激動の第13週目を終えたカレッジフットボール界は第14週目の「チャンピオンシップウィーク」に突入。FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の10カンファレンスでは今週末それぞれ優勝決定戦が行われ、各カンファレンスの王者が誕生します。
先週までのランキング
それと同時に注目が集まるのがCFP(カレッジフットボールプレーオフ)にどの4チームが進出するかということになります。第4回目のCFPランキングでは1位ジョージア大、2位オハイオ州立大、3位ミシガン大、4位テキサスクリスチャン大となっていましたが、ご存知の通りオハイオ州立大はミシガン大に45対23で惨敗しトップ4から陥落することが濃厚となっています。
一方でその空いた椅子に今週座ると思われているのがPac-12カンファレンスのサザンカリフォルニア大。彼らは先週15位だったノートルダム大を38対27で下し1敗を守りました。カンファレンスタイトルゲームではユタ大との再戦(前回の対戦では43対42と惜敗)となります。
日曜日に発表されたAPランキングでは1位ジョージア大、2位ミシガン大、3位テキサスクリスチャン大(TCU)、4位サザンカリフォルニア大という顔ぶれ。11月29日(火曜日)に発表される第5回目のランキングでもおそらくこの順位でまず間違い無いと思われます。
今週末、ジョージア大はSEC優勝決定戦でルイジアナ州立大と、ミシガン大はBig Ten優勝決定戦でパデュー大と、TCUはBig 12優勝決定戦でカンザス州立大と、そしてサザンカリフォルニア大は前述の通りユタ大との対戦が待っています。それぞれが今週末勝てばこの4チームのプレーオフ進出が決定すると言ってまず間違い無いでしょう。
しかし、もし仮にいずれかのチームが負けたとしたら・・・というシナリオを考えてみるとちょっと面白そうです。
カオスなシナリオ
ジョージア大とミシガン大はこれまでの戦いぶりを見ると例えカンファレンス優勝決定戦で負けたとしても上位4位に踏みとどまる可能性が高いと思われます。テキサスクリスチャン大はそのブランド力から1敗でもしたらこのプレーオフレースから脱落なんてことも考えられます。そしてサザンカリフォルニア大は負ければPac-12カンファレンスタイトルを逃すだけでなく、2敗目を喫することになり、彼らも上位4位から転落することになるのでは無いでしょうか。
とすれば、最大で2つの椅子が開く可能性があるということになります。その空いた椅子に誰が座るのか・・・。単純に考えれば4位以下の5位と6位のチームにその権利が譲渡されるとするのが普通です。
APランキングでは5位がオハイオ州立大(11勝1敗)、6位がアラバマ大(10勝2敗)となっており、第5回目のCFPランキングでも似たような順位になれば、彼らには未だプレーオフ出場の可能性が残されているということが出来る訳です。
当然TCUとUSCが同時に敗れる可能性は高く無いのですが、全く不可能というわけでもありません。最大のどんでん返しのシナリオとしてTCUとUSCが悪い内容で負けて2チームとも脱落したとしたら、オハイオ州立大とアラバマ大が滑り込むというシナリオもあり得なくは無いのかもしれません。
しかし、もしTCUかUSCどちらかが負けてどちらかが生き残った場合、プレーオフの椅子は一つしか残らないことになります。そういった事態が起きた場合、果たしてこの椅子に座るのはオハイオ州立大なのか、はたまたアラバマ大なのか、どっちになると思いますか?
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オハイオ州立大のレジメ
アラバマ大とオハイオ州立大の決定的な違いはアラバマ大が2敗しているのに対してオハイオ州立大は1敗しかしていないという点です。これ一つだけとってもオハイオ州立大がアラバマ大よりも上位にランクされるべきだという論点につながるかと思います。
またオハイオ州立大は最新のCFPランキングでトップ10入りが予想されるペンシルバニア州立大にアウェーで勝利しています。また開幕戦ではノートルダム大(先週15位)にも勝っており、ストレングスオブスケジュール(SOS)の点で言うとオハイオ州立大の方に軍配があるのかもしれません。
ただ、先日のレギュラーシーズン最終戦となるミシガン大との試合ではホームチームであるにもかかわらず45対23と3スコア差でライバル相手に惨敗。これが最後の試合となってしまったため、CFP選考委員会に与える印象はよろしくありません。
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アラバマ大のレジメ
過去8回のプレーオフにおいて7回も出場を果たし、そのうち3回でナショナルタイトルを獲得しているアラバマ大。しかし彼らはレギュラーシーズン中に2敗してしまった年にプレーオフに進出したことはなく(2019年)、また2敗チームがプレーオフに進出した過去の例もなかったため、ルイジアナ州立大に敗れて2敗目を喫した時点で彼らのプレーオフへの夢は完全に絶たれたと思われていました。
しかしテネシー大が敗れ、クレムソン大、オレゴン大、ルイジアナ州立大も相次いで敗れてしまったためにアラバマ大にも僅かながらプレーオフ進出のチャンスが生まれたわけです。
アラバマ大の敗戦はテネシー大(51対48)とルイジアナ州立大(32対31)とともに僅差での惜敗。たらればは禁物だとはいえ、この僅差ならばどちらの試合でも勝っていてもおかしくはなく、それはつまり彼らは4点違いで12勝0敗だったかもしれないということになります。
しかし負けてしまった事実は事実として残る訳で、しかも他の試合を見ても決してシグニチャーウィン(特筆すべき勝利)があった訳ではありません。2戦目で勝ったテキサス大との試合はラッキーだったともいえますし、対戦時に11位だったミシシッピ大は現在ランク外に落ちてしまっていますし、僅差で負けたテネシー大とルイジアナ州立大もそれぞれ負けてランクを落としています。
つまりアラバマ大のSOSはそこまで高くは無いと言うことになります。これをオハイオ州立大と比べると劣勢となってしまうでしょう。
彼らの強みの一つは最終戦のアーバン大戦でライバル相手に49対27と大勝し、直近の勝利のスタイルとしてはオハイオ州立大の敗戦よりも当然選考委員会にはいい印象に映るはずです。オハイオ州立大の敗戦が3スコア差だったのに対して、アラバマ大の敗戦は2敗でも合計4点差だったということもセールスポイントとなりそうです。
そして最大の強みは彼らが「アラバマ大」であると言うこと。ここまでアラバマ大を見せられ続けて飽き飽きしているファンが多くいるのも確かですが、一方でアラバマ大がメディアの注目を集めることができるドル箱チームであると言うのも事実。CFPがより金儲けを考えているとすれば、オハイオ州立大を差し置いてアラバマ大が選ばれることもあるのかも。
ただそうなれば必然的にCFP選考委員会の選考システムが崩壊していると言う批判も起きることは大いに考えられますから、ここら辺をどうしてくるのかも気になるところ。
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注目は・・・
ズバリ注目は次の第5回CFPランキングの順位です。このランキングで5位となったチームが番狂せが起きた際に次点チームとしてプレーオフ進出に滑り込むことが考えられます。ランキング発表はあともう1度ありますが、試合がないオハイオ州立大とアラバマ大は今週末はそれぞれキャンパスで他チームの行方を見守ることしかできず、選考委員会に考えを改めさせるようなアピールチャンスは残されていないからです。
火曜日に発表されるランキングでオハイオ州立大がアラバマ大を上回るか、それともその逆となるのか・・・。ある意味上位4チームの発表よりも注目が集まるポイントだといえます。ただ当然上位4チームが勝ち抜けばここまで書いてきたこと全てが無駄になってしまうのですが(苦笑)。