開催日:12月31日
開催地:ユニバーシティーオブフェニックススタジアム
(アリゾナ州グレンデール)
オハイオ州立大 | クレムソン大 | |
11勝1敗 | 戦績 | 12勝1敗 |
42.6 | 平均得点 | 40.1 |
14.1 | 平均失点 | 18.3 |
221.2 | 平均パスYD(攻) | 332.6 |
258.3 | 平均ランYD(攻) | 173.1 |
164.5 | 平均パスYD(守) | 188.2 |
117.8 | 平均ランYD(守) | 125.8 |
J.T バレット 2428YD/24TD/5INT |
QB | D・ワトソン 3914YD/37TD/15INT |
M・ウェバー 1072YD/9TD |
RB | W・ガルマン 1002YD/15TD |
C・サミュエル 822YD/7TD |
WR | M・ウィリアムス 1171YD/10TD |
試合展望
今季のプレーオフ準決勝第2試合目となるフィエスタボウルはクレムソン大(2位)とオハイオ州立大(3位)のメガマッチアップとなりました。
クレムソン大
最終ランキングでランクを入れ替えた両チームですが、どちらにしてもこの2チームが対戦する事に変わりはありません。カンファレンスタイトルゲームに出場しなかったオハイオ州立大と違い、クレムソン大はACC優勝決定戦にてバージニア工科大と対戦。クレムソン大はこの試合を42対35で制し見事カンファレンスタイトル連覇を果たしました。この試合での勝利が3位だったクレムソン大を最終ランキングで2位に押し上げた理由となったのでしょう。
【関連記事】2016年度シーズン第14週目 – Championship Weekend –
このバージニア工科大戦ではQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)が3パスTDを含む288パスヤードに2ランTDを含む85ランヤードという活躍をみせました。そのワトソンは最優秀選手に送られるハイズマントロフィーのファイナリストとして2年連続授賞式に招待され、惜しくも受賞は逃しましたが、クレムソン大の顔としてここ2年間君臨してきたスター選手です。今シーズン序盤はあまり世間をにぎわせませんでしたが、後半尻上がりに調子を取り戻し、11月だけでみれば1298パスヤードに12TD、パス成功率は75パーセントと驚異的な数字を叩き出しました。全体的にパスインターセプションが増えましたが(15)、おそらくこれは将来を見据えてより洗練されたパサーに生まれ変わろうとしている途中に生まれたバイプロダクトであると予想されます。
ワトソン以外でもクレムソン大オフェンスには駒が揃っています。オールアメリカン級のWRマイク・ウィリアムスを筆頭にディオン・ケイン(Deon Cain)、ジョーダン・レゲット(Jordan Leggett)、アータヴィス・スコット(Artavis Scott)といったレシーバー陣に加え、RBウェイン・ガルマン(Wayne Gallman)も健在。チームのトータルオフェンスは全米で12位、平均得点数は全米15位とトップレベルです。
クレムソン大の弱点はボールセキュリティー、すなわちターンオーバーです。こんなにもタレント揃いであるにも関わらず、今シーズントータルで24回もボールを相手に不用意に奪われてしまっています。先に挙げたワトソンのインターセプションの他にも様々な形でターンオーバーを9つ犯している訳です。これは全米で109位という不甲斐なさ。オハイオ州立大という強豪相手を相手にしてボールを相手に献上するようなことがあればそれは直接自滅 行為となりかねません。
オハイオ州立大
オハイオ州立大のスターQBであるJ.T.バレット(J.T. Barrett)はここぞと言う時に頼れる選手ではありますが、今季は彼のプレーには波が目立ちました。特に強豪チームを相手にしたときのパスプレーは非常にお粗末。インディアナ大戦では93ヤード、ミシガン州立大戦では86ヤード、ミシガン大戦では124ヤードと彼のパスプレーがそのまま試合展開に影響を及ぼしています。
彼らの唯一の敗戦ゲームであるペンシルバニア州立大戦ではバレットは245ヤードをパスで稼いでおり、一見この試合の敗因は別にあると考えられそうですが、この日のバレットのランヤードはたったの26ヤード。こちらの面をペンシルバニア州立大ディフェンスに完全に抑え込まれた訳です。要するに全体的なバレットのパフォーマンスがそのままチームのオフェンスに反映されると言う事なのでしょう。
【関連記事】2016年度シーズン第8週目 – Knocking on the Heaven’s Door –
バレットのパスゲームでのターゲットは主にカーティス・サミュエル(Curtis Samuel)一人に絞られます。ランゲームでもサミュエルは8TDを含む704ヤードを記録しており、チームのリーディングラッシャーであるマイク・ウェバー(Mike Weber)の1072ランヤードと合わせてバレット、サミュエル、ウェバーの3人で3000ヤード以上のランを稼ぎました。しかし彼ら以外で目立った選手がおらず、この点をどうするかがアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督の手腕にかかっていると言えそうです。ただ、そうはいってもオハイオ州立大の平均得点は42.7点とクレムソン大のそれを若干上回っており、点を取る事に関してはあまり問題はなさそうです。
オハイオ州立大はクレムソン大と違ってターンオーバーの数は少ないです。むしろ相手から奪うターンオーバーの方が多くそのマージン(差)は16にのぼります。これは全米3位の数字ですが、クレムソン大はそのマージンが±0で全米67位ということです。
またオハイオ州立大のレッドゾーンオフェンスの強さも光ります。レッドゾーンからの得点率は87.1パーセントで全米38位。クレムソン大が83.8%で全米68位である事を考えると軍配はオハイオ州立大に上がります。大した差ではないと思われるかもしれませんが、両チームとも果敢に点を取りにいく事でしょうから、ドライブの最後でタッチダウンを奪えるか、FGどまりか、はたまた無得点に終わるかで試合の勝敗は分かれることになるかもしれません。
見どころ
クレムソン大のDB ヤダー・ジョンソン(Jadar Johnson)はオハイオ州立大のオフェンスを攻略するのにはバレットのランに気をつけなければいけないと言ったそうですが、それはバレットがあまりいいパサーではないからだという理由があるからだそうです。それは一理ありますが、だからといってパスカベレージをおざなりにすればバレットはすかさずサミュエルやノア・ブラウン(Noah Brown)らを使いクレムソン大DB陣に挑戦状を叩き付けていく事でしょうから、バレットの機動力だけ気をつければいいという訳ではないと思います。それに試合開始前にこんな風にバレットを挑発するような事をいえば、バレットのモチベーションが上がるだけです。いつのご時世も「口は災いのもと」と言いますからね。
クレムソン大のオフェンスがオハイオ州立大から点を奪うにはワトソンのスマートプレー、すなわちミスの無いパフォーマンスが不可欠です。前述のようにターンオーバーが増えてしまった今季のワトソンですが、この試合で今年のこのトレンドが表れてしまえばオハイオ州立大がそれを見逃さずそこにつけ込んでくるはずです。ワトソンが不用意にボールをオハイオ州立大に渡さなければ試合は面白くなります。特に前述の通り後半戦のワトソンは尻上がりに良くなってきましたのでそれがこの試合でも出れば試合の流れはクレムソン大へと流れていくかも。
またオハイオ州立大のオフェンシブラインとクレムソン大のディフェンシブフロントセブンのガチンコ勝負も見物です。これまでバレットが調子が悪かった一因にはOL陣が彼を守りきれなかったという一因もあります。一方クレムソン大DLおよびLB陣は強くスピードがあるユニット。オハイオ州立大OLがクレムソン大からのプレッシャーをいなせなければ、いくら機動力があるバレットと言えどもいずれは彼らに捕まってしまう事でしょう。
2014年以来のCFPタイトルを狙うオハイオ州立大。対するクレムソン大は昨年決勝戦まで進むもアラバマ大に敗れその雪辱に燃えています。どちらのチームがナショナルタイトルゲームに進出することになるでしょうか?
AGS予想勝者
オハイオ州立大