手の弱みを発見してそこにつけ込むのが得意なキフィン氏にしてみれば確かに疑問視されることかもしれません。
更にはここ最近のキフィン氏の発言にも問題があったのではとも囁かれています。例えばセイバン監督との関係性を聞かれると楽しいときは一度もなかった(いつも監督からプレッシャーを受けていたため)と言ってみたり、アラバマ大での早朝ミーティングのことをチクリと文句を言ってみたり・・・。アラバマ大での3年間をポジティブに振り返ればいいものを、少々後味が悪くなるようなコメントを残していたのです。
ということで大舞台を前にチームの輪を乱したキフィン氏をセイバン監督が切り捨てたという見方もできるということです。
何れにしてもこのこの3年間でアラバマ大での強いオフェンスを育ててきたキフィン氏がタイトルゲーム直前にチームを去ることはそれなりの影響を与えると見て間違いありません。キフィン氏の後継者にはすでに来季のOCに内定していたスティーブ・サーキジアン(Steve Sarkisian)氏が繰り上げで昇進するということです。
テネシー大、サザンカリフォルニア大とこれまで在籍していたチームで何かと世間を騒がせてきましたが、やはりキフィン氏は生粋の「ドラマクィーン」だったということでしょうか。