今年のドラフトがコロナウィルスの影響を受けて開催形式の変更を余儀なくされていることはこれまでも紹介してきました。
まだまだ世界中で予断を許さない状況が続いている中で、世間では病魔に倒れる人、隔離される人、その最前線で治療に当たる医療関係者とウィルスと直接戦っている人達もいれば、自宅待機を強いられている人、学校閉鎖のために自宅で勉強する学生、家で子供を見なければならない親、失業してしまった人・・・。とにかく世界は数週間前と比べると全く違うものになってしまいました。
NFLはこの状況を受けてこれまで5000万ドル(1ドル100件計算で約50億円)を寄付してきましたが、今回彼らはさらなる寄付金を募るために「ドラフト・ア・ソン(Draft-A-Thon)」なるイベントを立ち上げました。
「マラソン(Marathon)」を語源とする造語であるとおもわれるこのドラフト・ア・ソンでは現在からドラフトが終わる今週末までコロナウィルス対策へ寄付される義援金を募ります。当然このイベントもこの状況下ではバーチャル/オンラインで行われますが、今のところ現役の選手や俳優、コメディアンなど多数の有名人がこのドラフト・ア・ソンを盛り上げる予定だとか。
またその一環としてチャリティーオークションも開催予定だそうで、当然その売上金も義援金として寄付されます。場所によって偏りはあるもののアメリカは世界的に見て最も感染者の数が多い国となり、ここで暮らす一人ひとりの生活に多大なる影響を及ぼしています。そんな時このような形で皆が立ち上がり助け合う行動を起こすというのはいかにもアメリカっぽいです。
さてそんなドラフトに向けて注目の候補選手を簡単に紹介している連載企画第6弾からはいよいよディフェンス編。今回はそのフロントラインでもあるDL選手たちにスポットを当てます。
4月23日(第1日目):第1巡目
4月24日(第2日目):第2巡目&第3巡目
4月25日(第3日目):第4巡目〜第7巡目
目次
チェイス・ヤング(オハイオ州立大)
ドラフトで総合1位で選ばれることは確かに大変な名誉あることですが、その選手が必ずしもそのドラフトで最も価値のある選手であるとは言えません。当然総合1位を指名する権利を持っているチームの台所事情にによって誰を引き抜くかは変わってくるからです。
今年はシンシナティベンガルズがその総合ドライチ選手を指名する権利を持っていますが、チーム事情からして大半の予想はルイジアナ州立大のQBジョー・バロウ(Joe Burrow)が選択されるという流れになってきています。しかし今年のドラフトクラスを見た時最も価値のある選手と評価されているのがオハイオ州立大出身のDLチェイス・ヤング(Chase Young)です。
身体能力の塊とも言える運動センスは即戦力級。体格、パワー、スピードと申し分なくパスラッシュ時の破壊力は計り知れません。エッジラッシャーとして大学時代数々のOL・QBを苦しめてきました。
あまりにもパワフルすぎて大学時代は小手先のテクニックよりも力で押す傾向が見られ、またランに対する対応には多少の技術向上の余地は見られますが、将来性抜群のDL選手だということは間違いなさそうです。
デリック・ブラウン(アーバン大)
アーバン大が所属するSEC(サウスイースタンカンファレンス)で並み居る強豪チームと対峙してきたデリック・ブラウン(Derrick Brown)。そのパワーで相手OLを次々の切り崩し圧倒。そのせいでダブルチームを組まれることもしばしばですが、それは彼にとってはまたとない勲章であるともいえます。
パスラッシャーとしての腕をもう少し磨きたいところですが、彼もまた即戦力として期待できる逸材だと言えます。
ジャヴォン・キンロー(サウスカロライナ大)
325パウンド(約147kg)という重量級ながらそれに見合わぬ機敏さでパスラッシャーとしては最高級の腕の持ち主。その重さから繰り出されるパワーは並のものではなく、DTだけでなくエッジでもプレーできる汎用性を持ち合わせています。
NFLレベルのOLと対峙するにはより多くの動きを身に付けなければなりませんが、彼もまた即戦力として第1巡目に名前が呼ばれる候補選手です。
ケラヴォン・チェイソン(ルイジアナ州立大)
昨年度のナショナルチャンピオンであるルイジアナ州立大出身のケラヴォン・チェイソン(K’Lavon Chaisson)は既出のヤングほどではないにしろDEとして期待を寄せられている新人です。
外側からまくしたてるスピートとパワーはエリート級。そしてそれだけでなく横方向への機敏さも持ち合わせており相手OLにとっては非常に厄介な選手。SECで並み居る強者達を相手にしてきたこともスカウトたちの目にはよく映っていることでしょう。
成長度合いは現在進行系と言えそうですが、逆に言えばまだ伸びしろがあるというふうにも考えられるため、育てればトップレベルで長く活躍できるかもしれません。
イトー・グロス・マトス(ペンシルバニア州立大)
身長6フィート5インチ(約195cm)体重266パウンド(約約120kg)という恵まれた体格を擁するイトー・グロス・マトス(Yetur Gross-Matos)。強力な腕力と高い身体能力で相手OLを翻弄。また相手のプレーが2列め3列目に及んでもフィールド上を縦横無尽に駆けどこまでもキャリアを追いかけていく姿は見ていて実に爽快です。
いまだ発展途上の様相も見え隠れしますが、彼もまた将来性を十分に感じさせてくれる選手です。
テレル・ルイス(アラバマ大)
アラバマ大出身のテレル・ルイス(Terrell Lewis)は手足が長くそのスピードとパワーでOLとのスペースを難なく生み出すことが出来る選手。エッジでの瞬発性もよくパスの場面では2列目まで下がってカバレージを埋めることもする用途の広いDEです。
2年前に膝の靭帯を切る大怪我を負っており、細かな技術面でも多少の不安材料はあるようですが、ローテーションには十分食い込める人材と見ます。
A.J.イペネサ(アイオワ大)
Big Tenカンファレンスでも地味ながら底力のあるアイオワ大で堅実な指導の下その実力を育ててきたA.J.イペネサ(A.J. Epenesa)。ラン・パス両ディフェンスで威力を発揮し、DEだけではなくDTもこなせる器用さも持ち合わせている選手。
ただ先日行われたコンバインでは40ヤードダッシュとベンチプレスで惨敗(5.04秒に17回)し、スカウト界隈で株を大きく落としたと言われています。これがどう本番で響くのか気になるところです。
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その他の候補者たち
ロス・ブラックロック(テキサスクリスチャン大)
ネヴィル・ガリモア(オクラホマ大)
ジュリアン・オクワラ(ノートルダム大)
カーティス・ウィーバー(ボイジー州立大)
ジョシュ・ウチェ(ミシガン大)
ジャスティン・マデュビケ(テキサスA&M大)
ジョーダン・エリオット(ミズーリ大)
ジョナサン・グリナード(フロリダ大)
ダレル・テイラー(テネシー大)
リーコン・デーヴィス(アラバマ大)
デヴォン・ハミルトン(オハイオ州立大)
マクテルヴィン・アギム(アーカンソー大)
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