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ルイジアナ州立大のオーバーホール

ルイジアナ州立大のオーバーホール

先シーズン史上稀に見る完璧な強さでナショナルタイトルを獲得したルイジアナ州立大。しかしそのチームから先発選手がごっそりと抜けただけでなく、パスゲームコーディネーターのジョー・ブレディ(Joe Brady、現カロライナパンサーズOC)氏、ディフェンシブコーディネーターのデイヴ・アランダ(Dave Aranda)氏といったトップアシスタントコーチも相次いでチームを離れたため今季開幕前から戦力ダウンは否めないと思われていました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

そしてその不安が的中。今季ディフェンディングチャンピオンとしてのオーラは消え、負けが先行するという体たらくなところを露呈してしまいました。ただ最後にフロリダ大ミシシッピ大に連勝して何とか5勝5敗で勝率をイーブンに戻し、1943年のミシガン大以来となる、全米優勝の翌年に負け越しチームとなってしまうことは何とか防ぐことはできました。

しかしそれでも今回の戦績は決してファンらに受け入れられるものではなく、さらに言えば昨年優勝したことでLSUでは確固たる地位を確立したと思われたエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督にしてみれば昨年の彼の手腕がまぐれだったともとられかねず、彼のプライドもへし折られてしまったことでしょう。

すでにルイジアナ州立大ではNCAAのルール違反の自主制裁として今年ボウルゲームに出場を辞退しており今シーズンの幕を閉じました。そしてオルジェロン監督は間髪入れずチームのテコ入れを敢行。その手始めとしてディフェンシブコーディネーターのボ・ペリーニ(Bo Pelini)氏の解雇を決断しました。

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ルイジアナ州立大DCボ・ペリーニ氏

ペリーニ氏は2000年代初頭にネブラスカ大でディフェンシブコーディネーター(DC)を務めたことで名を挙げ2004年にオクラホマ大に1年立ち寄った後2005年から3年間ルイジアナ州立大でDCとして活躍。2007年度シーズンにはBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)ナショナルタイトルゲームで彼の母校であるオハイオ州立大を倒して全米の頂点に立つチームに貢献。その腕を見込まれ2008年から古豪・ネブラスカ大の再建を託されます。

ネブラスカ大を率いた7年間、チームは常に9勝以上を挙げる安定感を見せますがカンファレンスタイトルは1度も手に入れることはかないませんでした。そしてある程度の成功をフィールド上で収めたにもかかわらず、彼の短気という気性からたびたび暴言暴挙をおこして彼自身の株を下げていました。

2014年度シーズン後にネブラスカ大から解雇されると翌年にFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のヤングスタウン州立大の監督に就任。2016年度にはFCSプレーオフで勝ち進み全米優勝決定戦にまで駒を進めます(残念ながらジェームスマディソン大に敗戦)。それ以外のシーズンでは鳴かず飛ばずな結果を残しましたが、2020年度に上記のアランダ氏の退団を受けて新DCとしてルイジアナ州立大に2007年以来13年ぶりに戻ってくることになりました。

ただたしかにパーソネルの欠如は著しかったものの、周囲の期待を裏切る結果しか残せず、その結果今年のルイジアナ州立大の守備陣はズタボロでした。

失点数:34.9点←全米96位
1試合の平均被トータルヤード:492.0ヤード←全米124位
1プレーの平均被ヤード:7ヤード←全米125位
1ランプレーの平均被ヤード:4.9ヤード←全米94位
1パスプレーの平均被ヤード:9.7ヤード←全米124位
1試合の平均被パスヤード:323.0ヤード←全米126位

ライバルチームであるアラバマ大と対戦した際には前半だけで45失点を犯し、ここまでペリーニ監督を公共の門前では支持し続けたオルジェロン監督の堪忍袋の緒がついに切れてしまいました。

ここまで来るとたとえ最終2試合に勝ったとしてもペリーニ氏が来年もDCとして戻ってくることは現実的ではなく、今回の解雇劇は特に驚くことでもありませんでした。

またその他にもDB(S)コーチのビル・ブッシュ(Bill Busch)氏も今季限りでお役御免。さらにはDLコーチのビル・ジョンソン(Bill Johnson)氏は今季で引退するということで守備側で唯一居残るコーチはDB(CB)コーチのコーリー・レイモンド(Corey Raymond)氏のみとなる模様。

またオフェンス側でもオフェンシブコーディネーターのスティーヴ・エンスミンガー(Steve Ensiminger)が引退を表明していますし、ジョー・ブレディ氏の後釜としてパスゲームコーディネーターに任命されたスコット・リネハン(Scott Linehan)氏も1年限りで退団との噂もあります。つまり攻守ともに大幅なオーバーホールが必要となってくるわけです。

昨年のチームがたまたまいい選手が揃いまくって出来上がった奇跡のチームだったのか、もしくはオルジェロン監督の監督としての手腕がもたらしたものなのか・・・。オルジェロン監督としては当然後者であることを信じているはずですから、そのためにも今回のコーチ陣の再建はオルジェロン監督が本当の意味でエリート指導者の仲間入りをするためにも判断を誤ることは許されません。アラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督が史上稀に見る名将だと言われる理由は毎年NFLドラフトへ戦力が流れていってもトップレベルを保てている管理能力であり、オルジェロン監督がそのレベルにあるのかどうかが来年のチーム作りの良し悪しで明らかになるでしょう。

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