今年のアラバマ大は1年生QBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)を中心としたオフェンスと強力なディフェンスでこれまで無敗を守ってきています。今月末に行われるCFP準決勝戦でワシントン大に勝てばいよいよ昨年に続く二連覇を目指してナショナルチャンピオンシップゲームに進出することになります。もともと開幕時は先発QBはハーツではなくブレイク・バーネット(Blake Barnett)でしたが、開幕戦のサザンカリフォルニア大戦でハーツに先発の座を奪われるとシーズン早々にアラバマ大から転校することを決めました。以来ハーツはアラバマ大になくてはならない選手となったのですが、その一方でハーツと同じようにアラバマ大でプレーしたいという夢を描いて入学してきた選手たちにとってはハーツが活躍するほど彼らにチャンスがなくなるわけです。そんなQB二人がこの度シーズン後にアラバマ大から転校し、他チームで先発QBとしてプレーするチャンスを探すことになりました。
最初にアラバマ大を去ることを決意したのは来年4年生となるクーパー・ベイトマン(Cooper Bateman)。彼はアラバマ大で学位をすでに取得しており、来年はユタ大に大学院生としてトランスファーすることが決まっているようです。そしてその数日後、3年生のデヴィッド・コーンウェル(David Cornwell)もアラバマ大以外のチームでプレーできるチャンスを模索することを決意したようです。
ベイトマンは昨年と今年バックアップQBとしてチームに貢献。昨年は1試合のみ先発出場も果たしました。一方コーンウェルはこれまで試合出場経験は無し。元四つ星リクルートでオクラホマ州ではナンバー1のポケットパサーとして期待されましたが、アラバマ大での激しい先発QB争いで勝ち残ることはできませんでした。
これで今季アラバマ大から3人のQBが退部。更に言えば今年の1月にはアレック・モリス(Alec Morris)がノーステキサス大にトランスファーしたので彼を加えれば4人のQBがチームを去ったことになります。アラバマ大ほどのチームなら選手の層は相当厚いでしょうから他のチームで先発出場できてもアラバマ大では2番手3番手に回らざるを得ない選手はたくさんいるでしょう。大きな期待を背負って入部してきた選手ならプレーするチャンスを欲しがって外にその機会を探そうとするのも頷ける話です。
ちなみにニック・セイバン(Nick Saban)監督はベイトマンとコーンウェルはプレーオフが終わるまでチームに残留させると明言しています。これは温情を与えるということよりも、ハーツが怪我した場合バックアップに誰もいなくなるのを恐れての決断だと思われます。ハーツは少なくともあと2年はアラバマ大で活躍するでしょうから、コーチ陣は彼のバックアップ探しに奔走することになるでしょう。