2018年度シーズン開幕へ向け全米でプレシーズンキャンプインを目前としている中、優勝候補にも挙げられているオハイオ州立大にスキャンダルの予感です・・・。というのもアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督が休職処分に処せられてしまったのです。
アシスタントコーチの処分
ことの発端は先月7月23日、オハイオ州立大はWRコーチのザック・スミス(Zach Smith)氏が前妻に対する家庭内暴力の疑いで法廷沙汰になったことを受けてスミス氏を解雇したことです。
すると芋づる式に2009年にもスミス氏が当時妊娠中だった前妻に暴力を働き逮捕されていたことが発覚。当時スミス氏は現オハイオ州立大監督のマイヤー監督指揮下のフロリダ大のコーチングスタッフでした。
さらに今度は2015年にもスミス氏が前妻に対して家庭内暴力を働き警察沙汰になってきたことが明らかになり、結局この年にこの夫婦は離婚することに至りました。
つまりここまで来るとスミス氏が前妻に対する家庭内暴力の常習犯だったことがわかりますが、問題はこのことをどこまでマイヤー監督が知っていたかなのですが・・・。
スミス氏がオハイオ州立大から解雇された翌日、マイヤー氏はBig Tenカンファレンスのプレシーズンメディアデーにて、2009年の事件のことは知っていたが、2015年の事件のことは知らなかったと堂々とメディアの前で話したのです。
新事実
しかし、今日(8月1日)世に出たリポートによると、実はマイヤー監督は2015年の事件のことも知らされており、その際ザック氏の前妻とマイヤー監督夫人が交わしたメールの内容からすると、マイヤー監督はザック氏の行いを知りながら何もしなかったのではないか、という風に取れるやり取りが行われていました。
スミス氏はオハイオ州立大でかつて監督を務めたアール・ブルース(Earle Bruce、今年4月に他界)氏の孫であり、またブルース氏はマイヤー監督が師匠と崇める人物。それ故にブルース氏の孫であるザックとは「親子の関係ほどのつながりがある」とまでマイヤー監督は話していましたから、スミス氏に不利になるようなことを防ぐために事実を隠蔽したのではないかという憶測が流れたのです。
そしていよいよオハイオ州立大も事態を重く見て独自の調査チームを立ち上げることを発表。そしてその調査が行われる間、なんとマイヤー監督は休職処分(Administrative Leave)になってしまったのです。
休職処分とは謹慎処分とは違い、お給料もこの調査の間引き続き支払われることになっており、責任を取って動向というよりも、騒ぎを大きくしないようにマイヤー監督を自宅待機にさせたというのが目的なのでしょう。
今後のシナリオ
プレシーズンキャンプイン目前にしてチームのカリスマ的ヘッドコーチを失ったオハイオ州立大。もちろん調査の結果次第では謹慎が解かれてチームに合流することも考えられますが、そうでない場合は最悪のシナリオ、つまり解雇されてしまうという事態にもなりかねます。
もし2015年のスミス氏の事件をマイヤー監督が知っていたのならば、メディアデーでそれを否定したのが嘘だったということになり、さらにそれほどの悪行を働いたスミス氏に厳しく向かい合わなかったことへの罪も問われることになります。
知らなかったのに何も行動に移さなかった・・・。これはペンシルバニア州立大の「サンダスキー事件」を思い出させます。この事件ではペンステートの長年のスタッフだったジェリー・サンダスキー(Jerry Sandasky)氏が男児に性的暴力を振るっていたことを内部告発されたにも関わらず、当時のHCジョー・パターノ(Joe Paterno、故人)監督がそれを解決するのに必要な行動を取らなかったことが批判の的になり、パターノ監督は2011年度のシーズン中にもかかわらず解雇されてしまいました。
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ここ数年セクハラやパワハラに対する世間の目は大変厳しくなってきています。ですから場合によってはオハイオ州立大はいかにチームにとって絶対的存在だったマイヤー監督でも、事の次第では彼を守りきれない、もしくは大学を守るために彼を切ることもやむなしと言う行動に出ることは十分に考えられます。
2014年以来の全米制覇に向けて発進、という寸前でのこの出来事。今後の調査の行方を見守りたいと思います。ちなみにマイヤー監督休職中、オフェンシブコーディネーターのライアン・デイ(Ryan Day)氏が監督代行を務めるそうです。