先月サウスフロリダ大の2選手が暴力沙汰で逮捕されるという事件が起きました。これらの選手は新監督であるチャーリー・ストロング(Charlie Strong)監督が引っ張ってきた選手たちでは有りませんが、この事件に関してストロング監督の監督不行き届きを指摘する人物が表れました。
ストロング監督へのメッセージ
DLラダリアス・ジャクソン(LaDarrius Jackson)は婦女暴行容疑で、そしてDBハッサン・チャイルズ(Hassan Childs)は暴行容疑とマリファナ所持容疑で同じくお縄頂戴となりました。チャイルズは逮捕された直後に退部させられ、ジャクソンは今の所無期限謹慎処分とされています。
彼らの予備審問を仕切ったのがサウスフロリダ大の卒業生でもある裁判官、マーガレット・テイラー女史であったのですが、その際テイラー女史は彼らのフットボール部での最高責任者であるストロング監督がチームをまとめ上げるだけの能力が有るのかと疑問を呈したのです。
以下がマーガレット・テイラー女史の発言の和訳です。
「私は1989年にサウスフロリダ大を卒業した卒業生であります。当時サウスフロリダ大にはフットボール部は存在すらしていませんでした。サウスフロリダ大は全米でみれば決してトップクラスの大学であるとは言えませんが、それでも私はこの大学の卒業生である事に誇りを持っていました。
「ジャクソンさん、貴方のやった事は恥ずかしい事であり、恥ずべき事です。貴方のおかげで今私のオフィスに飾ってあるサウスフロリダ大の卒業証書は泣いているのです。
「そして私は貴方のコーチであるチャーリー・ストロング氏にもメッセージが有ります。もし聞いているならば。過去数ヶ月に渡り貴方のチームから2人も暴力沙汰で逮捕されるという事態がおきました。この法廷、そしてその外でも、貴方が選手達をしっかりと管理出来ているのかと疑いの目を持っています。明らかに貴方は選手達のフィールド外での行動を制御出来ていないようです。
「あなたの選手の行いによってこの地域の人々に多大なる迷惑がかかかる前に、あなたが本当にサウスフロリダ大のヘッドコーチとしての資質があるのかどうか、どうかしっかりと考えていただけるよう切実にお願いします。」
行き過ぎた発言?
このように監督個人の名前を挙げてここまでこき下ろすのは非常に珍しいです。しかもそれが裁判官の口から発せられたのですから。そしてこのニュースは全米中に瞬く間に広がったのですが、彼女がサウスフロリダ大卒業生ということでその大学愛の強さから出た厳しい発言と取れますが、一方でそのせいで裁判官としての「平等性」も疑問視されました。
もちろんストロング監督も黙って聞いているだけなわけはなく、以下のような声明を出しました。
「私が就任してから短期間でチーム内では品性、訓育、そして家族を大事にすることを胸に選手を育成してきました。そしてサウスフロリダ大フットボール部には毎日正しいことをしようと心がける若者がたくさんいます。我々は常に高い品性を持った若者をリクルートすることを心がけ、彼らがフィールド内外に関わらず正しい行動をするよう毎日のように言い聞かせています。我々の選手2人が最近逮捕されてしまったことは非常に悲しいことです。しかしそれ以上に彼らの行動のせいでこの素晴らしいチーム、そして大学の名誉を傷つけてしまったことが何よりも残念です。我々は選手ならびにスタッフに対し非常に高い期待をかけています。そしてそれらの期待を破り我々が目指す真理を脅かすような行動をする者達への責任を我々は負わなければなりません。」
そんな中この発言の数日後、テイラー女史はこの事件裁判から自ら手を引くことを発表。おそらく上の発言が影響しているものと考えられます。
そしてその1週間後、主裁判官のロン・フィカロッタ氏はストロング監督とテイラー女史を引き合わせ会話の場を持たせたのです。
「ミーティングではポジティブな意見が交わされていました。ストロング監督はテイラー女史に今起こっている問題を直接伝えることが出来たと思います。このミーティングが行われて良かったと思っています。」とはフィカロッタ氏。
ストロング監督の選手管理能力を真っ向から否定したテイラー女史は少し行き過ぎた感もありますが、それも彼女がサウスフロリダ大出身者である事を誇りに思っているからです。テイラー女史の信頼を得るには、チームを引き締め、そして勝敗だけでなく人格形成の場としてサウスフロリダ大をいかにストロング監督が変えていくかが必要となっていくでしょう。