NFLに多くの卒業生を送り出しているアラバマ大。上のレベルで通用する選手が多く揃っているからこそ現在の「帝国」を維持出来る訳ですが、そんな選手達に一種のクレームをつける人たちがいるようです。それはそれらの選手達が大学時代に体を酷使しすぎてNFLチームに入団する頃には既にぼろぼろだと言うのです。
アラバマ大では選手を酷使しているのか?
そんな「ありもしない」クレームにアラバマ大ヘッドコーチ、ニック・セイバン(Nick Saban)監督は怒り心頭です。
「これまでNFLチームが私にそのようなことを言って来たことは一切無い。いったいこのような話がどこから降って湧いたのかすら分からない。エディ・レイシー(Eddie Lacy/2012年度シーズンまでプレー)はリーグで新人賞を取るまでの活躍をした。その彼の体がボロボロだったとしたらあんな活躍が出来ただろうか?昨シーズンのNFLでは45人の卒業生が在籍していたがこれは出身校別でいったら最多の数だ。もしアラバマ大出身者がぼろぼろであるならば、こんなに多くの現役選手がプロで活躍出来るはずが無い。」
とこのクレームを完全否定しています。
セイバン監督が例に挙げたのはレイシーですが、同じRBで昨季のハイズマントロフィー受賞者でもあるデリック・ヘンリーに関しては幾ばくかの不安要素があると指摘されています。FBSトップとなる395キャリーを昨シーズン記録したヘンリーでしたが、この数字は2位となるスタンフォード大のクリスチャン・マカフリー(Christian McCaffrey)よりも58回も多い数字です。
ヘンリー以前のRBもまたNFLへ旅立った選手が多いです。マーク・イングラム(Mark Ingram)、トレント・リチャードソン(Trent Richardardson)、先述のレイシー、そしてT.J.イェルドン(T.J. Yeldon)らがそうですが、彼らが活躍した際には各々がバックアップRBと常にローテーションを組んでいたものです。此れによりトータルのキャリー数は減り、それは必然的に怪我の確率を下げる助けをするものでした。しかし昨季のヘンリーはチームのランゲームにおいて常にボールを託され、それが395キャリーという尋常でない数字に表れたのです。それが潜在的にヘンリーのRBとしての寿命を縮めたのではないか、と言われている訳です。
セイバン監督はさらにアラバマ大はSEC内でももっとも怪我の少ないチームだと主張しています。
「我々は選手にGPSシステムを装着させて彼らの練習での動きをトラッキングしている。これにより選手が疲れすぎていないか、練習しすぎていないかを分析する訳です。また各々の選手がシーズン開始とシーズン終了時にどれだけ成長したかと言うことも記録に残している。それらによれば全選手がシーズンを通して厳しい負荷に耐えられるだけの強靭な体力を保持もしくは向上していると言うデータもあるのです。」
上に挙げられたようなクレームはメディアが作り出した「幻想」だと断言するセイバン監督。メディアとの相性の悪さは相変わらずといったところでしょうか。