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MACが今季開幕を決定
2020年度シーズンが開幕して4週目を迎えますが、開幕時に今季不参戦を表明していたFBS(フットボールボウルサブディビジョン)カンファレンスが4つありました。
そのうちの1つであるBig Tenカンファレンスは先週10月24日に遅ればせながら開幕することを決断。そしてそれから数日後にはPac-12カンファレンスが11月6日からの秋季シーズン開催を決定し、その翌日にはマウンテンウエストカンファレンス(MWC)が10月24日から合流することが発表されました。
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御存知の通り昨日Big Tenが方針を切り替えて10月に今シーズンを開幕させる決断を発表。コロナ禍下での今季開催に慎重になっていた彼らに一体何が起きたのか?そしてBig Ten参戦が今季のカレッジフットボール界に何をもたらすのか?詳しくはこちら
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— Any Given Saturday (@ags_football1) September 25, 2020
Pac-12カンファレンスが今季開催のを決定したばかりですが、彼らと同じように今季の開催を延期していた「グループオブ5」のマウンテンウエストカンファレンスも連鎖反応的に秋シーズン開催を決定。開幕日はBig Tenと同じ10月24日です。
Pac-12とMWCは主戦場が被ることを考えると頷ける決断かと。 https://t.co/ToBP8yvbzC
— Any Given Saturday (@ags_football1) September 25, 2020
Big Tenが決定してから1週間のうちにガラリと青写真が変わったわけですが、この時点で開幕するかを決めかねていたのが唯一残ったミッドアメリカンカンファレンス(MAC)でした。そして想像するに容易く彼らも11月6日からの6試合編成でこの流れに乗り遅れることなく参戦することを決定しました。
これで開催時期は大きく遅れはするものの、FBS全10カンファレンスが何らかの形で2020年度シーズンを迎えることになりました。
実質的にナショナルタイトルを争う上で重要だったのはBig TenとPac-12がシーズンを開催することができるのかということでしたが、ここまで連鎖反応が起きればMAC内でも「だったら俺らも」という論調が起きるのは当然ですし、この流れを止めることは誰にも出来なかったことでしょう。
MACチームは既述の通り6試合のカンファレンス戦のみの試合であるため、彼らが目指すのはカンファレンスタイトル。普段なら「パワー5」チームのカモとなりその見返りに莫大なマッチ料を手に入れるのがカレッジフットボール界のおんぶにだっこな構図でしたが(俗に言うカップケーキゲーム)、今年に限っては「グループオブ5」の面々はこれによる収入を見込むことは出来ません。
それでも今回のMWCやMACの参戦の裏には試合のストリーミングになどによる利益を少しでも得たいという切実な台所事情が絡んでいることと思われます。
果たして後発のカンファレンスたちは無事に開幕を迎えられるのか?そして予定通りのスケジュールをこなすことができるのでしょうか・・・。
「プライムタイム」がジャクソン州立大の新監督に
かつてフロリダ州立大で活躍し、NFLでもアトランタファルコンズ、サンフランシスコ49ers、ダラスカウボーイズ、ワシントンレッドスキンズ、ボルティモアレイヴンズを渡り歩いた殿堂入り名選手、ディオン・サンダース(Deion Sanders)氏がこの度FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のジャクソン州立大の新監督に就任することが明らかになりました。
フロリダ州立大出身でNFLでも大活躍しカレッジとプロ共に殿堂入りを果たした「プライムタイム」の異名を持つディオン・サンダース氏がこの度FCS(旧D1-AA)のジャクソン州立大の監督に就任。
同氏はこれまで高校でコーチを務めたことはあったもののこれが初の大学監督職。https://t.co/p8VgIXJFfb
— Any Given Saturday (@ags_football1) September 21, 2020
「プライムタイム」の異名を持つサンダース氏はこれまでNFLネットワークやCBSスポーツなどでコメンテーターを務めたりしており露出は絶えませんでしたが、実はユースチーム(高校など)でコーチを兼任してきたという顔も持ち合わせていました。とはいえ、大学レベルでHCを務めるのは初となります。
ジャクソン州立大は主に黒人学生で締められるいわゆる「HBCU(Historically Black Colleges and Universities)」に分類される大学。現在アメリカでは黒人に対する人種差別反対運動、BLM(Black Lives Matter)運動が起きていますが、同じ黒人であるサンダース氏がHBCUであるジャクソン州立大の監督に就任したことは偶然ではないのかもしれません。サンダース氏ほどの知名度がある人物が黒人の地位向上のために立ち上がったという背景があったとしても不思議ではありません。
ノースカロライナ州、観客の上限を全体の7%に緩和
ノースカロライナ州ではコロナウイルスの蔓延を防止する方法の一環として多人数の集会を制限する州法が定めれてきました。カレッジフットボールの観客もこれに漏れることなく、シーズン開幕時にはノースカロライナ州で行われた試合は全て無観客で開催されました。
そして先週、最大観客動員数の上限がスタジアム最大客席数の7%に緩和。これで選手たちの家族が観戦できるようになったのです。
これを受けノースカロライナ州立大は先週のウェイクフォレスト大戦では合計350枚のチケットを用意。このうち250枚を同チームの選手の家族に、そして100枚を相手チームであるウェイクフォレスト大に配ったのだとか。ちなみにノースカロライナ州立大のホームスタジアムであるカーター・フィンリースタジアムの観客最大収容数は5万7600人です。
一方デューク大はこの州からの許可が出たにもかかわらず、安全を喫するために今季のホームゲームは全て無観客で行われるそうです。また今週ノースカロライナ州内で行われる試合はセントラルフロリダ大@イーストカロライナ大ですが、この試合もすでに無観客で行われることに決まっています。
この流れで行けば他の州で同じように観客動員数を制限している試合でも徐々に総数の上限が緩和されていくことでしょう。歓声やバンドの演奏が聞こえない試合というのはやはりどうもしっくり来ませんからね。もっとも選手やコーチの声が聞こえるのはそれはそれで楽しめるのですが。
フロリダ州立大のノーヴェル監督がコロナ陽性に
コロナウイルスの影響で試合が延期になったりキャンセルになったりしている現状は度々お伝えしてきましたが、フロリダ州立大ではチームの長であるマイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督がコロナウイルスに感染してしまったせいでチームから隔離を余儀なくされました。
フロリダ州立大のマイク・ノーベル監督がコロナウイルスに感染し自主隔離に。これにより今週は試合がないものの来週のマイアミ大戦で陣頭指揮を執れなくなってしまいました。
開幕戦でジョージア工科大にまさかの敗戦を喫したフロリダ州立大にとってはダブルパンチです。https://t.co/x4IR4AR7QF
— Any Given Saturday (@ags_football1) September 19, 2020
ガイドラインに従いノーヴェル監督は今週末のマイアミ大とのライバリーゲームで指揮を取れないこととなり、開幕戦でジョージア工科大に敗れてうまいことスタートダッシュを切れなかったチームとしてはノーヴェル監督不在はダブルパンチです。
FCSの春季シーズン開催が承認
現在カレッジフットボールのシーズンが行われているのはNCAA1部の上位ディビジョンであるFBSの面々です。一方その下部ディビジョンであるFCSは少数のチームを除いて秋シーズンは延期扱いとなっています。
そしてこの度NCAAはこのFCSフットボールの春季開催を承認するとともに、通常の24チームのプレーオフを16チームの編成で行うことも決定しました。
プレーオフが始まるのは4月後半から、そしてFCSのナショナルチャンピオンシップゲームは5月14日から16日の間に行われる予定。
これが本当に実現するとなれば9月から5月までカレッジフットボールが観れるということになりますね!その頃にコロナがどうなっているかはわかりませんが・・・。
超党派によるNILの連邦法が議会で提出
コロナに見舞われた今オフはそのカオスだけでなく、ミネソタ州での事件から始まった(もっとも温床は長年に渡り存在していたわけですが)今に続くBLM運動、そして大学選手が肖像権などを利用して利益を得られるようにするという動き、いわゆるNIL(Name Image Likeness)の問題にも及びました。
元来大学アスリートはアマチュア選手であるという大前提のもと長年NCAAはそれを維持すべく様々なルールと権威で大学アスリートを管理してきました。しかしそのアマチュアアスリートたちを元手に大学やカンファレンス、並びにNCAAは巨額な富を得るようになり、それは公正ではないという意見が年を追うごとに連れて増えてきていたのです。
そこでカリフォルニア州はどこよりも早く選手たちがNILを利用して金銭的利益を手にできる法律(SB206)を議会に提出。それに州知事であるギャビン・ニューサム氏が署名し、2023年からの施行が決まっていました。
そしてその波が他の州に飛び火するまでそう時間を要すことなく、アマチュアアスリートたちがNILによってお小遣いを稼ぐことができるという世界がそう遠くない未来に訪れることを予感させていました。しかもそこに待ったをかけると思われていたNCAAもこの時代の流れに逆らうことは出来ないと悟ったのか、NILによって選手たちに利益が入ることを容認するモーションを掛けていたのです。
しかしながら野放しにしてNILを許すことになると選手の有名度や大学の規模で稼げる選手と稼げない選手の差が出ることが危惧されたり、どこまでのことをやっていいのかわからないことでカレッジスポーツが崩壊してしまうのではないがという疑念もあったのです。それを阻止するためにNCAAはNILに関するルールを定めなければならなかったのですが、そのためには州ごとに異なる法律が出来てしまうと統一性がなくなってしまうため、NCAAは何とかその上のレベル、つまり連邦法で法制度が確立されることを望んでいました。
そこで今回、大学アスリートがNILを使用して企業などと提携する際の法律を定めるための議案を共和党と民主党からなる超党派のグループが議会に提出しました。
この議案が可決されるかどうかによらず、選手たちがNILを使って収入を手に入れることができるようになるのは時間の問題です。これにより大学スポーツの根底にあるアマチュアリズムが覆されるのではないかという不安要素はありますが、選手の権利とアマチュアリズム、そしてアスリートの前に大学生であるという建前をどのように保ちながらこの新たなトレンドに適応していくかは見ものです。