2007年のハイズマントロフィー受賞QBでカリスマ的存在だった元フロリダ大のティム・ティーボ(Tim Tebow)。卒業後はNFLデンバーブロンコスに第1巡で加入するも大学時代ほどの活躍を見せることができず、その後はジェッツ、ペイトリオッツ、イーグルスと渡り歩き、現在実質引退状態で(最も彼自身の口から引退したという言葉は発せられていませんが)米スポーツ専門局ESPNのアナリストをしています。そんな彼が今回なんともどでかい夢を叶えようと動き出しました。
フロリダ大でレジェンドとなったティーボ
敬虔なクリスチャンで型破りのQBだったティーボは多くのファンを作りましたが、アンチ・ティーボも多く存在しました。いいか悪いかは別としてそれだけ注目を集める選手だったわけですが、そんな彼が今回思い描いた夢・・・それはプロ野球選手になるということです。
大変唐突に聞こえますが・・・唐突だと思ったあなた、それは間違っていません。何しろカレッジからフットボール一筋でやってきた人物ですから、無理もありません。かつてディオン・サンダースのようにフットボールと並行して野球を続けていた選手はいましたが、ティーボのように半ば思いつきで野球選手になろうと発言する人物は少なくとも私は知りません。
ただ全くの素人というわけではなく、高校時代にはフットボールのシーズン以外では野球部に所属していたということで、当時のパフォーマンスはなかなかだったようです。しかしそれでも10年以上野球をしてこなかった人物がプロを目指すというのですから、「クレージーなアイデア」と言われても仕方ないでしょう。
プロ野球選手を目指そうと試みてからこれまで約12ヶ月、アリゾナ州やロサンゼルスで錆びついたベースボールスキルを磨いていたようですが、今回8月末にMLBチームを招待して公開練習を行うというのです。彼は本気です。
これまでティーボの練習を見てきた人の中にはポジティブな感想を述べる人たちもいます。
ある野球誌の編集長は「プロ野球内部の人間だけでなく外野の人間たちもティーボのスキルに驚くに違いない」とティーボの基礎スキルを賞賛しています。元プロ選手のチャド・モラー(Chad Moeller)氏がティーボのスイングのスピードとパワーに太鼓判を押せば、オールスターにも選ばれたゲリー・シェフィールド(Gary Sheffield)氏もティーボがプロ野球でも十分通用すると断言しています。
ただそれでも大多数の意見は、10年以上のブランクを経てプロレベルでプレーした人間は今までいないし、これからも出てこないだろうというものです。
しかしながらこのような壁が大きければ大きいほど燃えるのがティーボの真骨頂です。確かに全体的に見てティーボのNFLでの活躍は微小でしたが、それでも全く成功しないだろうと言われる中、デンバーブロンコスをプレーオフに導き、プレーオフではピッツバーグスティーラーズに勝利するということをやってのけたのです(もっともこの時のブロンコスはディフェンス陣ありきのチームでしたが)。
今のとこティーボの公開練習(トライアウト)にはMBLから20チームがスカウトを送るということです。「ティーボ・タイム」を再び拝むことができるか・・・。かくいう私もティーボファンでもあるため、個人的に非常に興味があるニュースです。