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スカウティングコンバインの風景【2023年NFLドラフト】

スカウティングコンバインの風景【2023年NFLドラフト】

カレッジフットボール選手の中でも高い能力を持っているごくわずかな選手が大学でのキャリアを終えた次に目指すのは当然プロの世界であるNFLです。ただそこにたどり着けるのはNCAA(全米大学体育協会)レベルでプレーする大学生の全体のうちの5%にも満たないということで、その華やかな世界に足を踏み入れることはそう容易いことではありません。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

そのNFLへの扉を叩くために候補者たちは数々のプロセスを踏まなければなりませんが、その中の一つに「スカウティングコンバイン」があります。

単純にコンバインと略されることもありますが、これはプロ入りを目指すエリート選手の中でも特に選ばれた選手だけが招待されるイベントであり、これはそう言ったトップアスリートたちを一堂に集めて彼らの運動能力や身体測定、さらにはインタビュー(質疑応答)やNFLチームとの面接を通じて彼らがプロ選手としてどれだけの素質を持っているかを品定めする「見本市」のようなものです。

40ヤードダッシュでは俊足性を、コーンドリルでは俊敏性を、ベンチプレスではパワーを、幅跳びと垂直飛びでは跳躍力を、そしてポジション別のスキルテストでは選手としての能力をテストされ、それを見守るNFLのGM、ヘッドコーチ、さらにはファンらの眼差しは差し詰め競馬場でのパドックで競走馬をガン見する競馬ファンのようです(笑)。

さてそんなコンバインですが今年もインディアナ州インディアナポリス市にあるインディアナポリスコルツの本拠地・ルーカスオイルスタジアムで行われました。個人的にはこのコンバインでの出来がどれだけ選手のプロとしての素質を測ることができるのか疑問に感じてしまうのですが、今回は今年のこのコンバインで株を上げたと言われる選手、逆に株を下げてしまったと言われる選手を簡単に紹介したいと思います。

(当然ながら全て私的な意見ですので悪しからず💦)

株を上げた選手たち

アンソニー・リチャードソン(フロリダ大QB)


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このコンバインで最も株を上げたと言われるのがフロリダ大QBあソニー・リチャードソン(Anthony Richardson)。フロリダ大在学中は1年生(レッドシャツ)時に大気の片鱗を見せるも怪我でシーズンの半分を棒にふり、2年生の昨年は先発として開幕から出場しましたが、2549パスヤード(17TD、9INT)という数字に終始。チームも6勝7敗で沈みました。

ただアスリートとしての才能は突出していると言われ、その様子はキャム・ニュートン(Cam Newton、元アーバン大)やラマー・ジャクソン(Lamar Jackson、元ルイビル大)と比較されるほど。コンバインでは40ヤードが4.44秒、幅跳びが10フィート9インチ、垂直跳びが40.5インチとQB界隈では軒並みトップレベル。カレッジでのサンプルサイズは小さいものの、ポテンシャルが高いと株が急騰しているようです。

ジャクソン・スミス・エンジグバ(オハイオ州立大WR)


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2年生だった2021年度は1606ヤードに9TDと大暴れし、2022年度シーズンの大活躍が大いに期待されましたオハイオ州立大ジャクソン・スミス・エンジグバ(Jaxon Smith-Njigba)が、シーズン序盤に怪我を負い満足に出場することはできず消化不良でシーズンを終えることになってしまいました。

しかしながらコンバインでは怪我の影響を微塵にも感じさせない軽快な動きを見せてスカウト陣に大いにアピールすることが出来、昨年のサンプルサイズが小さいとはいえ元々持っているポテンシャルを十分に保持していると判断され株が上がったようです。

ザック・カンツ(オールドドミニオン大TE)


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オールドドミニオン大というFBS(フットボールボウルサブディビジョン)に昇格してまだ間もない「グループオブ5」チームに所属していたTEのザック・カンツ(Zack Kuntz)。しかし大御所出身ではない彼はこのコンバインで映えました。

2020年までペンシルバニア州立大に所属するも2021年に出場機会を求め、ペンシルバニア州立大でOCを務めていたリッキー・レーン(Ricky Rahne)監督のいるオールドドミニオン大に転校。2021年は692ヤードに5TD。昨年度は怪我のせいで144ヤードに2TDと数字的には影を潜めました。

しかしコンバインでは測定値で次々に目を見張る数字を連発。6フィート7インチ(約200センチ)の身長に255パウンド(約115キロ)という体格を活かしたレシーバー系のTEとしての価値を高めたと言われています。

ザック・ピケンズ(サウスカロライナ大DT)


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サウスカロライナ大のDTザック・ピケンズ(Zacch Pickens)もコンバインで光っていた選手の一人。

6フィート4インチ(約193センチ)291パウンド(約131キロ)という体格からは想像できないクイックネスをコンバインでは大いに披露。DTとしての40ヤードタイム4.89秒は立派。その他の測定値もDT界隈ではトップ5に入る数字を残しており、また質疑応答(インタビュー)でも好印象を残したピケンズの株も上がりそうです。

シドニー・ブラウン(イリノイ大S)


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イリノイ大は2021年度5勝7敗と負け越しましたが、2022年度は8勝5敗と2011年度シーズンぶりの勝ち越しを達成。このチームの躍進の立役者の一人にSシドニー・ブラウン(Sydney Brown)がいました。

昨年度は全米3位となるパスINT数6個を計上。堅実なタックラーとしてもイリノイ大バックフィールドを堅守しました。シーズン後に行われたシニアボウルで頭角をさらに現し40ヤードでは4.47秒(S界隈で4位)、垂直跳びが40.50インチ(同3位)、幅跳びが10フィート10インチ(同2位)、ベンチプレスが23回(同2位)とし、S選手の中で目立った記録を残すことが出来ました。

C.J. ストラウド(オハイオ州立大QB)


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昨年までのオハイオ州立大のエースQBだったC.J.ストラウド(C.J. Stroud)。コンバイン前から今ドラフトにおいて目玉QBの一人に数えられていましたが、今回のコンバインで彼の株はさらに上昇したと言われています。

40ヤードなどの運動測定には参加しませんでしたが、フィールド上でのスキルセッションに参加。スカウト、コーチ、GMらが多く見守る中でシャープなパスを次々に披露。上記のリチャードソンほどの身体能力はないかもしれませんが、このパス能力だけ見ても今までの彼への評価にさらなる太鼓判を押すには十分過ぎるセッションとなりました。

カリジャ・カンシー(ピッツバーグ大)


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ピッツバーグ大のDTカリジャ・カンシー(Calijah Kancey)もコンバインで周囲の予想を上回る出来を残したプロスペクトです。

身長6フィート1インチ(約185センチ)体重281パウンド(約127キロ)という体格ながら、40ヤードダッシュでは2013年以降の記録でDT最速となる4.67秒を叩き出しスカウト陣の度肝を抜きます。身体測定ではウィングスパン、ハンドサイズが小さめと測定されましたが、アスリートとしてのポテンシャルは大いに秘めているといえます。

その様相から同じピッツバーグ大出身の先輩でNFL市場でも屈指のDTといわれるアーロン・ドナルド(Aaron Donald、現LAラムズ)と比較されるほど。果たしてその期待値を上回れるか?

ダーネル・ワシントン(ジョージア大TE)


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すでに上記に紹介したカンツもそうですが、今年のドラフト候補には秀逸なTEが多く含まれていると言われていますが、その中でもカンツと共に株を上げたのがジョージア大ダーネル・ワシントン(Darnell Washington)です。

身長6フィート7インチ(約200センチ)、体重264パウンド(約119キロ)という素晴らしいフレームに加え、ウィングスパンが脅威の34.75インチにハンドサイズも11インチとビッグサイズ。40ヤードではTE界隈6位となる4.64秒を記録。その他の測定でも軒並みトップクラスの数字を残しスカウトの目を奪いました。

すでに優秀なブロッキングTEと目されているところにこの運動能力を披露したワシントンの株も急上昇中です。

ブライス・フォード・ウィートン(ウエストバージニア大WR)


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大学時代周囲の目を奪うようなスタッツを残すことはなかったウエストバージニア大のWRブライス・フォード・ウィートン(Bryce Ford-Wheaton)。しかしこのコンバインでの測定で彼の名前をメモ帳に記したスカウト陣は多かったことでしょう。

6フィート4インチ(約193センチ)に220パウンド(約99キロ)というサイズながら40ヤードではなんと4.38秒という俊足を披露。また垂直跳びでは41インチと歴代のWR陣でもトップ10に入る記録を残しました。

WRでこのサイズとテストスコアは現シアトルシーホークスD.K.メトカフ(D.K. Metcalf、元ミシシッピ大)と比較されるほど。メトカフもコンバインで脅威的な数字を残してドラフトでの株を上げた選手であり、フォード・ウィートンにも期待度が高まりそうです。

ブライアン・ブリーシー(クレムソン大DT)


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2022年度シーズンに大活躍が期待されていたクレムソン大DTのブライアン・ブリーシー(Bryan Bresee)。しかしながらシーズンが始まってみればチームは11勝を挙げるもプレーオフを逃すなどし、チーム自体への注目度が下がったことで彼の名前もあまり世に轟きませんでした。

しかしこのコンバインでは40ヤードダッシュで5秒を切る4.86秒を記録。もともと持っている能力を考えればこのタイムを考慮してDT内ではかなりの好巡位で指名を受けてもおかしくはないと言えるでしょう。

ノーラン・スミス(ジョージア大EDGE)


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全米王者のジョージア大の2列目ディフェンスを任されたノーラン・スミス(Nolan Smith)。ただシーズン中盤に負傷して戦線離脱するという不運に見舞われます。

しかしながら今回のコンバインでは40ヤードダッシュでEDGE(カレッジではLB登録)ながら4.39秒というとんでもないタイムを叩き出し関係者やファンの度肝を抜きます。このタイムはDL選手としては2003年以来2番目に早い40ヤードの記録となりました。これだけでスミスのドラフトストックは爆上がりしたと言われています。


株を下げた選手たち

ケイション・ブーテ(ルイジアナ州立大WR)


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2022年度にはルイジアナ州立大のWR1としての活躍が期待されたケイション・ブーテ(Kayshon Boutte)。しかし、新監督のブライアン・ケリー(Brian Kelly)新体制下で前半あまり活躍の場がなく結局昨年は538ヤードに2TDを記録するにとどまりました。

そして今回のコンバインではレシーバーとしてのキャッチ能力は評判通りのものを持っていることを披露することは出来ましたが、40ヤード(4.5秒)や瞬発力・跳躍力においてはスカウト陣を唸らせることはできませんでした。

ジョーダン・アディソン(サザンカリフォルニア大WR)


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2021年度にピッツバーグ大に所属していた際に年間最優秀WR賞であるビレントニコフ賞を受賞し2022年度はサザンカリフォルニア大(USC)でプレーしたジョーダン・アディソン(Jordan Addison)。USCでは875ヤードに8TDとピッツバーグ大時代と比べるとプロダクションは半分に落ちてしまいました。

そしてコンバインでの身体測定では身長5フィート11インチ(約180センチ)に171パウンド(約77キロ)という結果。その軽量さにも関わらず40ヤードダッシュは4.49秒と目から鱗が落ちるような数字は残せませんでした。

既にサイズ的な不安を指摘する声もある中、今回のWR界隈で40ヤードのタイムで下から数えた方が早い順位に落ち着いてしまったのは少々がっかりさせられました。

クラーク・フィリップス・III(ユタ大CB)


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今季のCBプロスペクトの中でも注目度が割と高めなのがユタ大クラーク・フィリップス・III(Clark Phillips III)。足捌き、テクニック、球際のプレーメーキングといった面で優れた選手というのがもっぱらの彼への評価ですが・・・。

5フィート9インチ(約175センチ)の身長に184パウンド(約83キロ)という既に小柄なフレームながら40ヤードダッシュの記録が4.51秒と他のCB選手の山に埋もれてしまう結果に。もちろんそれだけが全てではありませんが、軽量なCBという不安を抱える中、できればいい数字を残してその印象を補填しておきたかったところ。

Elsewhere…

ジェイレン・カーター(ジョージア大DT)


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モックドラフトによっては総合ドライチ候補に押されるのがこのジョージア大のDTジェイレン・カーター(Jalen Carter)。全米タイトル二連覇に大きく貢献した逸材であることは誰の目から見ても明らかです。

しかしコンバイン直前にカーターが地元で起きた死亡者を出した交通事故に関わっていたことが発覚。チームのスタッフと選手の一人が乗っていた車が激突事故を起こして二人とも亡くなってしまったのですが、調査の結果この車がカーターの乗っていた車と行動でカーレースを行っていてその結果この事故が起きたという疑惑が起きたのです。

しかもカーターは事故現場に居合わせたのにも関わらず現場を去っておりその事も事態を悪くさせています。既にインディアナポリス入りしていたカーターは逮捕状が出たために一旦ジョージアに戻り自首。結局刑務所にいたのは20分弱だったそうで、保釈金を払ってインディアナポリスへとんぼ帰りしてコンバインに参加したという経緯があります。

コンバインでは身体測定も運動能力テストも受けませんでしたが、いかに今季随一のプロスペクトとはいえ、死亡事故に絡んだ事件に関わっているカーターに手を出そうとしていたチームは慎重にならざるを得ないでしょう。

ブライス・ヤング(Bryce Young)


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2021年度のハイズマントロフィー受賞者であるアラバマ大ブライス・ヤング(Bryce Young)はフィールド上のテストをオプトアウト。一部には、今回参加している他のQB(リチャードソン、ストラウド、ケンタッキー大のウィル・レヴィス)と比べると投力が劣っており、一緒にテストすると見劣りしてしまうことを嫌ってのオプトアウトとも言われています。

そして身体測定の結果ですが、身長は大学時代に公表していた6フィート(約182センチ)よりも2インチ低い5フィート10インチ(約177センチ)、体重はなんとか測定時まで増やして204パウンド(約92キロ)という数字が明らかになり、前々から言われていたサイズの小ささが際立ってしまいました。

ただこのことを質疑応答の際に聞かれた際、ヤングは「自分はこれまでこのサイズとずっと付き合ってきた。そしてこのサイズでも自分がプレーヤーとしてどれだけできるかを知っている」とサイズの小ささは自分の選手としての価値に傷をつけるものではないとコメントしていました。

これまでの彼のフィールド上でのプレーを見ればその才能の秀逸さは誰もが認めるところです。ただ同じような才能を持っている選手が他にもしいたとしたら、その際はよりフレームの大きい選手を指名するチームが出てもおかしくはありません・・・。

アンドリュー・ヴォーヒーズ(サザンカリフォルニア大OG)


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サザンカリフォルニア大のOGプロスペクト、アンドリュー・ヴォーヒーズ(Andrew Vorhees)は今年のドラフトで第2巡目から3巡目で指名を受けるのではないかと言われている候補生です。

そのヴォーヒーズは不運なことにコンバイン中のドリル中に膝の前十字靭帯(ACL)を断裂するという大怪我を負ってしまいます。自分の才能を披露する大事な舞台で、ドラフトされてもルーキーシーズンはリハビリのために試合に出れないという最悪な事態に陥ってしまったのです。

しかし、その膝の怪我を追いながらその翌日に行われたベンチプレスに参加。松葉杖を使わないとプラットフォームまで辿り着けないというこの状況でヴォーヒーズはベンチプレスに挑戦。そしてなんと38回も225パウンド(約102キロ)のバーバルを持ち上げるということをやってのけたのでした。

ドラフトでの株が下がってしまったことは否めませんが、どこかのチームが彼を指名することを願わずにはいられません。

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