ハリケーン「マシュー」のために開催が延期されていた、サウスイースタンカンファレンス(SEC)のフロリダ大対ルイジアナ州立大戦。この試合の振替開催日を模索し様々な憶測が流れていましたが、この度この試合が正式に11月19日に開催される事が決定しました。
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元々フロリダ大のホームゲームだったこの試合。11月19日はフロリダ大がプレスビテリアン大と、ルイジアナ州立大がサウスアラバマ大とそれぞれ対戦が予定されていましたが、それぞれがこの日の試合をキャンセルし、フロリダ大とルイジアナ州立大がこの日に対戦する事に決定したのです。これに関連しプレスビテリアン大とサウスアラバマ大にはキャンセル料が支払われるようです。
この解決策に至るまでには双方でなかなか折り合いがつかなかったようですが、特にルイジアナ州立大側は頑に11月19日のホームゲーム開催は譲らないと主張していたようで、結局フロリダ大が譲歩し元々彼らのホームゲームだった試合をルイジアナ州立大のホームゲームに変更する事でこのマッチアップ実現にこぎ着けたのでした。そのかわり来年のこのマッチアップはフロリダ大で行われるとの事。これにより2017年と2018年は2年連続でフロリダ大のホームでの開催となります。
頑固なまでにホーム開催を主張したルイジアナ州立大側にフロリダ大の体育局長はこの交渉でルイジアナ州立大側に対し不快感を示しました。
「我々はこの試合をなんとか開催する為に(ルイジアナ州立大の所在地)バトンルージュに赴く事で合意に達しましたが、カンファレンスオフィスがともに協力して開催日を模索するよう通達してきたのにも関わらず、ルイジアナ州立大はあまり協力的ではありませんでした。カンファレンス側が示したいくつかの開催日案に対してもルイジアナ州立大側は頑として首を縦に振らなかったのです。」とはフロリダ大体育局長のジェレミー・フォリー氏談。
一方自分たちの要望を突き通せたルイジアナ州立大側は当然この開催案に満足しています。彼らの体育局長であるジョー・アレヴァ氏は、「当初から我々が主張していたように、この日の試合をホームで開催する事は我々の一番の望みでした。しかしその代わりに我々が提示した案はことごとく却下されたのです。その後の交渉の結果、フロリダ大が今回バトンルージュで我々とプレーする事に合意してもらい、その代わりに来年は我々が(フロリダ大の所在地である)ゲインズビルに赴く運びとなったのです。」と安堵しています。
SECのコミッショナーであるグレッグ・サンキー氏はこの試合がキャンセルされた直後から、なにがあってもこの試合は行われなければならないと言い続けてきました。
「このマッチアップは我々SECにとって非常に重要なものであるので必ず開催しなければなりませんでした。両校ともそれぞれの問題や主張を抱え交渉は平行線を辿っており、また現行のSECのルールではこの状況を打開する為の規制を持ち合わせていませんでした。そんな中自分たちのホームゲームを放棄し、ルイジアナ州立大での開催に合意してくれたフロリダ大側の判断に非常に感謝します」とはサンキー氏。
サンキー氏は両校にこの試合の開催を実現出来なければどのような戦績によらず彼らをSECタイトルゲームに出場させないと言っていましたので、そのプレッシャーもフロリダ大の譲歩という決断に拍車をかけたと思われます。これまでこのような事態に陥る事は無かった為、今回の件を経てSECは将来的に何らかの解決策をSECの規制に盛り込んでいくと思われます。
ということでこの大一番はどうにか開催されることになったわけですが、この試合の開催がどうしてここまで重要かと言えば、それは最終的にSEC出身チームのカレッジフットボールプレーオフ進出に影響を及ぼしかねないという不安があったからです。今のところルイジアナ州立大、フロリダ大のどちらかがプレーオフ進出できるかといえばそれはかなり厳しいですが、間接的にその他の可能性のあるチーム(今ならアラバマ大、テキサスA&M大、テネシー大)のストレングスオブスケジュールに影響する可能性があります。プレーオフ進出でボーダーラインとなるSECチームが出てきた場合、このフロリダ大vsルイジアナ州立大戦が行われない事で該当チームのストレングスオブスケジュールが弱くなり、結果的にそのチームが戦ってきたシーズンの価値そのものが過小評価されてしまい、プレーオフに落選してしまう可能性もないことはないのです。
自カンファレンスからプレーオフ進出チームを輩出する事はブランド力を高めることが出来るだけでなく、リーグにも配当金が回ってくる為に収入の面でも重要なのです。それ故サンキー氏は口が酸っぱくなるくらい「開催しろ」と言い続けていた訳ですね。
フロリダ大がルイジアナ州立大での開催に合意した事で解決したこの問題ですが、来週からのルイジアナ州立大の5連戦は以下の通りになります。
ミシシッピ大(ホーム)
アラバマ大(ホーム)
アーカンソー大(アウェー)
フロリダ大(ホーム)
テキサスA&M大(アウェー)
これら5チーム全てが現在のところトップ25以内にランクされています。レス・マイルズ(Les Miles)前監督解雇後指揮を任されているエド・オルジェロン(Ed Orgeron)臨時監督にとってはこの残りのシーズンにいい成績を残し、シーズン終了後に正式にチームの監督に任命される事を目論んでいる事でしょうが、今回の開催日変更によって彼の監督就任への「オーディション」がとたんに厳しいものになりました。これらに全て勝利することが出来ればオルジェロン氏の監督就任は確実なものになる公算が高いですが、果たしてそううまくいくでしょうか?
さらに来年のスケジュールを見てみるとフロリダ大戦がアウェーとなる為にルイジアナ州立大のアウェーでの対戦相手はフロリダ大、ミシシッピ大、アラバマ大、テネシー大とフロリダ大戦がアウェーになった事でとたんに見た目で厳しいものに。この新たな「死のロードゲーム」は誰が監督になろうと関係なく勝ち残るのは容易ではなくなりました。
痛い目を見るのは何もルイジアナ州立大だけではありません。今年のフロリダ大のシーズンチケット保有者にとってルイジアナ州立大とのホームゲームが無くなるのは非常に残念です。特にルイジアナ州立大戦が無くなった事で今年のホームゲームはマサチューセッツ大、ケンタッキー大、ノーステキサス大、ミズーリ大、サウスカロライナ大と正直「ショボい」相手ばかりとなってしまいました。今年のホームゲームの目玉カードがルイジアナ州立大戦だっただけにチケットホルダー達は怒り心頭なはずです。
そして元々シーズン最後のホームゲームだったプレスビテリアン大戦が無くなった事で彼らの今季最後のホームゲームはサウスカロライナ大戦ということになりますが、現在サウスカロライナ大のヘッドコーチは元フロリダ大ヘッドコーチのウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督。この日シーズン最後のホームゲームとして4年生たちが「シニアデー」として讃えられる訳ですが、彼らは元々ムスチャンプ監督にリクルートされてフロリダ大に入部してきた選手ばかり。4年生達にとって最後のホームゲームとなる記念の日を元ヘッドコーチのムスチャンプ氏と共に迎えるというのは何かの因縁なのでしょうか。
いずれにしてもカレッジフットボールファンとしてはこの試合が開催されることになったのは歓迎したいです。あとはこの試合までに両チームが勝ち続けて試合として開催意義のあるマッチアップとなっていることを祈ります。