通常大半のカレッジフットボールのゲームは土曜日に行われますが(故にサイト名もAny Given Saturdayです)、最近は金曜日に行われる試合や木曜日、更には水曜日や火曜日にまで試合が組まれるようになりました。
昨日は13日の金曜日(😱)でしたが3試合が開催されました。その中でもBig Tenカンファレンス戦のアイオワ大vsミネソタ大の試合がいわくつきの結果に。
このマッチアップは1891年から続くライバル対決であり、今年は114回目の対戦。このライバリーゲームは「フロイド・オブ・ローズデイル(Floyd of Rosedale)」と呼ばれる豚の銅像をかけて争われる歴史ある宿敵対決なのです。
今年の試合はアイオワ大ディフェンスがミネソタ大オフェンスを完全攻略し35対7で完勝。これで対ミネソタ戦6連勝となり自身も開幕2連敗の後の2連勝で勝率を5割に戻すことに成功しました。
アイオワ大RBタイラー・グッドソン(Tyler Goodson)は自身最多となる142ヤード(2TD)を記録して勝利に貢献。またディフェンスではミネソタ大QBターナー・モーガン(Tanner Morgan)から2つのパスINTを引き出し、モーガンに4つのQBサックをお見舞いするなど攻守に渡りミネソタ大を圧倒しました。
しかしこの試合のハイライトは試合終了まで残り19秒に起こります。
この時点までスコアは35対0とアイオワ大が2009年以来の対ミネソタ大戦完封勝利が近づいていましたが、ライバル相手にシャットアウトだけは避けたいミネソタ大は試合結果に関わりなくスコアを獲りにアイオワ大エンドゾーンへ肉薄します。
結局モーガンからラショッド・ベイトマン(Rashod Bateman)へのTDパスが残り時間14秒で決まってミネソタ大は完封負けを回避。上に挙げた「フロイド・オブ・ローズデイル」の銅像には対戦スコアが永遠に刻まれるため、未来永劫2020年度の対戦でミネソタ大がスコアレスだったという無様な結果が刻まれることを防ぎました。
しかし既に試合が決しているこの場面でミネソタ大はタイムアウトを選択し確実に完封負けを防ぐためのプレーを練るわけですが、これを良く思わなかったのがアイオワ大のカーク・フェレンツ(Kirk Ferentz)監督。
その怒りをぶつけるため、なんとこの場面で全く必要がないのにアイオワ大に残されていた3つのタイムアウトを全て連続して使い切るという行動に出たのです。
ラインアップすればタイムアウトが取られ、再びフィールドに戻ってプレー再開しようとするとまたタイムアウトが取られ・・・こんなことを3回も繰り返してミネソタ大オフェンスをじらしたのです。まさにライバル関係にあるチーム同士の意地の張り合いです。
試合後両チームの監督は言葉少なめに握手を交わしてフィールドを後にしました。本当ならば試合終了直後にフィールド上で銅像が贈呈され、勝利チームがこの銅像を担ぎながらファンと一緒に勝利の美酒に酔うのですが、パンデミックのため観客はほぼ無観客であり選手同士でもフィールド上に残って密集するのは良くないということでこの銅像はアイオワ大のロッカールームで贈呈されました。
そして試合後のインタビュー。アイオワ大のフェレンツ監督は記者の一人から「なぜ試合終了の時点で3つのタイムアウトを使い切ったのか」と質問されるとこう答えました。
「(ミネソタ大が)最初にタイムアウトを取ったから、彼らがどんなプレーをしてくるか確認するためにこちらもタイムアウトをとっただけのことです。(3つ残されたタイムアウトを)帰りのバスと一緒に持ち帰る必要もなかったので。フロイド(銅像)だけを持ち帰りタイムアウトは全てここに置いていこうということです。」
こうフェレンツ監督はおどけて話しましたが、ミネソタ大のP.J.フレック(P.J. Fleck)監督に対するあてつけで有ることは明らかでした。そのフレック監督も試合後のインタビューで同様の質問を受けましたが彼は「相手が何をしたかったのかわからない」とそっけなく答えるにとどまりました。
そしてアイオワ大フットボールのソーシャルメディアもライバル・ミネソタ大を揶揄する以下のスイートを公表。
The Row’d To Six Straight#Hawkeyes pic.twitter.com/pGPfHWkpQJ
— Hawkeye Football (@HawkeyeFootball) November 14, 2020
ミネソタ大のフレック監督は彼らのモットーとして「Row the Boat(みんなで一緒に舟を漕げ)」といフレーズを多用していますが、この彼の言葉(Row)を引用して対戦成績6連勝を誇示したのでした。
これこそライバリー。これこそカレッジフットボール。